韓国の検察当局は13日、朴槿恵大統領の友人・崔順実(チェ・スンシル)容疑者による国政介入疑惑の捜査で、朴氏に対し15日または16日に参考人として聴取を受けるよう要請。朴氏は15日にも受け入れを表明する見通しだ。

韓国では内乱罪などをのぞき、現職大統領は訴追されないが、朴氏が聴取要請を受け入れれば、韓国憲政史上初めて現職の大統領として検察の捜査を受けることになる。

一方、12日にはこの問題を巡り、朴氏の退陣を求める大規模な集会とデモが12日、ソウル中心部で行われた。参加者数は、主催者発表で100万人、警察推計でも26万人に達し、韓国が1987年に民主化して以降では最大規模となった。デイリーNKジャパンも当日、現地でデモの様子を取材している。

参加者数が主催者発表と警察推計とで大きく食い違っているが、これは計算方法の違いによるものだ。当日の雰囲気から言えば、100万人が集まったとの確証はないまでも、警察の推計は少なすぎると言える。少なく見積もっても50〜60万人、延べ数なら100万人近くに達していてもおかしくない。

「愛人ホスト」に飽きた?

現場には、多種多様な人々が集まった。韓国を代表する戦闘的労組や、野党の支持団体が存在感を示したが、数としては個人で参加した一般市民の方が多かったようだ。その中には、デートのように手をつないだ恋人同士や、制服姿の高校生ら若者たちも目立った。

ただ、そのような参加者たちがひとつの政治勢力として結集しているかというと、そうではない。

たとえば戦闘的な労組は、朴氏の退陣を求めるだけでなく、与党セヌリ党や財閥にも攻撃の矛先を向けた。「労働者と資本家に和解はあり得ない」などともアピールしていた。熾烈な就職戦線に備えて猛烈な受験勉強をしながら、その合間に足を運んだ高校生たちとは、相容れない世界観だろう。

それに、崔順実ゲートが宗教や愛人ホスト、大企業との癒着まで、あまりに色々な問題に波及しているため、ついていくことが出来ず、「少なくない国民が飽き始めている」との指摘も現地で聞かれた。

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そもそも、大統領を退陣させるだけでも大仕事だ。実現の可能性を高めるには、「100万人」のメッセージを「退陣せよ」の一点に集中させた方が良かったかもしれない。

それに、かつて強烈な反共教育が行われていた韓国には、高齢者を中心に、左翼アレルギーを持つ人が今も多い。大統領に幻滅しつつも、左翼の伸長を嫌い、むしろ朴政権を支える選択をする人が増える可能性もある。

そもそも、デモを主催した市民団体や労組は、何をねらっていたのか。一連の経緯などについては、韓国の政治や社会の動向を日本語で易しく解説しているニュースサイト「韓国大統領選2017」が最も詳しい。写真やインタビュー類も豊富だ。

かいつまんで言うなら、大規模集会とデモによって国民の意思を示し、それによって与野党指導者の決意を促し、朴氏辞任から大統領選に至るスケジュール調整に入らせようという所に目的があった。

参加者の政治姿勢にバラつきがあったことを考えれば、大統領の出身母体として危機感を募らせる与党セヌリ党が動くかどうかは微妙だ。しかし、韓国メディアで詳しく報道された当日の圧倒的な光景は確実に、朴氏の心理的なプレッシャーを重くしただろう。