「お年寄り進みが遅い」 がんの進行スピードは年齢で違う?

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執筆:Mocosuku編集部
監修:坂本 忍(医師・公認スポーツドクター・日本オリンピック委員会強化スタッフ)

日本人の死因・第一位である「がん」。

2015年にがんで亡くなった人は37万346人だそうです。

がんは一般に「お年寄りのがんは若い人に比べて進行スピードが遅い」といわれることが多いのですが、実際に年齢とがんの進行スピードは関係あるのでしょうか?

詳しく見ていきましょう。

「早期発見」も発生から10年以上経過

一般的な検査「X線検査」でがんが見つかるのは直径約1センチの大きさになったときです。

このときの重さは約1グラム、がんの細胞数は約10億個といわれています。

このサイズで見つかっていれば「早期発見」と呼ばれますが、実はがん細胞が発生してからすでに10年以上経過している状態です。

がんの症状は2〜3センチほどの大きさに成長したときに出てきますが、がんの種類や状態によっては5センチ以上になっても目立った症状が出ないことがあります。

そのため、症状が出てからではすでにがんが他の臓器へ転移していたり、臓器を圧迫したりしている可能性があるのです。

「がん」はどうやって進行する?

がんは、大きくなればなるほど進行スピードが速くなります。

「がんが大きくなる」というのは「がん細胞の数が増加する」ということを指し、増えた細胞が分裂しながら「がん」が大きくなっていくことを言います。

がんが増殖すると周囲組織への浸潤に加え、全身に転移しはじめ、がんの増殖を抑えるのが困難になります。抗がん剤でがんを小さくしても、がん細胞に耐性がついた場合は抗がん剤が効かなくなり、増殖スピードも速くなります。

お年寄りは進行スピードが遅い?

よく「若い人はがんの進行が速い」「お年寄りのがんの進行スピードは遅い」などといわれることがありますが、これは誤りです。

がんの進行スピードは、がんができた場所や種類によって違います。胃がんや肺がんは比較的進行が速いですが、乳がんはゆるやかだとされています。

年齢によってがんの進行スピードが変わることはありません。一方で、がんには「低分化型がん」といって、がん細胞が細胞としての機能を持たない状態でできているものと「高分化型がん」というがん細胞がある程度細胞としての機能を残した状態でできているものがあります。

がんの進行速度が速いのは「低分化型がん」であり、これはお年寄りよりも若い人のほうができやすい傾向があります。

また細胞周期が短いので化学療法によく反応すると言われています。

繰り返しになりますが、年齢によってがんの進行スピードは変わるわけではありません。


何歳であっても早期発見、早期治療が望ましいのです。


【参考】
公益財団法人 日本対がん協会『がんの動向』(http://www.jcancer.jp/about_cancer_and_checkup/%E3%80%8C%E3%81%8C%E3%82%93%E3%80%8D%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/%E3%81%8C%E3%82%93%E3%81%AE%E5%8B%95%E5%90%91)