中国が香港独立を視野に入れる香港議会の「本土派」議員2人の議員資格剥奪に踏み切った。香港は「一国二制度」の下、高度な自治が認められているが、「一国」が「二制度」に優先することを明確にした形だ。香港

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2016年11月11日、中国が香港への圧力をますます強めている。中国全国人民代表大会(全人代)常務委員会は7日、香港独立を視野に入れる香港立法会(議会)の「本土派」議員2人の事実上の議員資格剥奪に踏み切った。香港は「一国二制度」の下、高度な自治が認められているが、「一国」が「二制度」に優先することを明確にした。

今回の事態は、香港を「本土」と見なす「青年新政」の議員2人が10月に議会で行った宣誓時に「香港は中国の一部ではない」との垂れ幕を掲げるなどし、宣誓が無効と判断されたのが発端だった。

1997年に英国から中国へ返還された後の香港の憲法と位置付けられる基本法は議員らに対し、就任時に「基本法の擁護と中華人民共和国香港特別行政区への忠誠」を宣誓しなければならないと規定。香港政府は2人の議員資格の取り消しを高等法院(高裁)に申し立てた。一方で基本法は同法の解釈権は全人代常務委員会に属するとも定めており、解釈が示されれば、高等法院はその解釈に従うことになる。

常務委員会は7日、「不誠実な宣誓をした場合は直ちに公職の資格を喪失する」と判断。2人は議員資格が剥奪されることが確実となった。常務委員会の李飛・副秘書長は、旧日本軍による香港占領に触れた上で、「国家、民族に背く人が立法会に入り国家分裂活動を行うのを支持するのは、ファシズムの立場に立つものだ」などと、激しい言葉で独立派を非難した。

中国共産党中央委員会機関誌・人民日報は「香港独立の言動は『一国二制度』の最低ラインに抵触し、国家の核心的利益と中央の権威に挑戦している」と厳しく批判する記事を掲載。人民日報系の環球時報も社説で、2人の議会からの放逐は「13億人の意志だ」として、議員資格の剥奪が当然との主張を展開した。

これに対し、香港の民主化を求めるグループは強く反発。香港メディアによると、6日には1万3000人(主催者発表)が香港島中心部の大通りを行進し、「法治を守れ」「法解釈に反対」などと書かれたプラカードを掲げて中国に抗議した。

香港では14年9月から12月にかけて、学生らが政府トップの行政長官選挙制度の民主化を求め、幹線道路を占拠する「雨傘運動」が起きた。議員2人が属する「青年新政」は、雨傘運動の参加者を中心に結成された。

全人代の判断は、有権者が選んだ議員さえ、「香港独立」をにおわせる者は断固封じ込めるという中国の強権ぶりを示した。香港返還20年を来年に控え、「一国二制度」の空洞化が一層鮮明になった形で、若い世代ほど中国への拒否反応が強いだけに、香港住民の中国離れが加速して香港社会が再び混乱する可能性もありそうだ。(編集/日向)