まず、声の老化を防ぐことは可能なのか。耳鼻咽喉科の専門医はこう話す。
 「スポーツと一緒です。努力次第で、いい声は保てます。しかし、手を抜いて放置しておくのはダメ。喉には食べ物の通り道の『咽頭』と、空気の通る『咽頭』がある。声を出す機能は、咽頭の中央部にあるヒダ状の『声帯』。ここに炎症などの異常が起きると、声帯の振動に影響が出るため声がかすれてしまいます」

 カラオケの歌いすぎや、歌手や教師、アナウンサーなどが仕事で酷使すると、声帯が炎症して、むくみを起こす他、ポリープができやすくなる。このでき物は、わずか1ミリのものでも声はかすれるという。他にも、喫煙や酒の飲みすぎから声が出なくなることもある。特に、タバコに含まれているタールは気管支を刺激することから、声帯に炎症が起きる。
 「通常、風邪やカラオケで起こるのは急性声帯炎。こちらは炎症が引けば元の声に戻ります。しかし、無理をして大声を出し続けるとダミ声になり、声帯が厚く肥える慢性の声帯炎になるわけです」(耳鼻咽喉科クリニック院長)

 声質が変わるのは声帯の酷使だけが原因ではない。
 中高年にとって避けて通れないのが、加齢による影響だ。外見のしわやシミなどに加えて、声のかすれが加わり、一層、年寄りに見られ意気消沈…という経験をお持ちの方も少なくないはず。
 「外見は仕方がないが、声はまだ、こんなものじゃない。もうちょっと声が出るはずだが風邪なのか…」
 と、病院に駆けつける人も多いという。

 声は、喉の左右にある声帯がぶつかり合って出る。そこに少しでも異常があると声がかれる症状が現れる。
 東京・杉並区で印刷業を営む石川勉さん(58)は、こんな経験談を話す。
 「私は酒も飲みますが、量は普通。カラオケも業界の集まりの際、仕方がなく歌いますが、喉が枯れるほど歌うなんてことはありません。なのに、なぜこうもかすれ声になるのか。ただ、最近分かっていることは、パソコンと長時間向かい合っていた後、声が出にくくなるということ。喉チンコがくっ付いてしまう感覚があるんです。それで電話口の相手からも『声が違う感じ』と言われる。それで、耳鼻科に相談しに行きました」
 すると医者は、「声帯は筋肉ですから、足腰を鍛えないと同じように衰えます」と、アドバイスをくれたのだという。

 東京都多摩総合医療センター耳鼻咽喉科担当医は、こう説明する。
 「加齢とともに声がかすれたり、弱くなったり、出ていた高い声が出にくくなったりするのは、身体の変化と同じように“声の老化”。石川さんの場合もこれに当てはまります。声は声帯が振動することで発生します。声帯は左右から喉をふさぐような構造になっていて、粘膜に覆われている。呼吸しているときは、声帯が左右に開いているため声は出ない。
 声を出そうとしている時は、声帯が閉じた状態になり、そこを呼気が通過することで声帯が細かく振動し、声が出る。その時の声帯は、1秒間に100〜400回振動すると言われています。では、どうしたら声の老化を防げるのか。やはり声のアンチエイジングはスポーツと一緒で、身体を鍛えるように声帯も鍛えれば改善するのです」