国政介入疑惑で朴槿恵大統領の退陣を求めてソウルなどの街頭を埋め尽くしたデモ隊の中には、若者の姿が目立った。怒りの声の背景には韓国の若者を取り巻く絶望的な状況がある。写真は11月5日ソウルで行われた抗議集会。

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2016年11月12日、朴槿恵大統領の知人女性による国政介入疑惑で、朴大統領の退陣を求めてソウルなどの街頭を埋め尽くしたデモ。ろうそくを手に怒りの声を上げる群衆の中には若者の姿が目立った。背景には高止まりする失業率など、韓国の若者を取り巻く絶望的な状況が色濃く投影している。

聯合ニュースによると、韓国統計庁の雇用動向で9月の失業率は3.6%だったが、若年層(15〜29歳)の失業率は9.4%と、9月としては統計開始以来ワーストとなった。失業率の統計には表れない、アルバイトをしながら就職活動をする人や入社試験に備える学生らを含めた雇用補助指標をみると、「体感失業率」は9.9%だった。

最近の若年層の失業率の推移は、6月10.3%、7月9.2%、8月9.3%。6月基準では1997年のアジア通貨危機直後の11.3%に次ぐ高い数値を記録したほか、8月の9.3%も8月としては99年(10.7%)以来の高さとなった。

こうした状況に置かれた若者の政権離れは、国政介入疑惑が明るみで出て一挙に加速。韓国ギャラップの最新の世論調査によると、朴大統領の支持率は歴代大統領で最低となる5%にまで低下したが、世代別では伝統的支持層の60歳以上でそれでも13%あったのに対し、20〜30歳ではわずか1%にすぎなかった。

ハンギョレ新聞は「支持率1%…『ヘル朝鮮』若者たちはなぜ朴大統領に背を向けたのか」との見出しで若者の声を特集。「絶望的社会を経験してきた若者たちが語る『朴大統領下野』の民心」として伝えた。

記事によると、ソウル市内のコンビニで平日の午前零時から朝8時までアルバイトとして働く男性(25)は就職の準備に追われて政治・社会問題に無関心だった。しかし、一連の朴大統領関連の報道に接するうちに、衝撃を通り越して虚脱感に陥った。男性は「出勤するお客さんの中には、コンビニに慌てて入ってきて、おにぎりや少しでもお金を節約しようと2+1商品を購入する人も多い。ところが、崔順実氏が不正な方法で財産を数十億ウォンに増やしたのを見ると、こんなに一生懸命働いている国民が不びんに思えてきた」と話したという。

韓国のネット上には若者の閉塞感を象徴する言葉が飛び交う。ハンギョレ新聞が取り上げた「ヘル朝鮮」(「地獄(HELL)のような韓国」を意味し、自国を見下すなど自虐的に使われる)や、人生は富裕な家庭に生まれたか貧しい家庭に生まれたかで決まってしまうという「金の匙(さじ)土の匙」などだ。

2010年代半ばに登場した恋愛・結婚・出産をあきらめた「三放世代」は、就職とマイホームが加わって「五放世代」となり、さらに人間関係と未来への希望がプラスされ、「七放世代」になった。最近では「N放世代」に“進化”。NはNUMBER(ナンバー)のNで、自身の将来のあらゆる事柄を放棄した若者世代を指すという。(編集/日向)