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By Luca Rossato

監視カメラに映ったターゲットの顔をデータベースで検索し身元を特定するという技術は、スパイ映画などにときどき登場しますが、アメリカの実際の捜査で使われていたことが明らかになりました。この技術は、犯罪者だけでなく一般市民の顔写真から身元の特定をできてしまうため、使用に関してプライバシーの侵害という観点から議論が巻き起こっています。

How an accused drug dealer revealed JSO’s facial recognition network | Jacksonville News, Sports and Entertainment | jacksonville.com

http://jacksonville.com/public-safety/2016-11-11/how-accused-drug-dealer-revealed-jso-s-facial-recognition-network

フロリダ警察は、2016年初頭に薬物売買の容疑でウィリー・アレン・リンチ容疑者を逮捕した際に、Pinellas County Sheriff's Officeが運営する「Face Analysis Comparison Examination System(FACES)」という顔認識データベースを使ったことを明らかにしました。リンチ容疑者の特定には、アルゴリズムを使用してFACESに登録されている顔写真と運転免許証の写真を一致させるPinellas County Sheriff's Officeのソフトウェアを使用したことが、刑事裁判で判明したそうです。



FACESや検索ソフトウェアを調査したジョージタウン大学が先月発表した報告書によると、アメリカ人の2人に1人が顔認識データベースに登録されており、デモ集団に参加した人など犯罪歴のない人の検索も可能になっています。リンチ氏の調査書にはFACESを使用したという報告がなく、FACESではなく逮捕時に撮影した顔写真を登録した警察のデータベースを手動で検索したと記録されていました。FACESをどのようにして検索したかは詳細が明らかになっていないものの、おそらくリンチ氏の写真もしくは映像を入手したフロリダ警察が、そのデータを使ってFACESを検索し身元を特定したとみられています。

フロリダ警察がデータベース検索に使ったソフトウェアは検索結果で「一致しませんでした」とはならないように設計されているとのこと。つまり、元のデータと少しでも一致する部分があれば、それが候補として検索結果に表示されるというわけ。この使用方法では、誤認逮捕につながってしまう可能性があるものの、ジョージタウン大学の調査書によれば、誤用の可能性については議論されていないそうです。

今回のリンチ容疑者の件以外で、同ソフトウェアを使った捜査は行われていないとされていますが、同ソフトウェアを提供しているSheriff's Officeは「検索システムを導入したのはリンチ氏の件が初めてはない」と話しており、フロリダ警察が他の捜査でも使用している可能性があります。



By Jon Gurinsky

ある研究者は、FACESをソフトウェアで検索し顔認証を行うシステムは「透明性に欠けている」と指摘。同システムがどのように使われているのか、また、使用に制限があるのかなど詳細が一切明らかにされておらず、「フロリダ警察は運用方法について一般市民にきちんと説明すべき」と研究者は主張しています。また、Pinellas County Sheriff's Officeの広報担当者は「リンチ氏の逮捕に使用されたソフトウェアは、多数あるうちのツールの1つにすぎない」とも話しています。

犯罪者の検挙を効率化できる技術は警察にとって大変便利と言えますが、何も知らない一般市民にとっては、犯罪を犯していなくてもデモ運動に参加しただけで顔写真をデータベースで検索されることは、プライバシーの侵害とも言えること。スパイ映画などでよく登場する技術といっても、現代社会に導入するにはまだまだ議論の余地がありそうです。