第10回田辺・弁慶映画祭各賞受賞者

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 第10回田辺・弁慶映画祭コンペティション部門の各賞が、11月13日に発表された。入選8作品の中から塚田万理奈監督の「空(カラ)の味」が、弁慶グランプリ、映検審査員賞、市民賞、女優賞(堀春菜)という主要賞を独占する結果となった。

 同作は、摂食障害に悩む女子高生がある女性との出会いによって解放されていく姿を描いたもので、塚田監督の実体験に基づいている。塚田監督は「誰にも話さなかった私の事を撮りました。当時出会ったとても可愛らしい人を、幻にしたくないと思ったからです。そして、その事を汲んでくれた素晴らしいスタッフとキャストに出会って、形になった可愛い作品。もう摂食障害にはなりたくないけど、この映画を作ったことで得られたものは大きかった」と感謝を述べ、受賞に涙した。

 不安や止めることのできない衝動、そして自分を少しずつ取り戻してく女子高生の心の揺らぎを繊細に演じきった堀春菜は、「塚田監督とこの作品を一緒に作ることができて良かった」と感極まりながらも、「招待作品の主演女優としてまたこの映画祭に戻ってきたい」と更なる飛躍を誓った。

 オリジナリティがあり、次代を担う新しい才能に授与する映画.com賞は、野本梢監督の「私は渦の底から」に決定。親友への気持ちを伝えられずに悩むレズビアンの女性を、野本監督独特の感性で描いている。野本監督は「セクシャルマイノリティの方を応援したい気持ちで作りました。人を思う気持ちは普遍的だと思う」とし、長編への意欲を示した。主演の橋本紗也加がレズビアンであることに悲観的な主人公の心の変化を演じ、作品にリアリティを与えている。

 男優賞は、常識や倫理を超えて自由に躍動する人間を描いた永山正史監督「トータスの旅」の木村知貴が圧倒的な存在感で2度目の受賞となった。多くの若手監督を輩出しインディーズの登竜門として注目を集めている同映画祭だが、今年受賞を逃した作品の監督、俳優らも今後の活躍が期待される。

 また12日には、第10回記念映画「ポエトリーエンジェル」が上映され、飯塚俊光監督、ダブル主演の岡山天音、武田玲奈が上映後にトークショーを行った。17年5月、テアトル新宿ほか全国で公開される。なお、同作は一般から資金調達を募るクラウドファンディングのプラットフォーム「MotionGallery」で11月21日まで支援を募っている(https://motion-gallery.net/projects/poetryangel-film)。