「スタメンで出るつもりで準備している」。本田はサウジアラビア戦に向けて力強く語った。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 本田圭佑は今、ミランにおいても、代表においても、逆風にさらされている。オマーン戦の低調なパフォーマンスを受け、11月15日に控えるワールドカップ最終予選・サウジアラビア戦で「スタメン落ち」の事態に直面する可能性もにわかに膨らんできた。本田の耳にもそういった批判は入ってきているというが、本人は至って冷静である。
 
「俺は何も言われないのが一番嫌。批判も含めて、ありがたいことだと思います。それを見返したいという気持ちがなければサッカーをやめるべきだし、『本田がもう一度パフォーンマンスを上げてきた』、『コンデイションを戻してきた』と言われないといけない。自分で強がった発言をするだけでなく、実際に周りからも戻ったと言われることも重要だと認識しています」
 
 本田は周知のとおり、これまで逆境に立たされるたびにそれを乗り越え、世界を舞台に戦ってきた。そういった経験が、今の彼を支える根底にある。本田はロンドン五輪世代の清武弘嗣を引き合いに出しながら、自らの哲学について言葉を続ける。
 
「選手には、乗せたほうがいいタイプと、追い込んだほうがいいタイプがある。例えばキヨ(清武)とか、今の若い選手はやっぱり乗せたほうがいい。ゆとり世代ですからね(笑)。僕が受けてきた教育は、とにかくスパルタ。そういう意味で、人よりも傷つく痛みは理解しているつもりだし、傷つくことの経験値はこの世代ではそれなりにあるほうかなと。そっち(傷つく)のほうが慣れています」
 
 所属するミランでは、結果を残せず、チームも若返りを図っているため、「自分の中で外される理由に納得できるものがある」という。しかし、日本代表においては、これまで自分の力で道を切り開いてきた自負がある。決して口にはしないものの、批判的な声にプライドを傷つけられる部分がないはずがない。おそらく、本田もそんな状況からどうやって這い上がっていくのか、自分自身に期待しているところがあるのだろう。
 
「少なくとも自分は、スタメンで出るつもりで準備している」
 
 厳しい世間の論調、迫り来る世代交代の波を撥ね退けられるか。サウジアラビア戦は、改めて本田の“真価”が問われる一戦となりそうだ。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)