【原ゆみこのマドリッド】代表戦の先の方が気になる…

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▽「それってズルいんじゃ」そんな風に私が怒っていたのは金曜日。お昼のニュースでこちらの夜間に行われたブラジルvsアルゼンチン戦の結末を知った時のことでした。いやあ、衝撃的に報じられていたのはメッシやイグアイン、アグエロらがプレーしながら、0-3の負けと手も足も出ず。現在、プレーオフ圏外ということの方でしたが、W杯南米予選はまだ試合が沢山ありますしね。アトレティコのコレアが出場したのもコウチーニョ、ネイマール、ガブリエウ・シウバのゴールが決まった後、ディ・マリアに代わって20分程でしたから、壮々たる先輩FW陣が決められなかったゴールを挙げられなくても別に構わなかったんですけどね。

▽ところがよくよく聞いてみれば、ブラジルの左SBとしてフル出場したレアル・マドリーのマルセロが累積警告で次のペルー戦は出場停止という情報もあって、それはすなわち来週土曜日のマドリーダービーを前に、こちらの火曜日深夜に行われる試合でプレーしなければならないのはフィリペ・ルイスだということ。よりによって今季のアトレティコでただ1人、全試合皆勤、計1350分プレーしている彼が更に疲れて、しかもダービー前日にマドリッドに戻って来るってことじゃないですか。

▽え、それでもお隣さんは代表戦週間突入早々、ドイツ代表に合流したクロースが、実はリーガの前節で対戦した新弟分のレガネスとのミニダービーで右足の第5中足骨を骨折していたことが発覚。本家ダービーどころか、全治4~6週間で、年内絶望になってしまったという逆境が降りかかったんだろうって? うーん、そうなんですが、セルヒオ・ラモスに続き、今週になって、バルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場グラウンドではリハビリ最終局面に入ったカゼミロ、ペペ、ベンゼマの姿が目撃されていますからね。

▽加えてモドリッチもレガネス戦で復帰していますし、打撲を抱えてクロアチア代表に合流したコバチッチ共々、土曜日に行われるW杯予選のアイスランド戦後、来週のアイルランドとの親善試合は免除されてクラブに戻れるとなれば、ジダン監督もそんなに心配することはないかと。もちろん、マドリーにも火曜日深夜にプレーするGKケイロル・ナバス(コスタリカ)、ハメス・ロドリゲス(コロンビア)ら、帰国が遅い選手もいるんですけどね。何せ相手はここ28試合無敗で、リーガでは単独首位。セビージャ戦、レアル・ソシエダ戦と、アウェイで2連敗したせいで、4位のアトレティコとは勝ち点6差がついているのを考えると、些細なことでもつい気になってしまうもんなんですが…。

▽まあ、この週末はヨーロッパ各国のW杯予選もあるため、これから代表に出向中の選手たちに何があるかはまったく予断を許さないんですが、土曜日にマケドニア戦を控えたスペイン代表の様子もお伝えしておかないと。いえ、選手たちがラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設に集合した火曜日、冬時間になって、モンクロアのバスターミナルを出る頃からとっぷり日も暮れていた午後6時半からの練習は私も見学に行ったんですけどね。日曜日にリーグ戦でプレーした5選手程はランニングだけで上がり、残り少人数対決のpartidillo(パルティディージョ/ミニゲーム)などをしていましたが、最近の彼らは公開練習がやけに少ないんですよ。

▽今回の合宿でも一般公開したのはその日だけで、マケドニア戦の後は直接、イングランドとの親善試合でロンドンに行ってしまうため、ファンが応援に行けるセッションがラス・ロサスでは他になかったためか、練習後はモラタやルーカス・バルケス、ナチョ、カジェホン(現ナポリ)ら、マドリー系を中心に何人もの選手がスタンドに近寄ってサインに応じていたんですが、その近辺は物凄い人だかり。よって私など、代表では珍しく、ファンサービスをしているコケ(アトレティコ)の顔も見られなかったんですが、驚かされたのはモラタの太っ腹ぶりでしょうか。いえ、施設の出口に向かう途中、スペイン人の子供が「モラタはおかしいぐらいハイだったよ。ビブスやジャージ、シャツ、全部脱いであげちゃって」と言っているのを聞いた時は、そりゃ何だと首を傾げるしかなかったんですけどね。

▽家に帰ってスポーツ紙サイトの写真を見ていると、確かにあの寒さの中、最後に彼はランニング1枚に。うーん、最近はマドリーで調子も良くて、ゴール数もチーム最多の8得点。同僚のカルバハルにも「Morata se está mereciendo más minutos por su rendimiento/モラタ・セ・エスタ・メレシエンドー・マス・ミヌートス・ポル・ス・レンディミエントー(モラタは、そのパフォーマンスでもっと多くのプレー時間をもらえるにふさわしくなっている)」と褒められていましたしね。となれば、スペイン代表でももっと目立って、バルブエナへの脅迫疑惑事件以来、デシャン監督から声が掛かっていないベンゼマとの差をもっと広げたいと思っても当然だった?

▽ちなみにそのモラタとスペイン代表で先発CFの座のライバルになるのはジエゴ・コスタ(チェルシー)なんですが、この合宿中、当人からは「Me entiendo mejor con Costa que con Benzema... por el idioma/メ・エンティエンドー・メホール・コン・コスタ・ケ・コン・ベンゼマ…ポル・エル・イディオマ(コスタの方がベンゼマよりわかる。言葉のせいでね)」という発言が。要は「コスタ(ブラジル生まれ)はずっとスペインにいて、ボクの言うこと、表現、全部理解してくれる」とのことで、「自分がフランス語を話せたら、きっとベンゼマと1日中、喋っているよ」とフォローはしていましたが、こっちももう7年、マドリーでプレーしているんですけどね。となると、モラタもベンゼマもベイルやクロースとの意思疎通が上手くいっていない可能性があったりするかと。

▽ただ、モラタがグラウンド以外でもよく会話するというコスタは今回も代表に縁がなく…。いえ、合宿入り前に病院で診察を受けて出て来た時には元気そうだったんですけどね。結局、先週末の試合で受けた足の付け根の打撲と筋肉疲労が回復せず、ラス・ロサスでは1度も全体練習に参加しないまま、木曜日にはロンドンに戻ることが決定。代わりにイアゴ・アスパス(セルタ)が初招集されていましたが、10月の代表戦でもロペテギ監督はハビ・マルティネス(バイエルン)→イニゴ・マルティネス(レアル・ソシエダ)、サウール(アトレティコ)→アンデル・エレーラ(マンチェスター・ユナイテッド)、ジョルディ・アルバ(バルサ)→モンレアル(アーセナル)と、負傷で3人も追加招集する破目に。それに懲りたか、今回は25人と多めに呼んだんですが、どうやら選手の健康運には恵まれていないよう。

▽そして金曜日には試合の行われるグラナダ(スペイン南部)に移動したスペインですが、それまではマセドニアも専守防衛で自陣に閉じこもる戦法を採ってくると考えられることから、予選前節のアルバニア戦で成功した3バックのリピートが言われていたんですが、ヌエボ・ロス・カルメネス(グラナダのホーム)での前日練習の後では通常の4バックに戻るという意見が主流に。いえ、同じバルサとマドリーのCBコンビとはいえ、今回はピケとラモスが負傷欠場で、バルトラ(現ドルトムント)とナチョですから、ちょっと不安がない訳ではないんですけどね。水曜日にはラス・ロサスでのランチタイムにラモスがチームを電撃訪問、一緒に食卓を囲んで後輩に檄を飛ばすと共に、ロペテギ監督とも意見を交換し合ったといいますから、まあ大丈夫かと。

▽その他のスタメンはGKデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)、右SBカルバハル(マドリー)、左SBモンレアル、中盤がブスケツ(バルサ)、コケ(アトレティコ)、チアゴ(バイエルン)、前線がビトロ(セビージャ)、モラタ、シルバ(マンチェスター・シティ)という4-3-3が予想されていますが、大穴でイスコ(マドリー)がチアゴに取って代わるかも。まあ、ロペテギ監督も「Los partidos los ganan los jugadores, no el dibujo/ロス・パルティードス・ロス・ガナン・ロス・フガドーレス、ノー・エル・ディブーホ(試合に勝つのは選手たち、システムではない)」と言っていましたしね。

▽万が一、モラタが不発でも、合宿初日のミニゲームからゴールを連発していた35歳のベテランFW、アドゥリス(アスレティック)がいますし、ノリート(マンチェスター・シティ)やイアゴ・アスパスだって、好調ですからね。滅多なことがない限り、土曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からのマケドニア戦で後れを取ることはないと思いますが、さて。現在、同じ勝ち点7でグループG2位につけているイタリアはリヒテンシュタインと対戦しますので、3月まで首位を満喫するためにも、とにかく勝ってほしいものです。

▽え、その一方で同じラス・ロサスで1日早く合宿を始めた彼らの弟分、U21スペイン代表は金曜日に来年のユーロ出場を懸けたプレーオフ1stレグに挑んだんだろうって? うーん、そうなんですが、今回はサウールやアセンホ(マドリー)も応援に行って、メンバー全員がリーグ1部でプレーする選手だったため、かなり強そうには見えたんですけどね。ザンクト・ポレンで行われた試合は前半ロスタイムにデウロフェウ(エバートン)のPKで先制したものの、後半にはジョニー(セルタ)がオウンゴールを入れてしまい、ムニル(バレンシア)が絶好機を2度も逃してしまったこともあって、最後は1-1でオーストリアと引き分けに。来週火曜日、アルバセテ(マドリッドから1時間の内陸都市)での2ndレグで決着をつけることになりました。

▽何せ、スペインのU21チームはロペテギ監督が率いていた2013年、現在A代表にいるモラタ、チアゴ、コケ、イスコ、カルバハル、ナチョ、バルトラ、イニゴ・マルティネスらを擁するチームで優勝したのを最後に、2015年ユーロ本大会には出場もできませんでしたからね。来年の夏には、スペインの出る大人の国際大会はないため、この世代の選手たちにはいい挑戦の機会になると思うのですが、こればっかりはねえ。

▽その他、週末は土曜日にウェールズの年間最優秀選手賞を6年連続で受賞したベイルがセルビアと、日曜日にはマドリーとの契約を2021年まで延長した日の夜、マルカ(スペインのスポーツ紙)のディ・ステファノ賞(最優秀選手賞)もゲット、翌日にはナイキと終生契約を結び、ルンルンの1週間を送っているクリスチアーノ・ロナウドのポルトガルがラトビアと対戦なんていうのもありますが、金曜日はヴァランが先発したフランスが2-1でスウェーデンに勝利したものの、グリースマンは不発、ガメイロには出場機会もなかったのはちょっと残念ですね。【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。