サイト「グーグル」より

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 米グーグルの持株会社である米アルファベットの2016年7〜9月期決算が発表された。売上高は224億5,100万ドルで、純利益は50億6,100万ドルだった。前年同期比は、それぞれ20%増と27%増で、どちらも大幅なプラスとなった。

 こうした好調の背景には、売上高の約9割を占める広告収入の伸びが存在するが、特にモバイル検索や動画サイト「YouTube」の広告収入では23%増を達成して、収入に大きく貢献した。モバイル検索市場で9割を超えるシェアを占めるグーグルは、パソコン検索市場に続いて、今やモバイルユーザーを検索連動広告へと誘導する堅牢なビジネスモデルを築き上げた。

 だが一方で、最近のグーグルの事業動向で気になるニュースも多い。新たな成長の柱として期待される事業で、幹部が相次いで辞任しているのである。

 今年の6月には、グーグル傘下でスマートホーム事業を手掛ける米Nest Labsのトニー・ファデルCEO(最高経営責任者)が辞任した。8月には、持ち株会社アルファベット傘下で自動運転車の開発プロジェクトを統率してきたクリス・アームソンCTO(最高技術責任者)が辞任している。このほかにも、プロジェクト・ルーンやドローンなどの事業においても幹部が次々と辞任し流出が止まらない。

 こうした大物幹部の流出には、開発や運営方針などで他の経営幹部と対立するなどさまざまな理由があるとされるが、短期間にかくも多くの幹部が辞任するのは尋常ではない。その主な理由のひとつに、コスト抑制の方針が近年アルファベットのグループ全体に浸透しつつあるという事実が存在する。

●大きな足かせ

 この方針を統率しているのが、ルース・ポラットCFO(最高財務責任者)である。15年5月に米モルガン・スタンレーからアルファベットに移籍して以降、これまでグループ全体の財務引き締めに注力しコスト抑制に努めてきた。

 だがこうした方針が、X(エックス)など革新的な技術やサービスを開発しようとする試みに大きな足かせとなり、新たな成長の芽を摘むことがあってはならない。たとえば、グーグルカーの開発は、自動車産業に新たな布石を打っただけでなく、その未来の在り方や開発の方向性を示す大きな指針となった。

 経済の成長には、創造的破壊が不可欠である。画期的な製品やサービスを開発することで新たな需要が生まれ、雇用の増大やスピルオーバー効果などで産業は活性化される。それは、間違いなく新たな投資機会へとつながるものであり、企業の成長においても重要な位置づけとなる。

 現代社会では、創造的破壊を牽引できる企業は決して多くはない。グーグルカーの開発などアルファベットの革新性の追求はこれからが本番を迎える。今後も「70対20対10の投資ポートフォリオ」(リソースの70%をコアビジネスに、20%を成長プロダクトに、10%を新規プロジェクトに投資)を貫き、アルファベットの次なる革新が生まれることを期待したい。
(文=雨宮寛二/世界平和研究所主任研究員)