「“一生女だもん”に、げんなり」。グサッとくる林真理子のお言葉集

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「週刊文春」で30年以上に渡ってコラムを書き続けてきた、作家の林真理子。その膨大な文章から、男女や人生にまつわる126の格言を集めた『賢女の極意』が発売されました。

 名言集となると少し構えてしまうかもしれませんが、本書にそんな心配はご無用。気楽に読むのもよし、ふと立ち止まって考えるもよし。

 というわけで、ほんのさわりですがいくつかご紹介しましょう(< >は引用)。

◆女について

名言 岼貔現だもん」だと。げんなりしてしまった。

 そこそこの年齢の人が、そう話している場面に出くわしたのでしょうか。よく耳にするフレーズなのですが、林さんはそこに甘えを見逃さないのですね。

<一生女のはずはない。当然期限というものはありますよ。私は良識はないけど、多少の美意識はありますから。>

 期限という時間的な問題もさることながら、“女であるかどうか”を決めるのは自分ではなく他人だと認識しなさい、ということなのだと思います。「一生女だもん」が放つ腐臭は、他者の視線を無視するデリカシーのなさから生まれているのかもしれませんね。

名言▲┘好討肇瀬ぅ┘奪箸惑増の最後の幻想であり夢である。

 自らもダイエッターで、数々のエステやコスメを試してきたからこその説得力。グサっときちゃった人も、以下の説明で冷静さを取り戻しましょう。

<努力しているという昂揚が、いつしか若さをも取り戻せるのではないかという思いにいきつくのだ。>

 加齢に対抗して努力をしたところで、むしろ問題の本質から遠ざかっていくだけなのではないでしょうか。大事なのは、いつまでも若くいることでなく、清潔に老いていく覚悟なのですから。

◆生きることについて

名言L鄂瓦鮖つということは本当に苦しくつらい長い戦いだ。

“下流社会”だとか“マイルドヤンキー”なるワードも当り前になった今日この頃。学生時代からずっと同じ友だちと同じように遊び語らい“絆”を確かめ合うのも、それはそれで楽しいかもしれません。

 ですが、それは人生における重要な課題から逃げているだけではないだろうか? 現代の若者に改めて疑問を投げかけるフレーズです。

◆家庭について

名言ぐ情というのは、目から入る快感によって支えられているのである。

 どんなに激しい夫婦喧嘩をしても、朝ネクタイをしめる夫の姿を見て、もう少し我慢しようと思う妻。逆もまた然りなのでしょう。「親しき仲にも礼儀あり」。たとえ家族であっても見た目やみだしなみに気を配る積み重ねが、愛情を深く強いものにしていくのかもしれません。

◆恋愛と結婚について

名言シ觝Г垢訝砲凌佑法△い蹐鵑覆海箸魑瓩瓩討呂い韻覆ぁ三つのことがかなえられたらそれで充分なのだ。まず健康であること。自分の仕事が大好きであること。そして箸遣いがきちんと出来ること。

 結婚相手の職種に年収、それに学歴。それが全く意味がないとは言えないでしょう。でも一緒に長い時間暮らしていくことを考えたら、それ以上に見定めなければいけないことがある。

 特に「箸遣いがきちんと出来ること」という指摘には含蓄があります。“最後にモノを言うのは教養と常識だよ”ということなのです。

 評論家の福田恆存(1912-1994)が、こんな話をしていました。ある日電車に乗っていると、なまりのきつい言葉で「窓を開けても迷惑ではないか」と訊いてきた老婆に出会う。どう見ても学などなさそうなのに、福田はその思慮深い心遣いに教養と文化の存在を感じたのですね。

<皮肉な言ひ方をすれば、「近代的」な教育を受けた都会人よりも、「封建的」な農村の教育のない老婆のはうが、西洋流の近代的な交通道徳を身につけてゐるといふことになります。>
(『保守とは何か』 著:福田恆存 文春学藝ライブラリー)

 客観的な肩書や数字だけで人を判断できると思ったら大間違いなのかもしれません。

 この他にも、思わずヒザを叩きたくなるようなフレーズが満載の本書。自分だけでなく、彼氏や旦那さんに読ませてみてはいかがでしょうか。

<TEXT/比嘉静六>