11日のオマーン戦では1トップの大迫勇也(左)とトップ下の清武弘嗣(右)が絶妙の連携を見せた【写真:Getty Images】

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読めないサウジ戦の攻撃陣。本田・香川・岡崎が揃ってベンチの可能性も

 サウジアラビア戦を明日(15日)に控えた日本代表。オマーン戦で大迫勇也と清武弘嗣が結果を出したことで先発メンバーは読みにくい状況にある。フレッシュな面々となるのか、あるいは先発落ちが噂される本田圭佑、香川真司や岡崎慎司がこれまでのようにピッチに立つのか。いずれにせよサウジ戦は様々な意味でラストチャンスであることに間違いない。(取材・文:元川悦子)

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 2018年ロシアW杯アジア最終予選前半戦の天王山となる15日のサウジアラビア戦(埼玉)が目前に迫ってきた。12日まで鹿島でトレーニングしていた日本代表も決戦の地へ移動。13日は夕方17時過ぎから試合会場の埼玉スタジアムで非公開練習を行ったが、チーム全体からこれまで以上の緊張感が見て取れた。

「今年最後の試合で(最終予選)前半戦の大一番だと思う。UAEに負けて自分たちで蒔いた種をちょっとずつ取り返してきて、ここでやっと振り出しに戻る試合。何が何でも勝ちたいというのはありますね」と岡崎慎司(レスター)も強調した通り、この一戦の重要性は誰もが強く理解している。

 本番に向けて気になるのは、指揮官がサウジ戦に誰を抜擢するかという点。GK西川周作(浦和)、センターバックの吉田麻也(サウサンプトン)、森重真人(FC東京)、ボランチの長谷部誠(フランクフルト)、山口蛍(C大阪)らは確実にスタメンに名を連ねるはずだが、問題は攻撃陣の組み合わせだ。

 11日のオマーン戦(鹿島)では1トップの大迫勇也(ケルン)とトップ下の清武弘嗣(セビージャ)が絶妙の連携を見せ、それぞれ得点する大活躍を見せただけに、2人の連続先発が期待されるところ。

 低調なパフォーマンスに終始した右サイドの本田圭佑(ミラン)の先発落ちもまことしやかにささやかれ、アルベルト・ザッケローニ監督時代の遺産とも言える「攻撃陣3枚看板(本田・香川・岡崎)」が揃って控えという状況も十分に考えられる。

 ただ、13日の練習後に香川真司(ドルトムント)は「右足首の状態はもう大丈夫」といきなり語気を強めた。サウジ戦に向けても「ピッチの中で起こり得る状況を僕たちが判断してやっていきたい。ボールタッチを多くしながらやれば、チャンスは自ずと増えてくるんじゃないかと思う」と具体的なイメージを口にした通り、本人の中ではスタメン出場を諦めるつもりなど一切、ないようだ。

外国人監督が最後に信頼するのは従来の主力だが…

 実際、10月のイラク(埼玉)・オーストラリア(メルボルン)2連戦でも、ハリルホジッチ監督は清武と香川を1試合ずつ使っており、2人を併用したい思惑が透けて見えた。香川をトップ下に配置する場合、1年5ヶ月ぶりに代表復帰した大迫とはオマーン戦で共演していないため、サウジ戦でタテ関係で形成するのはやや難易度が高い。

 となると、やはり長年コンビを組んできた岡崎が最前線に入ることになる。この日の非公開練習中の紅白戦では香川が控え組に入ったとの情報もあるが、指揮官もギリギリの段階まで判断を先延ばしにするはずだ。

 右サイドにしても、本田を外した場合の選択肢は浅野拓磨(シュツットガルト)、久保裕也(ヤングボーイズ)、齋藤学(横浜)のいずれかで、スピードスター・浅野の抜擢は確かに効果的なチョイスと言える。

 が、クラブの苦境に関係なく代表で結果出し続けてきた本田を外した場合、チーム全体のメンタル面に影響が出る恐れも否定できない。セビージャで右サイドを担っている清武を配置する妙案もあるが、指揮官は代表ではテストしていない様子。この選択も現状ではなさそうだ。

 ザック、ハビエル・アギーレ監督もそうだったが、外国人監督が土壇場で信頼を寄せる面々と心中するケースは多い。やはりハリルホジッチ監督も悲壮な覚悟を持って3枚看板にラストチャンスを与える…。最終的にはそういう決断になる可能性は大いにある。

 こうした予想通り香川が先発する場合、あるいは途中出場であったとしても、オマーン戦の清武以上の存在感を示さなければ周囲は納得しないし、日本代表も勝ち点3を取れないだろう。

 本人も「(オマーン戦で)キヨはキックの精度であったり、アシストする能力がホントに高いと改めて感じたし、自分も参考にする必要があるのかな」と素直に後輩を認めていた。とはいえ香川は試合に出場した際のイメージを具体的に描いている。

ハリルと3枚看板にとってラストチャンスとなるサウジ戦

「キヨも言っていましたけど、わりと自由に動くことでリズムや距離感が生まれたりしたと。試合を見ていて、最初の20分までは4トップみたいな形になっていた。キヨもバイタルのエリアで相手の2ボランチの間でボールを受けようとやっていましたけど、あそこでは受けられない。少しバランスを崩しながら、個人の判断でやっていくことが求められると思います」とも発言。自らが主導権を持って周りを動かす力強さ、大胆さの必要性を強く認識しているようだった。

 岡崎とのタテ関係はハリルホジッチ体制発足時からのベースになっていて、2人の連携面については問題ない。9月のUAE戦(埼玉)以降は共演していないものの、3月のシリア戦(埼玉)、6月のブルガリア戦(豊田)などではお互いに活かし活かされる関係を作った結果、香川が複数ゴールを奪う形になった。

「このチームにはいい選手がトップ下にいる。1トップが点を取ろうとするなら、トップ下にボールが入った時がチャンスになる。そういう意味でも、チームの基本は1トップにトップ下だと思う」と岡崎も語った通り、タテ関係の彼らが近い距離感で連動して初めて相手を攻略でき、ゴールを脅かすことができるのだ。

 10月のオーストラリア戦では守備的な戦い方を取ったため、消える時間帯の長かった香川だが、今回のサウジ戦はホーム。主導権を握る時間が長くなり、彼の良さも出やすくなる。そのアドバンテージを活かして自らゴールを奪い、日本に勝ち点3をもたらしてくれれば、再び世論を味方につけられる。

 日本代表を香川ら3枚看板中心のチームに戻すのか否か。ザックの遺産がこの先も失われず続くのかあるいは最後なのか。ハリル監督が来年も采配を継続できるのか。その全てが今回のサウジ戦で決まると言っても過言ではない。これまでの主力が背負う責任は極めて重大だ。

(取材・文:元川悦子)

text by 元川悦子