WEEKLY TOUR REPORT
■米ツアー・トピックス

 石川遼が、約9カ月ぶりにアメリカ本土に戻ってきた。11月3日に開幕したシュライナーズ・ホスピタル・フォー・チルドレン・オープン(11月3日〜6日/ネバタ州、TPCサマリン)に参戦したのだ。

 アメリカで久しぶりに元気な姿を見せた石川。しかし結果は、残念ながら1打及ばずの予選落ちとなってしまった。今季は公傷制度の適用を受けて、20試合前後の出場で、昨季のフェデックスカップポイント125位(454ポイント)を超えなければいけない立場。1試合とはいえ、予選落ちという結果は痛手だっただろう。

  腰痛によって、昨季の2月にPGAツアーの戦列を離れた石川。その後は、日本で治療とリハビリに専念してきた。

 実戦に復帰したのは7月、日本ツアーの日本プロ選手権だった。そして、復帰2戦目となる8月のRIZAP KBCオーガスタで優勝を飾った。以降も、日本ツアーで何度となく上位争いを演じると、PGAツアーの復帰戦となるCIMBクラシック(10月20日〜23日/マレーシア、TPCクアラルンプール)でも、トップ10入り。ゆえに、先週のシュライナーズ・ホスピタルでは、パワーランキング(優勝候補ランキング)の2位に挙げられていた。

 ところが、石川自身は「何でなんでしょうね?」と、周囲の期待に少々戸惑い気味だった。

 体の状態はほぼ問題なく、「2月に比べると、(体重は)2、3kgは増えた」という。その分、胸板がひと回り大きくなって、ショットの安定感は増したように感じられた。だが、「まだまだショットに自信がある状態ではない。(この試合の中で)少しでも光を見出せればいいと思う」と、石川本人のトーンは大会前からやや低かった。

 2週間前の試合では10位。にもかかわらず、調子自体はそんなに悪いのか? そういぶかしがる私に対して、石川は「初日は緊張すると思う」と言った。その言葉を聞いて、少し驚いた。

 これが、彼にとってのPGAツアー復帰初戦なら、まだわかる。しかし、前述のとおりCIMBクラシックでPGAツアーに復帰。すでにツアーの雰囲気を味わって、4日間の戦いを経験している。それだけに、ちょっと面食らった。

 やはり、アメリカ本土の大会となると、彼にとっては少し意味合いが違うのだろう。そして、この緊張こそ、石川にはPGAツアーでしか得られないものなのである。

 2013年から米ツアーを主戦場として、これまで何度か優勝争いもしてきたものの、現状は予選通過に四苦八苦し、シードを確保するのが精一杯な状況にある。一方で、日本ツアーに戻ると優勝を手にしてしまう。昨年も、一昨年もそうだった。

 どうして石川は日本だと強いのだろうか? そう思うファンも少なくないはずである。

 当然、日米ツアーの選手のレベルに違いはある。さらに、石川は言う。

「PGAツアーならではの"緊張感"がある。また、自分のスイングに自信が持てていないから、ミスショットをしたくないと思って、守りに入ってしまう。するとその結果、ミスショットになってしまう」

 シュライナーズ・ホスピタルでも、1打のミスが大きく響いた。

 第2ラウンド、通算2アンダーで16番パー5を迎えた。予選通過には、バーディーが絶対に必要という場面だった。

 ティーショットはフェアウェーをとらえ、2打目はピンまで218ヤードの距離だった。石川は「セーフティーに左目を狙った」というが、結果は「ちゃんとボールに当たらなかった」と、ミスヒット。グリーンにはわずかに届かず、ボールは池の中へ消えた。

 結局、このホールはボギー。日没サスペンデッドで3日目の朝にずれ込んだ最終18番ホールでは、緊張から解き放たれたのか、バーディーを奪ったが、最終的に1打及ばず、決勝ラウンドに進むことはできなかった。

「PGAツアーのパー5はトリッキー。昨シーズンも、その前のシーズンも、パー5で攻めていって、バーディーが取れていない。ちょっと自信のないシチュエーションだったり、プレッシャーでミスショットになったり、というのがすごくあるんです」

 今回は、予選通過のプレッシャーだったが、これが優勝争いなら、もっと大きな重圧がかかるのは間違いない。今の石川は、そこを乗り切れるだけの力があるのか。

「あの16番パー5は、たとえトーナメントリーダーで迎えたとしても、うまく打てなかったと思う。昔は『怖いな』と思ったら、マン振りしていたけど、今は振れなくなっている。(攻めることが)できているラウンドもあるけど、アメリカに来てからはなかなかできていないと思う。

(PGAツアーでは)毎ホール、プレッシャーはあるけど、まあ慣れもあるだろうし、どこかで1回殻を破れれば、『ああ、こんなものか』ってできると思う。だから、常に(コースを攻略する)対策はしておかなければいけない」

 石川が抱える"緊張"を拭い去るには、練習しかない。予選落ちしたあと、石川はすぐにドライビングレンジに向かった。

 松山英樹のように殻を破ることができるのが、いつになるかはわからない。しかし、それが実現できれば、PGAツアーでもきっと、石川は日本で戦うときと同じように自信を持ってプレーできるだろう。

 石川は今週、OHLクラシック・アット・マヤコバ(11月10日〜13日/メキシコ、エル・カマレオンGC)に挑んでいる。今大会でも、優勝候補ランキングは13位と高い評価を受けている。それに応えるだけの、好結果が出ることを期待したい。

text by Reiko Takekawa/PGA TOUR JAPAN