A代表で3年ぶりのゴールを決めた大迫勇也【写真:田中伸弥】

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英国人が見たオマーン戦

 日本代表は11日、キリンチャレンジカップでオマーン代表とホームで対戦して4-0の勝利を収めた。この試合中、スタジアム現地で取材するイングランド人ライターのショーン・キャロル氏に随時話を聞いた。

「齋藤に期待」「永木が代表レベルにあるかは今日で確認できる」

――スタメンが発表されました。ショーンさんがこの試合で期待する選手は誰でしょうか?
「(齋藤)学に期待したいね。彼は良いアクセントになると思う。Jリーグでは絶好調だし、ドリブルに注目したい。代表ではあのような選手が非常に少ない。彼と清武のプレーは楽しみにしている」

――永木は地元の鹿島でA代表デビューとなりました。
「良いと思う。彼は良い選手だけど、代表レベルにあるかどうかはまだわからない。でも、今日で確認できる。まぁ今日は親善試合で力の劣る相手だから本当に少しだけだけどね」

――今日は親善試合ということで6人の交代枠があるので、途中出場の選手にも期待ですね。
「そうだね。でも、個人的にあまりそれは好きじゃない。選手を交代しすぎたら試合の流れがバラバラになってしまって面白くなくなるから」

――試合の注目ポイントはどこでしょうか?
「失点をゼロに抑えないといけない。そして、ポゼッションを高めるよりもチャンスをたくさん作らなきゃ」

――オマーン戦は最終予選で首位に立つサウジアラビア戦に向けたテストマッチですね。
「それよりもハリルホジッチ監督は選手のコンディションを確認したいんじゃないかな」

――オマーン代表は“仮想サウジアラビア”とのことですが、イングランド代表でも“仮想〇〇”というのはあるのでしょうか?
「もちろんあるよ。でも、どこまで役立つかはちょっとわからないね。戦術的には役に立つと思うけど、それ以外はわからない」

「本田は何かが物足りない」「大迫の2点目はミュラーのよう」

――本田はミランで試合に出ていないからか、少しボールコントロールが乱れますね。
「そうだね。それはチーム全体として少し問題。代表の中心選手がクラブで試合に出られていない。フィジカルコンディションは大丈夫だと思うけど、match sharpness(=試合勘)は違う。本田は何かが物足りない」

――その本田の右足クロスから大迫がゴール! …かと思ったら、オフサイドの判定でノーゴールでした。
「全然オフサイドじゃなかったよ! ボールがマイナスだったでしょ? でも、大迫はもっとシュートを打たないと。細かいパスを出しすぎている」

――清武のクロスから大迫が見事なヘディングシュートで今度こそゴール!
「清武も良いクロスだったね。大迫は決めるだけだった。大迫はヘディングシュートが上手いけど、彼ほどの選手がそのチャンスを決められなかったら恥ずかしいと思う」

――清武のアシストから再び大迫がゴール! 素晴らしい切り返しから落ち着いて決めました。
「上手い! あの切り返しは完璧だった。日本人のセンターフォワードじゃないみたい。2点目はバイエルンのミュラーのよう。自信もあって、足元も冷静」

――ちなみに、“半端ない”って英語でなんていうんですか?
「難しいね…。たぶん、“Out of control”とか“Unstoppable”かな」

――前半は大迫の2ゴールでリードしましたが、どういう印象ですか?
「前半は全体的に良かった。良いバランスだった。守備はしっかりとオーガナイズされていたし、攻撃にはエネルギーがあった」

「ストライカーの仕事はゴールが全て」「本田は100%じゃない」

――後半開始直後に齋藤がスルーパスに抜け出して絶好のチャンスかと思いきや、またもオフサイドでした。
「これもオフサイドじゃないよ! この審判ね…。でも、学は本当にプラスアルファを生む」

――大迫と本田が交代して浅野と岡崎が投入されました。2ゴールの大迫の印象はどうでしたか?
「正直に言えばゴール以外あまり気づかなかったけど、ストライカーの仕事はそれが全てじゃない?」

――本田はどうでしたか?
「本田は100%じゃないね。悪くなかったけど、もっと良いパフォーマンスが出来ると思う」

――浅野が投入直後にPKを獲得! これを清武が冷静に決めました。
「それPKだった?(笑) でも、前の2つはオフサイドじゃなかったからフェアじゃない? キヨは本当に自信あるね。お祝いゴールを決められてよかった。今日も彼はすごく良いパフォーマンス見せてくれた」
(編注:清武は試合の翌日が27歳の誕生日)

――デビュー戦の永木は今後も代表に定着できるでしょうか?
「どうだろう? でも、新・長谷部になれる可能性はゼロじゃないと思う。安定感を与えられる」

――日本は久保も途中出場でA代表デビューを飾りました。岡崎と2トップを組むようです。
「岡崎と良いコンビネーションを見つけられたらいいね」

――久保はオリンピックに出場できなかったので、A代表での活躍に期待したいですね。
「モチベーションはあると思う」

――小林は2試合目の出場ですが、どういう印象ですか?
「常に前に行く姿勢があるね。僕はそのような選手は好き。彼と永木は良いコンビネーションになるかもね。蛍とでもそうかな」

――アディショナルタイムには小林が右足でゴール! 左利きですが、良いシュートでしたね。
「シュートというより、トップコーナーへのパスだったね」

「MVPは清武」「紅白戦みたいな試合だった」

――試合は4-0で快勝しました。ショーンさんが選ぶこの試合のMVPは誰ですか?
「清武かな。今日も結果を出したからね。学も良かったと思うよ」

――サウジアラビア戦ではどの選手を使うべきでしょうか?
「清武は絶対に使わないといけない。蛍も良いと思う。永木は良いパフォーマンスだったけど、長谷部と同じようなディフェンシブタイプだから、その2人(永木と長谷部)のコンビは出来ないと思う」

――オマーンは“仮想サウジアラビア”でしたが、本番に向けての収穫はどんなところにあったと思いますか?
「試合前には失点をゼロにすることとチャンスをたくさん作ってほしいと言っていたけど、両方できていた。攻守のバランスがよかったのが収穫だと思う。良いウォーミングアップになったね。紅白戦みたいな試合だった」

――“本番”のサウジアラビア戦ではどんなところが注目となるでしょうか?
「ボランチのバランス。サウジアラビアとの戦いではスムーズな攻守が大事になる」

――オマーン戦でもJリーグの選手と海外の選手が多くプレーしました。ショーンさんから見て、何か違いを感じましたか?
「特に感じなかったけど、ひとつだけ言わないといけないならば、オフ・ザ・ボールのコンタクトや球際などは海外でプレーしてる選手の方がセンスが良いと思った」

――新しい選手が活躍を見せた一方、岡崎は不発で長友もコンディション不良で欠場するなど、これまで代表を支えてきた選手が結果を残せていません。今後は多くのポジションで選手が入れ替わりそうですね。
「そうですね。でも、それもサッカー。ピッチで残す結果がすべて。難しいけど、プロフェッショナルスポーツでは感傷すべきじゃない」

――ありがとうございました! サウジアラビア戦でもよろしくお願いします。

▽語り手:ショーン・キャロル
1985年イングランド生まれ。2009年に来日。「デイリーヨミウリ」「Jリーグ公式ウェブサイト」などにも寄稿。高校サッカー、Jリーグ、日本代表など幅広く取材している。過去にはスカパーのJリーグ番組出演も。

text by 編集部