日中韓が協力する“キャンパスアジア・プログラム”。ソウル大学に資格はあるか

韓国・ソウル大学の国際大学院が11月2日、中国・北京大学の国際関係大学院との複数学位協定に署名したという。ソウル大学大学院は、2012年の東京大学公共政策大学院とも同協定を結んでおり、これによって日中韓を代表する3大学間の複数学位交流のプログラムが完成したことになった。

『聨合ニュース』は、「韓国と中国、日本の3カ国の大学で相互の単位や学位取得を認める“キャンパスアジア・プログラム”が本格的に始まる」と伝えた。

ソウル大学といえば、韓国最難関の大学として有名である。あの人気女優キム・テヒもソウル大学出身で、彼女は知性と美貌の両方を持ち併せているとしてデビュー前から話題だった。ソウル大学は最高のステイタスでもあると言っても過言ではないだろう。

東大、北京大、ソウル大のランキングは?

ただ、近年は教授によるセクハラ騒動、実験室の事故など、不祥事の報道も目につく。

そこでソウル大学や東京大学、北京大学の客観的な評価を知るために、イギリスの高等教育専門誌『Times Higher Education(THE)』が発表している「世界大学ランキング」を調べてみた。

今年9月に発表された2016-2017年版を見ると、東京大学は第39位、北京大学は第29位と世界トップ50にランクイン。北京大学は前年の42位から13段階もアップ、東京大学も43位から順位を4つ上げた。

その一方で、韓国のソウル大学は第72位タイと大きく離された結果に。複数学位の協定を結んだ日中韓の大学で、唯一トップ50から外れてしまっているのだ。

大学ランキングは数多くあるので念のため、アメリカの情報誌『USニュース&ワールド・レポート(U.S.News & World Report)』が発表した「2017世界大学ランキング」も参考にしたのだが、東大はアジアトップとなる44位、北京大も53位(アジア3位)にランクインしているなかで、ソウル大は119位(アジア9位)。ここではトップ100に入ることすらできない低評価だった。

世界的な学者たちが指摘したソウル大学の問題点とは?

なぜ、ソウル大の評価は低いのだろうか。

例えば韓国でよく指摘されているもののひとつに、論文の“質”がある。

とある韓国の私立大学教授は韓国メディアに「ソウル大学はかなりの研究費を投入して論文を量産してきたが、国内の他の大学より論文のクオリティは低く、世界的基準からもかけ離れている」と指摘している。

実際に、THEの「世界大学ランキング」を見ても、ソウル大学の「研究影響力」の項目は58.8点。成均館大学(66.5点)、KAIST(78.5点)、浦項工科大学(79.2点)といった韓国国内の他大学よりも低いのだ。

また、今年3月に世界的な学者らが出した報告結果も興味深い。

ソウル大学に苦言を呈したのが、2001年にノーベル生理学・医学賞を受賞したイギリスの生化学者リチャード・ティモシー・ハント、1994年にフィールズ賞を受賞したロシアの数学者エフィム・ゼルマノフをはじめとした12人の世界的な学者というのだから、説得力がある。

ソウル大学の仰天すべき取り組みとは?

韓国メディアによると、ソウル大学は現在、低下している評価を押し上げるために、各学部に“予算競争”をさせているという。学科別の順位が上がった学部にはインセンティブとして支援金額を増やし、順位が落ちた学部の予算を減らすといった具合らしい。

ただし、「真理の探究」という大学の本分を忘れているような予算競争には非難の声も少なくない。ノーベル賞に関連して世界的科学誌『Nature』に忠告された構造とそっくりなのだ。

(参考記事: “ノーベル賞コンプレックス”に苦しむ韓国に世界的科学誌が突きつけた厳しい指摘とは?

東京大学、北京大学、ソウル大学が連携し、アジアを代表する人材の育成に貢献するという志は素晴らしいものだろう。だからこそ、ソウル大学にはさらなる発展を期待したい。

(文=慎 武宏)