清武は1得点・2アシストの大活躍を見せた。サウジ戦でもトップ下での先発となるか。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 親善試合のオマーン戦は4-0で勝ったとはいえ、なにかパッとしない試合だった。日本は90分にわたってほとんど相手からの圧力というものを受けなかった。それを考えたら、得点の数はもとより、もっと多くのチャンスを作るべきだったよ。

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 オマーン戦は、4日後のサウジアラビア戦を想定した試合だったわけだが、だったらなおさら、レベルの落ちる相手に差を見せつけなければいけなかったし、逆にそんな相手に対して、ちょっと雑なプレーが目立っていたのは残念だった。
 
 そういう試合になってしまった要因としては、やっぱりコンディションのいい選手と悪い選手、このチームの流れに乗れている選手とそうでない選手がはっきりしていることが挙げられると思う。
 
 清武はスペインであまり試合には絡めていないけど、ふたつのアシストを決めてPKでも落ち着いて隅に蹴り込んでいた。自信を持ってやっていたし、この日の攻撃の中心にいたのは間違いない。
 
 初スタメンだった齋藤もいい仕事をしたと思う。サイドから持ち前の突破力を発揮して、何度もチャンスを演出していた。エリア内でもう少し落ち着いたプレーができれば、さらに良かったかもしれない。
 
 そして2ゴールを決めた大迫だ。しっかりと点取り屋としての仕事を果たしていたし、アピールに成功したと言っていいんじゃないかな。
 
 僕が見る限り、オマーン戦で高い評価を与えられるのは、この3人くらいじゃないかと思っている。
 
 対照的に、所属チームで出場機会を失っている本田は、完全に動きが重かった。チームの特徴になっているスピーディな展開を考えたら、別の選手のほうがハマるのではないかと思ったが、試合に出ていないからこそ使うということが前提なら、パフォーマンスの悪さもしょうがなかったかもしれない。
 
 その本田と同サイドの右SBの酒井宏の関係は、かなり酷かった。日本は、本田の外側を酒井宏が回っていく形を盛んに作るんだけど、結局しっかり崩してクロスやシュートまで持っていけない。敵陣深くまでは行くものの、そこからまたパスを回したり、後ろに戻したり……。相手に当ててCK取るだけじゃ、質が高いとは言えないよ。逆サイドの酒井高もしかりだ。
 
 日本の選手たちは欧州のクラブでキャリアを積んでいるはずなのに、その程度なの? 正直、そう疑問に思うプレーが多いんだ。何か考えすぎのようにも思える。エリア近くではワンツーを狙うなり仕掛けの意識を持つ、余計な手数をかけずに点でピシッとクロスを合わせる、コースが空いていたら狙いすましてミドルを放つ……。
 
 もっとシンプルなプレーを、高いクオリティで見せてほしい。ゴール前でパス、パス、パスって細かくつなぐだけじゃ、緻密で質の高いサッカーとは言えないよ。
 さて、次はいよいよ“本番”のサウジアラビア戦となるが、いったいどんなメンバーで臨むのか。今回のオマーン戦はハリルホジッチ監督にとって、どれほど参考にできたんだろうね。
 
 出場圏内の2位以内に入るためには、サウジ戦には勝たなければいけない。まさに必勝のパターンで戦わなければいけない試合だが、指揮官としてはこうした大一番には、やはりその時点でいい状態にあると同時に、信頼を置ける選手を使いたいものだ。
 
 そうした意味で言えば、前回のオーストラリア戦では、ハリルホジッチ監督はイラク戦で好パフォーマンスを見せた清武ではなく、香川を起用。本田を最前線に据えて堅守速攻の軸とした。イラク戦ではロンドン五輪世代がいい活躍を見せていたけど、結局敵地でのオーストラリア戦というポイントとなる試合では、従来の主力に比重を置いて戦った。
 
 これが今回はどう変わるのか。あるいはこれまで通りなのか。その点も見どころと言えるだろう。とりわけ、オマーン戦では大迫がいい感じでプレーできていただけに、ここでどんな起用をするのかは見ものだよ。
 
 オーストラリア戦の清武の例もあるだけに、「2点取ったから大迫!」という単純明快な流れになるかどうかは分からないね。
 
 一方で、サウジ戦へのアピールとしたかった選手たちにとって、オマーン戦はちょっと消化不良気味の試合になってしまったんじゃないかな。というのも、やはりこの試合は6人までが交代が可能な親善試合。事前に分かっていたとはいえ、かなり各選手の出場時間が限られていて、波に乗りかかったところで交代となったり、タイムアップとなったりしていた。
 
 1得点を挙げた小林祐や久々に招集された久保などは、もう少し時間が欲しかった選手たちだろう。あるいは好調だった大迫や齋藤も中途半端な時間で下げてしまった印象だけど、90分近い時間の中で終盤にどれだけやれたのか見てみたかった気もする。
 
 結局、ハリルホジッチ監督にしてみても、サウジ戦をシミュレーションしたい一方で、いろんな選手にチャンスを与えてテストしたい想いもあったりで、どこかオマーン戦の狙いが絞り切れていなかった感じがしなくもない。最後に小林がミドルで“締めて”くれたとはいえ、得点が少なかったのはそんなところにも要因があったのではないか。
 
 ただ、オマーン戦はあくまでテストマッチ。本番のアジア最終予選・サウジアラビア戦で、勝利という結果を残してくれれば、言うことはないよ。