先場所、全勝で初優勝を飾り、九州場所で綱取りを狙う浪速のガキ大将。最大の障壁は休場明けで大記録目前の最強・白鵬!?

「貴乃花親方が“あいつは俺の現役時代に似ている”と、周囲に漏らしていたそうです。それほど“彼”の実力は本物なんでしょう」(スポーツ紙相撲担当記者)

 平成の大横綱が自分にダブらせて期待する“彼”とは誰あろう、先の秋場所で全勝優勝を飾った大関・豪栄道(30)のことだ。「大関カド番での全勝は史上初。日本人の全勝優勝は、1996年の貴乃花以来です」(前同)

 そんな記録づくしの優勝を遂げた大関が今、大きな夢に挑もうとしている。今月13日から始まった九州場所で再び優勝すれば否応なしに期待されるのが、「若乃花以来、18年ぶりとなる日本人横綱の誕生です。最近は、2場所連続優勝で横綱昇進となる傾向があります。今場所が勝負どころです」(前出の記者)

 横綱3人がモンゴル出身という昨今の角界に、大阪出身の豪栄道は風穴を開けることができるのか? 本誌は浪速のガキ大将の“綱取り”の可能性から、知られざる素顔にまで迫った。まずは、豪栄道のプロフィールをたどってみよう。

「相撲を始めたのは小1。小2で少年相撲の名門の道場に入門し、体格は小柄ながらも、その負けん気で、小5でわんぱく横綱に輝くなど、幾度も全国優勝しています」(相撲ライター)

 幼少から相撲ひと筋の豪栄道は、高3で“高校横綱”に。それよりも角界関係者を驚かせたのが、高3のときに、全日本選手権で3位に入賞したことだ。「大学生や社会人の強豪がひしめく中、高校生が堂々と渡り合い、勝ち進んだんですから。とんでもない力士が現れたと大評判になりました」(前同)

 そうして鳴り物入りで角界入りしたわけだが、ここからが苦難の連続だった。「同学年でライバルだった栃煌山が先に新十両、新入幕と出世していく中、豪栄道はなかなか勝てず、昇進できない。稽古場ではめっぽう強いのに、なぜか本番で負けるんです」(相撲に詳しいジャーナリスト)

 度胸もあり地力もあるが、なぜ本番で勝てないのか。「本番では相撲が荒くなるんです。ゆえに白鵬のような強い力士には力技が通用せず、隙を突かれてしまう。事実、豪栄道は白鵬との初顔合わせから13連敗を喫しました」(前同)

 14年、角界デビュー後10年で大関に昇進。だが、その後もケガに泣かされ、カド番、カド番脱出を繰り返す。そんな大関が先場所、ついに“覚醒”したのだ。その強さの秘密をスポーツジャーナリストの大野勢太郎氏は、こう分析する。「立ち合いで自分の呼吸、自分の速度で相撲を取ることができる確率が高くなった。これまで相手に合わせて立ち遅れたり、相手より先に立っても自分の呼吸でなかったりしていた。それが秋場所から良くなった」

 また、前出のジャーナリストは、こう言う。「立ち合いでの踏み込みが良くなり、豪栄道が得意とする左前みつ右差しの速攻が決まるようになった」 その姿たるや、往年の千代の富士を彷彿させる“横綱相撲”だったという。

「秋場所優勝後の会見で、“嫁取り”について聞かれても、苦笑いして否定。大関に昇進した際も“嫁取りは横綱になってから”と発言しています」(前同)

 女にうつつを抜かすことなく、夢に邁進する姿は、まさに古き良き日本男児。それは土俵の外でも同様。「昔からヤンチャな面がありましたが、シャイな一面も。本当はカラオケが好きなのに、1曲目を歌うときは照れて嫌がるんです。でも、1曲歌えば、ノリノリで歌いまくります」(豪栄道と親しい後援会関係者)

 酒が強く、飲み方は豪快。土俵外でも愛される力士だけに横綱昇進を願うばかりだが、不安要素もある。「年齢的に遅咲きで、相撲に安定感がない。しかも今場所は、天敵である白鵬がケガから復帰する予定です」(前出のライター)

 だが、前出の大野氏は、こう期待を寄せる。「豪栄道は思い切りのいい力士。また、不利な体勢から繰り出す首投げは強烈。勝負感覚が研ぎ澄まされているので、綱取りのかかった大一番だからこそ、白鵬を破る可能性もあります」

 貴乃花が引退した03年以降、不在の日本人横綱。豪栄道の大躍進に期待したい。