Doctors Me(ドクターズミー)- あなたも気をつけて!お酒で眠るのがNGな理由

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現代人は様々なストレスにさらされながら暮らしています。仕事の悩み、家庭内の問題、人間関係、騒音などなど…。布団に入ったものの、悶々と考えごとをしてしまいなかなか寝付けない、という経験は誰しもありますよね。 そんなときに、お酒を飲めば気持ちよく眠れるかも!と考えてしまうこともあるかと思いますが…。今回は、眠るためにお酒を飲むのはやめましょう、というお話です。

お酒で眠るのはなぜ良くないか?

「睡眠薬に頼るよりは、お酒の方がまだよいでしょう?」と聞かれることもありますが、そんなことはないのです。確かに、お酒を飲むといい気持ちになって、眠くなります。 しかし、残念ながらお酒は良質な睡眠を保証してくれるわけではないのです。寝つきはよくなりますが、眠りは浅くなるため、途中で目が覚めてしまったり、嫌な夢を見たりします。 これは、どんなお酒でも(ビールでも、焼酎でも、日本酒でも、ワインでも、ウィスキーでも)同じことです。 お酒の利尿作用によって、トイレに行きたくなって目が覚め、足元がふらふらしているから転んでしまった、なんて方もいます。また、睡眠時無呼吸症候群という病気にかかっている方では、寝酒が無呼吸を悪化する、とも言われています。怖いのは、「前は酒で眠れたのに、最近眠れない。量が足りないからかな」と考えて、飲む量がだんだん増えてしまうことです。お酒の寝つきをよくする効果は、連用して3から7日で耐性ができてしまうため、長続きしないといわれています。量が増えるにつれ、翌日に持ち越してしまい、仕事へ影響が出たり、車の運転に支障を来したり…怖いですね。 寝酒、というつもりはなくても、毎日晩酌をするのが習慣になっていて、その後すぐ寝てしまう、という方も同様に要注意です。

お酒は辛いことから逃れるため、眠れないときに眠るためのもの?

健康診断の問診票を見ていると、30代〜40代の方で、男性でも女性でも、「毎日飲酒をする」という項目に〇をつけている方が増えているように思います。 同様に、「よく眠れない」という項目に〇をつけている方も多くなっています。 日本はお酒に寛容な国です。たばこの害はだいぶ認知されてきて、たばこの箱にも注意書きが書かれたり、喫煙マナーに関するコマーシャルが流れたりしていますが、お酒については、昔から百役の長ともいわれ、体に良い部分もある、コミュニケーション促進の手段になるなど、メリットが強調されています。テレビのコマーシャルでも、お酒の宣伝は多いです。しかし、怖い部分も持っているということを知っておいてください。やはり、食事をしつつ、楽しくお酒を飲む、晩酌するにしても、食事とセットで楽しむ、毎日は飲まない、というように、あくまで嗜好品として捉えるべきであろうと思います。ストレス発散のため、眠れないから睡眠薬の効果を期待して、という目的で飲むべきではないと私は思います。 アルコール依存症の話をすると、多くの人は、自分に関係の無い病気であって、自分はそんなに量は飲んでいないから大丈夫、と思われるようです。しかし、アルコール依存症になってしまった方も最初から毎日浴びるように飲んでいたわけではありません。きっかけとして、眠れないから寝つきを良くするために酒を飲むようになった、というのは非常に多いのです。眠れないから飲んだ、飲んだら眠れたから毎日飲むようになった、そのうちお酒の量を増やさないと眠れなくなった…というような段階を踏んで、体も心も、お酒無しでは休めないようになってしまったのです。

「お酒で眠るのはNG!」

もしあなたの身の周りの方で「酒を飲まないと眠れない」とか、「前は酒を飲んで眠れたのに、最近は飲んでも眠れないんだよ」などと言っている方がいたら、眠るためのお酒を続けることで逆に慢性的な不眠症になってしまうのだ、ということを教えてあげてください。 お酒は、辛いことから逃れるためだったり、眠れないときに眠るためのものなのでしょうか?私はやはり食事を美味しくしたり、気分を盛り上げて会話を促進したり、と、楽しむためのものであってほしいと思います。 執筆:医師・家庭医 石川 美緒