新世代の台頭はすぐ「限界説」を呼ぶものだけれど、20代で限界なんてことはきっとないので全員頑張れと思う件。
ポニーテールは振り向かない!

台頭する新世代と、対照的に苦しむ名選手。フィギュアスケートGPシリーズ・フランス杯は喜びと痛みが交錯するような大会でした。いや、それはいつも、どんな大会でもそうなのかもしれないけれど、大きな痛みが喜びをかき消すからこそ、「交錯」という感覚になるのかもしれません。

浅田真央さんのフランス杯は、総合9位という大惨敗でした。自身のGPシリーズのキャリアでも最低の順位で、試合後には「自信がすべて失われた」と語り、止められない涙をこぼしたほど。見ていられないような姿。日本勢では樋口新葉さんがGPシリーズデビュー戦で3位という好結果を残したのに、心がお祝いに走らないような、重苦しい大会となりました。

ひとつ、確かなことは、真央さんはいつこの辛さから逃れることも自由だということ。「もう止めます」と言ってしまえば、ヒザの痛みに悩むことも、跳べないジャンプに苛立つことも、ない。みなに祝福され、労われ、レジェンドとしての温かい扱いを受ける。これまでに積み上げた幾多の栄光が、当然そうしたもてなしを約束してくれる。快適で心地いい未来がある。

しかし、何かやり残したことがある。本人にしかわからないことかもしれませんが、五輪に置き忘れたものがある。それを取り戻すために。SNSなどを見れば、辛辣な言葉も目に入ります。どれだけのものを受け取り、楽しんできたかを忘れたかのような、感謝の見えない言葉たち。そんな耐えがたいものに耐えても、取り戻したいものがある。

野球で聞いた言葉に、「引退する場所を選べる選手」というものがあります。偉大な選手には、誰の言葉でもなく、誰の指図でもなく、自分で自分の未来を決める権利があるという意味です。真央さんは当然そういう次元の選手であり、真央さんはその場所を「平昌五輪」と決めたのです。

もちろん、出たいからといって出られるものではなく、最大でも日本からは3人しか出られない狭き門ですが、力及ばず敗れるまでは終わらない。挑戦しなければ「置き忘れたことに気付いている」後悔になってしまうけれど、挑戦の果てであれば「取りにいったけどダメだった」という諦めにもできる。2017年の全日本、2018年の五輪、この2大会で笑えるなら、あとは全部泣いてもいい。

ハーフ・ハーフの辛くて苦しいほうの道を選んだ。

ならば、道が途絶えるその瞬間まで、涙を振り切って、前へ。

ということで、「真央ちゃんが泣くとコッチも泣いちゃう年代」という老いを自覚しつつ、12日・13日のテレビ朝日中継による「フィギュアスケートGPシリーズ GPフランス」をチェックしていきましょう。


◆26歳はまだやれる!伸びてる選手がいる!限界説なんてウソ!


まさに新世代台頭というにふさわしい大会。まず驚かされたのは男子シングル。近い将来の脅威として静かにその名を広げてきたネイサン・チェンがついにGPシリーズに登場しました。SPでは4回転ルッツ、4回転フリップの2度の4回転。さらにフリーではサルコウとトゥループも交えた5度の4回転。4回転の申し子のような演技構成は、多少の演技の粗さなど引っくり返すだけのインパクトがあります。

フリーでは2度の転倒もあり、得点を伸ばし切ることはできませんでしたが、それでも4位。予定通りのことを全部やり切ったなら、この大会で優勝したハビエル・フェルナンデスにすら届きかねないという滑りは、平昌まであと1年少しあることを考えれば十二分に「射程圏内」と言っていいもの。こうした若手の存在を見れば、現時点の有力選手も守っている場合ではありません。全力で攻めないと、いつ引っくり返されるかわからない。全員が全力を出して、はたしてどうなるのかという、怖いけれど楽しみな戦いへ。またひとつ、平昌のメダル争いが面白くなりました。

↓トリプルアクセルにすべきところがダブルになっているだけで、ちゃんとやり切ったならすでに100点ゾーンに届くSP!


選手A:「アメリカだよな!アメリカ国籍だよな!中国じゃないよな!」

選手B:「アメリカだよな!アメリカ国籍だよな!カナダじゃないよな!」

選手C:「4回転フリップって、普通なんですかね…」

選手D:「望むところです。もともとそういう戦いになると思っていましたし、僕自身がそういう戦いへと導いてきた自負もあります。やはり、競技として新しい時代を切り拓いていくことは必要であり、そうなってこそ未来があるし、今この時代のトップで戦っている意味もあると思います。ただ、僕自身はさらに先を見ているし、もっと上を目指せると思っていますし、フィギュアスケートという競技もさらに高みがあると思っています。やはり、誰かに任せるのではなく、僕自身がそこにたどりつきたいし、そうでなくてはいけない。やはり、ただ勝つのではなく、全員がレベルアップをして、全員が最高の演技をする中で、自分がさらにそれを上回る演技で完璧に勝ちたい。そうじゃないと選手Dではないと思っていますので、そうありつづけられるように全力で練習をしていきます。ありがとうございました」

選手E:「ハハハ、イイネ!」

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そんな若手の刺激を受けるかのように、常連勢も好演技。優勝したハビエル・フェルナンデスはまぁ当然という貫録の滑りでしたが、ソチ五輪銅のデニス・テンもGPシリーズでは2年ぶりの表彰台となる復活の演技。日本の無良崇人さんは、順位こそ5位というところにとどまりますが、内容としては悪くない演技。フリーでは4回転を2度しっかりと決め、自慢のトリプルアクセルでは大きな加点をもらいました。

本当はもうひとつ4回転を入れたいところですが、準備していた4回転サルコウを回避したあと、3連続ジャンプの3つめを2回転サルコウにしたあたりは対応も含めて落ち着いていました。演技中にみなぎる気迫も含めて、全日本で戦う準備は整ったかなというところ。スピン、ステップの細かな取りこぼしなど、全日本に向けて上げていってほしいものです。

↓とりわけ光ったのはフリー・総合で自己ベストを更新したアダム・リッポン!



選手F:「新しい選手が出てくるのは素晴らしいこと」
選手F:「自分自身の刺激にもなる」
選手F:「競い合って、ともに平昌を目指したいね」

伸ばしてくるねベテラン!

4回転は1本だけど、ほかは全部取れるだけ取った!

27歳でもまだまだ自分は超えられる!

同じく女子シングルも、若手の台頭が光りました。すでに実績あるロシアのメドベージェワ、カナダのデールマンあたりも十分若いわけですが、さらにそこにGPシリーズデビュー組が割って入る展開。ロシアのソツコワは16歳、日本の樋口新葉さんは15歳。ソツコワはトータルで200点を超えてくるという世界トップのチカラを示し、樋口新葉さんもSPで2回転となったジャンプの要素ヌケぶんがなければ200点に届いていた高得点。

すでに全日本でも2位になっている樋口さんは、スピード感ある滑りと大きなジャンプで注目を集めているわけですが、今回はそこにさらなる魅力も乗せてきていました。フリーで見せたシェヘラザードの熱演。入場時点から頭にでっかい金の輪っかをつけてくるなど、目を逸らそうとしてもほっぺたをつかんで強引に振り向かせるような力強さがありました。ミキ・アンドーの系譜を継ぐ選手として勝手に決めつけておきますので、このままどんどん伸ばしていってほしいものです。

↓僕がジャッジなら衣装減点に間違って1票入れてしまいそうな、色気が漂うシェヘラザード!


何故ヒトは、シェヘラザードをやると、どんどん盛ってしまうのか!

グレイシー・ゴールドのキラッキラよりもさらに眩しい!

いっそ来季は火の鳥とかマラゲーニャはどうかな?

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「才能ある女子高生を温かく見守りたい」という、僕の魂の願いとも合致する充実ぶりには、大きな喝采を贈りたいような大会。日本勢の永井優香さんも含めて、女子高生が次々に世界トップの演技を見せ、明るい未来を感じさせてくれました。それだけに常連勢の苦しい演技もまた、一層苦しいものとして感じられてしまう。

テレビに映ることなく華麗にカットされたロシアのレオノワは、SPではハーレイ・クインの衣装で元気なところを見せましたが、フリーでは5回の転倒で「-1.00」「-1.00」「-2.00」「-2.00」「-3.00」とドンドン減点幅が大きくなるルールによって、合計で9点もマイナスされるという結果に。「滑ってる途中にコケたのは氷がビチャビチャなせいじゃないの!」と文句を言いたくなるところもありますが、決まりなので仕方ありません。

↓ハーレ・クインはNHK杯では映してくれるはず!やっぱり頼みはNHKしかない!


もうすぐ26歳が頑張ってるんだぞ!

ハロウィンで制服着るくらいの勢いで頑張ってるんだぞ!

テレ朝も面白名場面として映していこうや!

そして、日本の浅田真央さん。冒頭のダブルアクセルは余裕をもって決めるも、フリップからのコンボは抜けて単独のダブルフリップに。ルッツも2回転になり、フライングキャメルスピンもレベル4を取れません。さらに演技後半のジャンプでも、ダブルアクセルからのコンボでは、セカンドジャンプが回転不足の判定。さらにダブルサルコウ、ダブルフリップとことごとくジャンプが2回転になっていきます。ようやく決めたトリプルループも大きくよろめき、散々なジャンプの出来栄え。

それでも真央さんは止めない。スピン・スピン・ステップと連続するクライマックスでは、レベルも加点もキッチリと取る、投げやりにならない演技。真央さんは戦っている、競技者として戦っている。ひとつでもレベルを、ひとつでも加点を。これまでの実績を考えれば「GPファイナルもないし、もう今日は打ち切りー」で投げてしまってもいいくらい散々なデキなのに、真央さんは最後まで出来るかぎりをつづけます。

立派だと思います。ありがたい。そして、大丈夫だとも思わされます。戦っているかぎりは、何かをやってくれるのが浅田真央という選手。これまでもそうでしたし、この先もそうでしょう。演技後には「自信がすべて失われた」「ティッシュはありますか」と涙を流したといいますが、自信を失う必要などまったくありません。ほぼ全部のジャンプが2回転になるような状態で、自信もへったくれもないのです。両足が折れていればウサイン・ボルトだって走れないのです。

自信を失ったかどうかは、会心の演技ができて、なお何もかも通じないと観念するような日がきたときに初めて考えればいいこと。そして、もしそんな状況に至ったら、気付くと思うのです。失われたものがあったとしても、残るものもまたあるのだということに。まだ26歳、真央さんはまだまだ伸びる。年を感じるのは30歳を超えてから。まだまだ若手、まだまだこれからです。ソチ五輪のフリーを超える、人生のピークはこの先の未来にきっとあるはず。信じて進んでほしいものですね。いい結果でも、悪い結果でも、物語の終わりはそれにふさわしい舞台で迎えたいですからね。

↓自信を失う必要はない!ジャンプの回転数が足りないだけだ!


心技体は、体技心の順番で作られる!

心が弱っているときは、身体が弱っているんだ!

肉を食い、そして寝る!

体調が戻ってきたら、もう一度「自信はゼロか?」と自分に聞いてみよう!

答えはきっと違うから!

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ネピアさん!ふわふわまおまおのティッシュをとりあえず届けて!