オマーン戦ではややミスも目立っていた本田。サウジ戦での起用法に注目が集まる。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 ロシア・ワールドカップのアジア最終予選、大一番となるサウジアラビア戦を4日後に控えるなか、日本はオマーンとの親善試合に4対0で勝利した。
 
 オマーン戦の焦点は、仮想サウジ戦だったはずだけど、残念ながら、本番を想定したテストとしてはまったく歯ごたえがなかった。攻守両面のあらゆる部分でオマーンと日本の差は明らかで、スパーリングパートナーとして、あまりにも物足りないという印象を受けた。
 
 一方で、この試合での日本はあまりにもミスが多すぎた。選手個々がアピールしなければいけないという焦りがあったのか、2次予選レベルのオマーンを相手に、急いでプレーしていた感じだ。スピードに乗ったプレーをしなければゴールをこじ開けることができないのは現代サッカーの常識ではあるものの、スピード一辺倒ではフットボールとしての美しさに欠けてしまう。
 
 ゲームをコントロールするという点で、この日の日本代表には工夫が足りなかった。“緩急”という言葉があるように、“急”ばかりを求めるのではなく、“緩”の部分を意図的に作り出すゲームメーカーが欲しかった印象だ。かつての遠藤保仁のような指揮者がいたら、オマーンをもっと簡単に“いなす”ことができたのではないかな。
 
 とはいえ、このオマーン戦の位置付けはあくまでサウジアラビア戦前のテストだ。戦前、「あまり(代表で)プレー機会のない選手や、海外で試合に出られていない選手にチャンスを与えたい」と指揮官がコメントしていたように、個々のコンディション、新戦力チェックがメインとするならば、大迫、小林のふたりはアピールに成功したと言えるだろう。
 
 ケルンでレギュラーとしてプレーしている大迫、今夏からヘーレンフェーンに移籍して同じく定位置を掴んでいる小林は、所属クラブでの好調ぶりがそのままピッチに出ていた感じだったね。相手のレベルの低さに目をつむったとしても、いかなる試合においてもしっかりと結果を残すのが一流選手というものだから。
 
 その一方で、気になったのは本田のコンディションだ。今までの本田は、ミランで試合に出られない日々が続いていても、日本代表の試合ではしっかりコンディションを上げてきていたものだが、この日の本田のプレーからはコンディションの良さは窺えなかった。
 
 攻撃の起点となって周囲の動きを引き出すなど、本田らしいプレーも要所では見られたものの、フィジカル・フィットネスについてはベストの状態からほど遠いように見えた。オマーン戦をサウジアラビア戦のテストマッチと想定したとするなら、フィジカル・チェックという点ではこの日の本田は不合格だろう。それでも、ハリルホジッチ監督は次のサウジアラビア戦で本田を使うのか、焦点のひとつになるだろうね。
 
 日本の戦い方を振り返れば、前節のオーストラリア戦では、守備的なサッカーを選択し、アウェーの地に乗り込んで1ポイントを奪えたのだから、最低限のノルマはクリアしたと言えるだろう。
 
 しかし、今回はシチュエーションが違う。
 
 前節でオーストラリアに代わってサウジアラビアが首位に立ったことで、奇しくも2試合続けて、首位チームとの対戦となった。勝点10のサウジアラビアに対し、現在3位の日本は勝点7。勝てば勝点で並ぶが、負ければその差は「6」に拡がる。ホームでは勝利がノルマであることを考えると、オーストラリア戦のように「引いて戦う」という選択肢は現実的ではない。もし、そのようなサッカーを選択するようなら、ファンやサポーターが黙ってはいないだろう。
 
 サウジアラビア戦で結果を残せなかった場合、指揮官の更迭問題も浮上するかもしれないことを考えると、まさに勝てば天国、負ければ地獄というシチュエーション。間違いなく今予選最大の山場になるだろう。
 
 ひとつだけ言えるのは、大事な一戦になればなるほど、ベテランの存在価値が試されるということ。若手はチームに勢いを与える存在であり、ベテランはチームに安定感をもたらす存在であるべきだ。キャプテンの長谷部を筆頭に、ワールドカップ出場組が圧倒的な経験を示してくれるはずだ。
 
 経験値がモノを言う大一番において、最大値の高い本田を外すのか。それとも、最後までポリシーを貫いて本田と心中するのか。スタメン選びを含め、いろんな意味で、ハリルホジッチ監督の決断に注目している。
 
 個人的には、真っ向勝負を挑んでサウジアラビアを叩きのめす、そんな日本代表の頼もしい姿を見られることを祈っている。

■プロフィール
藤田俊哉(ふじた・としや)/1971年10月4日生まれ、静岡県出身。清水市商高-筑波大-磐田-ユトレヒト(オランダ)-磐田-名古屋-熊本-千葉。日本代表24試合・3得点。J1通算419試合・100得点。J2通算79試合・6得点。J1では、ミッドフィルダーとして初めて通算100ゴールを叩き出した名アタッカー。2014年からVVVフェンロのコーチとして指導にあたっている。