「セカンドアタッカーとして面白い」と指揮官に期待されている久保。サイドでの起用も「可能性がある」と見られ、またCFでも十分に計算できる攻撃のマルチロールは、秘策“4トップ”には欠かせない選手と言えるだろう。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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[親善試合]日本 4-0 オマーン/11月11日/カシマ
 
 終盤に差し掛かった時間帯だ。4-3-3のシステムを採用する日本の攻撃陣に、ひとつの変化が見られた。
 
 最前線は、左に原口元気、真ん中に岡崎慎司と浅野拓磨、右に久保裕也。いずれも途中出場のFW登録の4人が、横一列に並ぶような形になる。

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 11月シリーズのメンバー発表の記者会見で、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は“4トップ”を示唆していた。
 
「我々はだいたい3トップです。ただ、彼(久保)が入ることによってアイデアが増えますよね。ひとつのオーガナイズが上手くいかなかった時に、もしかしたら4トップになるかもしれない。ふたりを真ん中に置いて、ふたりをサイドに置くかもしれない」
 
 久保が投入されたのは71分だった。トップ下の清武弘嗣と代わり、最初はそのままCFの下でプレーをしていたが、途中から右サイドの浅野とポジションを入れ替えている。
 
「(監督からの指示は)とにかく裏に抜けろ、と。途中でポジションは右に変えられました」と語る久保は、4トップ気味の陣形について次のように振り返る。
 
「右のFWでも、あまり張るなと言われていました。だから僕も自然と中に入っていって、4トップ気味になっていたのかな、と。ちょっと分からないですけど、そんな感じでした」
 
 一方、61分に右ウイングの本田圭佑との交代でピッチに入り、最後は中央でプレーしていた浅野の分析はこうだ。
 
「あれ(4トップ)は多分、自然となった感じですね。意識はしていなかったし、(監督からの)指示も別になかった。みんなの前への意識が高かったから、そうなったのかなと思います」
 
 たしかにハリルホジッチ監督は、4トップを採用するのは「得点を獲りに行く時とか、追いつかないといけない時。それはソリューション(解決策)のひとつです」と条件付きであるとも語っている。
 
 終了間際に小林祐希のダメ押しゴールが決まり、スコアは4-0。オマーン戦は日本が“前線に人数をかけなければいけない”シチュエーションではなかった。つまり、4トップを敷く必要はまるでなく、久保や浅野が言うように、“自然と”4人が前に並ぶ形になったのが真相だ。
 
 もっとも、意図的ではなかったにせよ、サウジアラビア戦のテストと位置付けられたゲームで、指揮官の言う“ソリューション”のひとつを試せたのは悪いことではない。
 
「我々は試合中にもタクティクス(戦術)を変えられます。もちろんすぐにベストな形を見つけられるわけではありませんが、オートマティックにしなければなりません」(ハリルホジッチ監督)
 
 自然発生的に実現したハリルジャパンの秘策「4トップ」。先述した小林のチーム4点目は、左サイドを突破した原口のクロスから生まれているが、エリア内には岡崎、久保、そして少し遅れてゴール前に侵入してきた浅野がスタンバイする厚みのある攻撃を仕掛けられていた。
 
 それだけ人数をかけていれば、相手のマークが集中するのも当然。原口のクロスは一度クリアされたが、そのこぼれ球を拾った小林がフリーでシュートを打てたのも、ニアに走り込んだ岡崎や、ファーで待つ久保がオマーンのDFを引き連れていたからだ。
 
 前線に4枚を並べる“破壊力”とその効果は十分に実証された。欧州の最先端システムでもある4トップは今後、重要なオプションになるはずだ。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)