日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督【写真:Getty Images】

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変化しつつあるハリルJの布陣。歴戦の勇士も立場は危うく

 日本代表は、11日に行われたオマーン代表との親善試合を4-0で快勝した。長友佑都、香川真司、本田圭佑らチームを長年支えてきた選手たちの立場が不動ではなくなっている一方、清武弘嗣や大迫勇也ら新たな選手がその立場を固めつつある。しかし、その中でヴァイッド・ハリルホジッチ監督は長谷部誠のパートナーをいまだ見つけられていないように見える。これまでは柏木陽介、山口蛍、オマーン戦では永木亮太が中盤で先発起用されてきたが、ワールドカップ出場に向けて指揮官はその答えを一刻も早く見つけ出さなければならない。(取材・文:ショーン・キャロル)

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 ゆっくりとではあるが、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督における日本代表ベストイレブンの布陣は変化しつつあるようだ。

 このチームで過去2大会のワールドカップを含むサイクルを過ごしてきた歴戦の勇士たちは、先発イレブンの座を保証されない状況にあることがますます明確となってきた。理由は不調によるものであったり、コンディションによるものであったり、その両方というケースもある。代わって新たな選手たちが、チームが成功を収める可能性のカギを握る存在として立場を固めつつある。

 例えば長友佑都は最近5試合に先発していない。香川真司も、今でも重要な試合には先発する傾向が強いとはいえ、スタメンから外れることもある。岡崎慎司は昨年9月8日以来90分間フル出場した試合がない。さらには本田圭佑でさえも、もはや2年前のような不動の存在ではなく、金曜日の夜に行われたオマーン戦では4試合連続となる途中交代を告げられた。

 一方では原口元気や、何より清武弘嗣が好調なパフォーマンスを見せ続けており、ハリルホジッチ監督には起用を続ける以外の選択肢はなくなっている。酒井宏樹と酒井高徳も両サイドバックのファーストチョイスの座を固めた様子だ。

 カシマスタジアムに戻ってきた大迫勇也がゴール前での決定力を発揮したことも、岡崎の調子が良くなくとも、その穴を埋められる選手であることを示した。現在の岡崎が“サムライブルー”において好調ではないことは明白だ。ブルガリア代表を7-2で粉砕した7試合前の試合を最後に、岡崎の通算得点数は「49」のまま止まってしまっている。

ハリルが苦悩する長谷部のパートナー

 だが、ハリルホジッチ監督が答えを見つけ出すのに最も苦慮しているのは、中盤の中央のポジションのようだ。

 遠藤保仁が日本代表での最後の試合を戦ったのは、ハビエル・アギーレ前監督のもとで出場した2015年1月のアジアカップ準々決勝でUAE代表に敗れた試合だった。

 ハリルホジッチ体制となってから、ガンバ大阪のスター選手を復帰させることが考慮された様子はない。だが、日本代表の最多キャップ保持者が国際キャリアを終えて以来、空席となった7番のポジションを確実に掴み取る選手は現れていない。

 その役割を任せるべく様々な選手がテストされてきた。金曜日にデビューを飾った永木亮太は、ハリルホジッチ監督が昨年3月に就任して以来、ピッチ中央に起用された11人目の選手となった。だが、ボスニア人指揮官の好む組み合わせがどの2人なのかはまだ明確ではない。

 6月に行われた親善試合のブルガリア戦、ボスニア戦に長谷部誠と柏木陽介が先発して以来、同じペアが2試合連続で起用されたことはない。

 その後は柏木と山口蛍を使い分ける傾向だったが、キャプテン長谷部のパートナーとしてファーストチョイスの座を確定させるほどには、ハリルホジッチ監督はどちらにも納得しきれていない様子だ。長谷部はオマーン戦で休みを与えられるまで8試合連続で先発していたことを考えれば、自身最後とも思われるワールドカップ本大会を戦えることが保証されているとみなすべきだろう。

「自分がチーム内で確かな存在になったとはまだ感じていません。自分の場所が安泰ではないという前提でプレーを続けるべきだと思います」と山口は、今回も安定したパフォーマンスを見せたカシマスタジアムでの試合後に話していた。

「新しい選手たちも入ってきています。今日の(永木)亮太も良いプレーをしていたと思います。チーム内には激しいポジション争いがあるということです」

W杯に向けて中盤の安定感は不可欠。指揮官は一刻も早い“答え”を

 そのポジション争いについて一つ興味深いのは、ハリルホジッチ監督がより経験豊富な選手を中央に配置することに傾きつつあるという点だ。柴崎岳(24歳)や遠藤航(23歳)、大島僚太(23歳)といった若い候補たちも試してきたが、あまり好印象は得られなかったようで、いずれも現在は対象外とされてしまっている様子だ。

 28歳という円熟した年齢での代表初出場となった永木が招集されたことも、その傾向を裏付けている。オマーン戦での永木は代表での経験が最も浅い選手でありながら、先発したフィールドプレーヤーで2番目の年長選手だった。それでもさほど緊張した様子はなく、中盤の底で堅実なパフォーマンスを見せていた。

 青山敏弘も指揮官の構想からは外れてしまったように見える状況で、ハリルホジッチ監督はキャプテン長谷部が負傷した場合などの代役として永木の起用を考慮する可能性があると捉えることができる。

「招集した理由について、監督から個人的に話を聞いたわけではないですが、ボールに向かって戦う力を評価してもらっていると思います。プレーする時にはその力を見せられるよう全力を尽くしたいですね」と永木は語った。

「守備的MFというのは、本当にチームの鍵になる可能性のあるポジションだと思います。自分に何がやれるかという自己中心的な本能を抑えて、中盤でコンビを組む選手のポジショニングを考えるべき時もあります。そういうバランスに気を配りつつ、チャンスがあれば前にも行けるようにしたいと思います。そういった形で自分の力を見せたいです」

 だが火曜日のサウジアラビア戦は、早くも最終予選の折り返し地点であり、ハリルホジッチ監督にとって、各種のテストを行う時間は終わりに近づきつつある。6大会連続のワールドカップ出場を果たすためにはチームに安定感が必要であり、それを得るためには監督が適切だと考える中盤の組み合わせを一刻も早く見つけ出すことが不可欠だ。

(取材・文:ショーン・キャロル)

text by ショーン・キャロル