精神的支柱としてチームを支えるGK川島永嗣

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 眉間にしわを寄せ、ピッチの最後尾から叱咤の声を張り上げていた男が、温かい眼差しでベンチから仲間を鼓舞するようになった。所属クラブでは出場機会がないものの、チームの精神的支柱として招集されている日本代表GK川島永嗣(メス)は「こういう状況でチームに必要なのは後ろからの後押しだと思う。一人ひとりが自信を持って戦うこと。ちょっとしたことでチームの雰囲気は変わってくるので、ベンチでやれることはやりたい」と、フォアザチームに徹している。

 W杯アジア最終予選は4試合を終えて2勝1分1敗の勝ち点7。勝ち点10のサウジアラビア、同8のオーストラリアに次ぐB組3位に甘んじている。首位サウジアラビアとの大一番を翌日に控え、「初戦(UAE戦)を落としていることで、この一戦は自分たちにとって大事なゲーム。状況はどうであれ、ホームでやるので、相手が首位だろうが、何もやらせないくらいの気持ちで試合に入っていきたい」と気合を入れたチーム最年長の33歳は、チームに迫る世代交代の波についても言及した。

「若い選手は思い切りの良さ、自分自身の良さを発揮するのが一番だと思う。自信を持って自分の能力を発揮することが一番」。若手の台頭を実感している川島は取材陣から「経験のある選手が自信を失いつつある?」と質問されると、「自信がなければこういう場所にいない。それぞれが厳しい環境の中で戦っている自負もある」と、ベテラン勢を代表して、その心構えを語った。

「役割は(日本代表に)長くいればいるほど変わる部分もあるけど、どんな選手でも試合に出られなければ(ポジションを)取り返せるように練習の中で見せる必要がある。単純に出番が回ってこないからサポートするというだけではチームは強くならない。経験のある選手は経験を出さないといけないし、若手はその勢いを出すことで日本代表をさらに上に引き上げてくれる力になると思う」

 ハリルホジッチ監督は試合前日の公式会見で「先発11人にだれを使うか、かなり考えた」と、若手の抜擢を示唆した一方で、「経験、自信も必要になる」と、ベテランの重要性も指摘。これには川島も「リーダーシップは監督の求めているところ。経験ある選手がどれだけモチベーション高くチームを引っ張っていけるかが、このチームにとって大切な力の源になる」と呼応し、「僕自身も他の選手も、もっともっとそういう部分を出していく必要がある」と、指揮官の思いを汲んだ。

(取材・文 佐藤亜希子)


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