オマーン戦の本田(写真)は、清武らと有機的に絡んで攻撃を活性化していた。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 高い位置からボールを奪いに行き、主導権を握ろうとしたイラク戦と、自陣に引いて守り、カウンターを狙ったオーストラリア戦――。10月シリーズでは戦い方をガラリと変えたが、今回もまた、ハリルジャパンは“異なる顔”を見せることになりそうだ。
 
 ロシア・ワールドカップ・アジア最終予選、グループ首位のサウジアラビア戦が11月15日に迫ってきたが、この大一番の準備試合として組まれた11日のオマーン戦で、ハリルジャパンはワンタッチ、ツータッチのパスによるコンビネーションで相手の守りをこじ開けた。
 
 その最たるシーンが、大迫勇也の決めた2点目だった。
 
 中盤で永木亮太と山口蛍がパスを回しているうちに本田圭佑がピッチの中央に潜り込み、代わって右サイドに出た清武弘嗣へとパスが渡る。その瞬間、飛び出した山口に清武からパスが出ると、山口のフリックパスを本田が受けてタメを作り、中央に走り込んだ清武にパス。それを清武が前線に通し、大迫がゴール左隅に蹴り込んだ。
 
 こうしたコンビネーションによる崩しは最近見られなかったもので、それを実現するため、選手間の距離について事前に話しあっていたことを清武が明かした。
 
「昨日は圭佑くんの位置を見ながら、中に入ったら外に出るっていう距離感を大事にしていた。二人の距離感については試合前に話をしていた。あのシーンは圭佑くんが中に入っていってくれて、僕が外に開いて、蛍も加わって良い攻撃だったと思う」
 
 中盤では指揮官が望むようにシンプルにボールを動かし、アタッキングゾーンでは日本の強みを活かしたコンビネーションによる崩しを狙う――。
 
 ハリルホジッチ監督が望む「縦の速さ」と、日本の強みである「コンビネーションによる崩し」がうまい具合にマッチしていたように感じられた。
 
 だから、オマーン戦でのスタイルをサウジアラビア戦でさらに突き詰めていくものだと思っていたが、指揮官の考えは、どうやら異なるようだ。13日に行われた戦術練習では本田が主力組から外れ、代わって浅野拓磨が起用されたようなのだ。
 オマーン戦での本田のパフォーマンスに満足しなかったのか、オマーン戦でのチーム全体の戦い方が不満だったのか、対サウジアラビアにおける戦術上の理由なのか……。

 その理由は定かでないが、実際に本田が外れ、浅野が起用されるなら、オマーン戦とは戦い方が大きく変わる。左右のウイングで出場することが濃厚な原口元気と浅野の裏に抜け出すスピードや突破力を最大限に活かした戦い方になるはずだ。
 
「(サウジアラビアは)オランダ人の監督なので、なるべくボールを保持しようという姿勢は見受けられるけど、クオリティはそこまで高いとは思わない」
 
 そう明かしたのは、吉田麻也である。だとすれば、スタミナとスピードのある原口と浅野を起用してハイプレッシャーをかける狙いがあるのかもしれない。
 
 また、長友佑都によれば「サウジアラビアのサイドバックはすごく高い位置にいる」ため、原口と浅野に相手サイドバックの裏のスペースを狙わせたい、あるいは、相手サイドバックの攻撃参加を抑止する働きを期待しているのかもしれない。
 
 いずれにしても、本田がスタメンから外れるのなら、オマーン戦とは異なるタクティクスで戦うことになるのは間違いない。選手たちがピッチで戦況や相手の状態を見極め、臨機応変に戦う姿勢が、いっそう求められることになる。

文:飯尾篤史(スポーツライター)