トランプ勝利に「言いたいことは一つだけ。助けてくれ!」とコメントした「世界一貧しい大統領」で知られるホセ・ムヒカウルグアイ前大統領Image Courtesy: Frente a Aratiri via flickr(CC BY-SA 2.0)

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 米国の次期大統領にドナルド・トランプ氏が就任することが決まって、ラテンアメリカでは暗雲が伸し掛かって来る気配を感じている。

 今回の米国大統領選挙のクリントン氏もトランプ氏もラテンアメリカでは期待されていない候補者であった。特に左派系の政党が政権を担い、反米主義を掲げるボリバル主義の国ではそれが顕著であった。ただ、この二人の候補者の中でも、トランプ氏は選挙キャンペーン中もラテンアメリカを批判した暴言は止むことなく続いたこともあり、ネガティブな感情が根強い。特にラテンアメリカ人の心象を傷つけた暴言は、メキシコからの違法移民を「犯罪者」そして「暴行者」と呼んだ事だ。またメキシコとの国境3000kmに壁を建設して違法移民の米国へ密入国を防ぎ、その建設費用はメキシコ政府に負担させると公言したことに対してのメキシコ政府の反応は、必要とあらば経済戦争も辞さないという構えであった。メキシコは米国の産業を支えているという自負があるからである。

 ではいったい違法移民者は米国に何人いるのか。現在、米国にはラテン人は<5530万人いる>と統計されている。その大半はヒスパニックである。その内の<1100万人が違法移民>と推察されている。特に、メキシコ、中米、キューバなどからの移民がその大半を占めている。トランプ氏が主張する<強制送還の当初の対象になるのは500万人程度>と見られている。トランプ氏が大統領に就任すると、これが実行に移されるのではないかと違法移民者は不安の念に駆られるているという。(参照:「Prensa Libre」)

 ただ、強制送還については、オバマ大統領もこれまで実行していることなのである。2012年には<40万9000人を強制送還>しており、年間ベースとしては最高の記録となっている。また、2015年には<23万5000人>が同じく強制送還させられている。ただ、桁が違うのはトランプ氏は違法移民者をすべて強制送還させると言っているのである。そうであれば1100万人を強制送還させることになる。それが如何に無謀な数字であるかということなのである。

 警察に摘発されて本国に送還されるのではないかと恐れている違法入国者を精神的に支える<「Under We Dream」>という組織も存在している。彼らは違法入国者に<この国に来るまでに耐えたように、これからも存続することを内心誓い、(トランプ)新政権による不法移民取締りに抵抗して戦う>覚悟でいるように説得しているという。(参照:「VOA noticias」)

 トランプ氏が米国の次期大統領になることが決まって、メキシコのペーニャ・ニエト大統領は<それを受け入れるのに7時間を要した>という。トランプ氏の勝利は確実となった時点から時を移さず6時間後の早朝午前7時にメアデ財務省とカルテンスメキシコ銀行総裁が記者会見を行って<通貨ペソの対ドル暴落を防ぐ為にメキシコの財務の健全性と公的そして私的機関が強靭であることを伝えて<トランプ氏の攻撃の対象になっているメキシコが予測できない如何なる反応にも十分に耐えられる>ことを公言した。しかし、ペソの対ドルレートの下落は続いている。(参照:「El Mundo」)

 ペーニャ・ニエト大統領は、トランプ氏が発言しているようなことを実施させようとするのであれば、「メキシコは米国と経済戦争をする構えでいる」と発言したことがあった。それに加勢するかのように、ペルーの国際政治専門家シアッパ・ピエトゥラ氏が<「ペルーは姉妹国家としてメキシコを支援する」>と発言している。そして、<「彼が言っていることを実現させるとは思えないが、ペルーはメキシコと連帯した行動を取るべきだ」>と述べた。また、<「トランプ氏はメキシコに関しての発言はもっと慎重であるべきだ。何故なら、壁を建設することなどできることではないからだ」>と述べて同氏の暴言に釘を刺した。(参照:「RPP」)