プレッシャーのかかる重要な試合ではベテランの力が必要になる。本田は、その役を担える存在だ。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

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 いよいよサウアジアラビア戦である。
 
 首位を行くサウアジラビアと日本との勝点差は3。次戦のサウジアラビアに勝てば勝ち点で並び、負ければ差が6に開く。
 
 サウジアラビア戦後の残り5試合を考えるとUAE、サウジアラビアのアウェーゲーム、さらに過去のワールドカップ最終予選で1分3敗と分の悪いオーストラリアとの試合を残している。

 これらの試合は非常に難しくなるだろうし、このサウジアラビア戦を失うと2試合分の勝点をひっくり返すのはもちろん2位内に入るのも難しくなる。

 それゆえサウジアラビア戦は、引き分けさえもNGで絶対に勝たなければならない試合なのだ。
 
 そこで重要になってくるのがスタメンのチョイスであり、本田圭佑の起用だ。現状ではオマーン戦での低調なパフォーマンスから「スタメンから外せ」という厳しい意見が多いようだが、本田はスタメンでいくべきだ。
 
 サウジアラビアは「ホンダ」の名前を当然警戒するだろう。アジアでは特定の選手をリスペクトし、鬼のようなマンマークをつけてくることもある。サウジアラビアはそこまではしないだろうが、「ホンダ」という名前を意識させるだけで日本にはプラスだ。
 
 プレッシャーのかかる重要な試合ではベテランの力が必要になる。ドイツ・ワールドカップ予選でアウェーのシンガポール戦、同点に追い付かれ、引っ繰り返されそうになった。その時、途中出場で力を発揮し、決勝点を決めたのはベテランの藤田俊哉だった。
 
 藤田のようなベテランは何が起きても浮き足立つことなく、冷静に状況を判断してプレーできる。本田は、過去2大会のワールドカップ最終予選を戦っており、ワールドカップでの経験も豊富だ。サウジアラビア戦のような大一番にこそ力を発揮し、仕事をしてくれるはずだ。
 
 また、本田という選手の“特性”もある。本田は特別なスピードやスーパーな技術があるわけではない。ドリブルなど局面を一気に打開するような“一芸”があるわけではないのでサブでは投入しにくい。
 代表には本田の助言や話を聞いて、いろんな決断、判断をしてきた選手が多い。さらにチーム内には中にいる選手にしか分からない選手たちが認める存在が必ずいる。

 本田はそういう選手であり、公私ともに代表チームに影響を与えてきた選手。ゆえに中途半端なポジションに置くわけにはいかない。サブにおいても本田自身は決して腐らないだろが、現在の川島永嗣のようなスタンスでチームには置いておけない選手だ。
 
 仮に本田を外した場合、オマーン戦で動きの良さをアピールした久保裕也や浅野拓磨が右MFで起用されることになるだろう。そこに同じくオマーン戦で2得点を決めたFW大迫勇也が1トップに入り、左MFには原口元気、トップ下に清武弘嗣、ボランチに長谷部誠、山口蛍という構成になるはずだ。
 
 その面子の前線はスピード感があり、非常に動きが出てくるだろうが、多くのチャンスを作り、厚みのある攻撃ができるのかというと疑問が残る。選手の構成として彼らの背後に遠藤保仁のように展開を読み、ゲームをコントロールできる選手がいないので縦一辺倒、背後を狙うだけの単純な攻撃になりがちだからだ。
 
 本田は、このチームでゲームに変化と時間を作れる唯一の選手だ。オマーン戦では清武と入れ替わって中に入り、変化をつけていたし、戦術的な幅を持たせるべくポゼッションを取り入れていた。オマーンが引いていたので必然的にそうなったのもあるが、それでも攻撃にメリハリをつけようとボールを回す時は回し、詰まるとサイドチェンジをうまく使って攻撃をしていた。