シャルキュトリー5種盛合せ

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肉好きにとって天国のようなワインバーが田園調布にある。田園調布駅から徒歩数分の「メッツゲライ・ササキ」である。

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この店のどこが肉好きの天国かというと、思わず頬ずりしたくなるソーセージや、見ているだけでよだれがたれてくるベーコンを提供しているのだ。

今どきソーセージもベーコンも珍しくはないが、ソーセージの本場、ドイツ仕込みの食肉加工品を食べさせてくれるとなると話は別である。

ソーセージは4種類。シンケンクナッカー(粗挽き)、ヴィナー(細挽き)、フランクフルター(細挽きソーセージの大きいタイプ)、ブラートヴルストを提供している。

ブラートヴルストは、油で揚げるようにして焼くため、表面がカリッと香ばしい。ビールをグビグビ飲みながら、このソーセージをほお張りたい肉フェチも多いはず。

日本で言う豆腐? 本場ドイツで“朝食”に食べる白いソーセージ

ビールの話もしたいが、まずその前に肉である。

金曜と週末限定のソーセージもある。豚肉や仔牛、ターキーで作ったヴァイスヴルストと呼ばれる、ミュンヘン生まれの白いソーセージだ。

「日本で言うと豆腐みたいな食材でしょうか。ミュンヘンっ子は、早朝できたばかりのヴァイスヴルストを朝買いに行き、ビールと一緒に朝食に食べます。日持ちしないため、ミュンヘンでは午後の鐘を聞く前に食べろと言われています」と教えてくれたのは、南ドイツで3年半みっちりと食肉加工品の技術を修業した今泉瞬さんだ。

ヴァイスヴルストはやや硬い豚腸で作っているので、皮を外して食べるのがコツだそうだ。どうやって皮をとるのか教えてもらった。

食感は“はんぺん”に近い? 絶品ソーセージ

ナイフで縦に切れ目を入れたら、フォークを刺したまま、ナイフで皮をむく。皮を取り除いたら、スイートマスタードを付けて食べるとおいしいと教えられ、さっそく賞味してみた。

ソーセージ特有のカリッという食感はなく、フワフワしている。ソーセージというよりもはんぺんに近い。

11時半オープンなのでミュンヘンっ子のように朝酒ならぬ、朝ビール&ヴァイスヴルストというわけにはいかないが、金曜と週末に限り、ヴァイスヴルストとビールを楽しめるセット(1500円)の用意もある。

といってもドイツビールではない。ドイツ人ビールマイスターが富士宮市のブリュワリーで造った「バイエルンマイスタービール」のビールだ。

こだわりビールもたっぷり楽しめる

ドイツ直輸入の厳選素材と富士山の湧水で造ったバイエルンマイスタービールの作品は、芳醇な香りや、クリーミーな泡が持ち味。日本の気候風土を活かし、ドイツのマイスターの手業で作ったバイエルンマイスタービールの3タイプのビールを飲ませてくれる。

エーデル・ワイス、プリンス(共に900円)、スペシャル(1200円)。先のヴァイスヴルストのセットには、このエーデル・ワイスが付いている。

バイエルンマイスタビールのビールはドイツ大使館御用達。ちなみにメッツゲライ ・ササキを運営するブッツ・デリカテッセン(本社大田区)もドイツ大使館御用達。大使館で開催されるパーティーなどにソーセージを提供している。

ヴァイスヴルストとビールのセットには、焼き立てのプレッツェルも付いている。オクトーバーフェストのイベントでプレッツェルを食べた経験がある人も多いと思うが、ユニークな結び目の形に焼き上げたドイツ発祥のパンで、岩塩が付いているのでほのかに塩分があり、噛めば噛むほど旨みを感じる。

ドイツ風ソーセージはそれぞれ単品でも盛合せでも頼めるが、オトクなランチセットもある。

「ヴルスト3種盛合せ」は、ドイツ風ソーセージが3本(ブラートヴルスト、フランクフルター、シンケンクナッカー)、ザワークラウト、ジャガイモ、サラダ、スープ、パンが付いて1200円(ソーセージは日替わり)。

サラダはグリーンサラダの他、ポテトサラダとシトラス風味のキャロットラペも付いている(内容は日替わり)。ポテトサラダの中にはサイコロ状に切ったハムも入っているので、肉好きも大いに満足するはずである。

ドイツのソーセージ、フランスのパテやハム、どちらを選ぶ?

この店が日本に広めようとしているのは、ドイツの食肉加工文化だけにとどまらない。ドイツの隣国フランスで継承されてきたリエットやパテなどの食肉加工品も供している。

ドイツの食肉加工品店がメッツゲライと呼ばれるのに対し、フランスではシャルキュトリーという名称で長年親しまれてきた。

ブルターニュのシャルキュトリーで働いていた山田真子さんが手がける、パテ・ド・カンパーニュや玉ねぎとベーコンのキッシュなどを食べさせてくれる。

コンビーフを思わせるリエットは、ル・マンが故郷。ル・マンのリエットは豚肉で作るものが一般的だが、この店ではフランスで修業した山田さんが作る鴨のリエットが美味。鴨特有の濃厚な脂が食欲をそそる。

先ほど、ヴルスト3種盛合せのランチセットがあると紹介したが、シャルキュトリー5種盛合せのセットもある。

バイエルンケーゼ(細引きのソーセージ肉を型に入れて焼き固めたもの)、ノンスモークのボンレスハム、田園ベーコン、鴨のリエット、パテ・ド・カンパーニュ、鶏の白レバーのパテのワンプレートにサラダ、スープ、パンが付いて1200円。

肉フェチとしてはドイツのソーセージか、フランスのパテやハムか、どちらを頼むべきか大いに悩んでしまう。

この店は通し営業なので、おやつ代わりにソーセージを食べながら、ビールを味わえる。夕方になったら、そのままディナーに突入。ワインに切り替え、パテやリエットなどを頼む人も多い。そういう意味でもこの店は肉好きの天国なのである。

しかも悩ましいことにこの店は、デリカテッセンが隣接している。

ワインバーのメニューに掲げるソーセージやベーコンなどの食肉加工品はもちろん、サラダやキッシュ、ピクルスなどもテイクアウト可能だ。

肉好きなら肉好きらしく、ワインバーでも自宅でも思う存分肉を喰らおうではないか。

メッツゲライ・ササキ
東京都大田区田園調布3-1-3 1F
ワインバー03-5755-5971、デリカテッセン03-5755-5972
デリカテッセン11時〜21時、ワインバー11時半〜22時(LO21時)、ランチ11時半〜14時LO 月曜・火曜休
※記事中の価格はすべて税別