日本は大迫(写真中央)らのゴールでオマーンに4-0で勝利。しかし、サウジアラビア戦への強化になったか疑問が残った。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 ホームでの親善試合、それも対戦相手がオマーンということで、日本が優位に試合を進められる展開は容易に想像できた。相手は勝利を狙ってきたわけではないし、日本はもっと点を取って勝たなくてはいけなかった。
 
 僕は以前から指摘してきたけど、なぜ、このタイミングでオマーンと対戦したのか。オマーンは同じ中東の国だけど、15日にワールドカップ予選で戦う、サウジアラビアとは大きな実力の差があったよ。重要な一戦に向けて良いシミュレーションができたかと問われれば、答えはノーだ。チームの強化を考えればもっと良い相手はいたはずだよ。
 
 前半に2ゴールを奪ったけど、メンバーを入れ替えた後半はぎこちない戦い方に終始した。最後の最後で小林が4ゴール目を奪ったけど、もっと相手を圧倒しなくちゃいけなかったよ。
 
 収穫と言えるのは大迫が2ゴールを奪ったことくらい。これでサウジアラビア戦には彼が先発する可能性が高まったけど、ほかの新しいメンバーでスタメンを任せられそうな選手は出てこなかったね。
 
 CBでは丸山を試したけど動きが固く、危なっかしいシーンがあった。永木にしても長谷部と比べれば、見劣りする。齋藤は所々で良い動きを披露したけど、最終予選でいきなり先発で使うというギャンブルは考えにくい。
 
 小林は試合終了間際に豪快なゴールを決めたけど、相手の足が止まっていた状況だっただけに、正当な評価を下すのは難しい。トップ下には清武や香川がいるし、ボランチでの先発もなさそうだ。
 
 ハリルホジッチ監督もオマーン戦は丸山や小林、久保らに代表の雰囲気を感じさせるという考えを持っていたはず。そうでなければ、サウジアラビア戦を含めた2連戦に、25人ものメンバーを呼ぶ必要はなかったからね。
 
 そう考えるとサウジアラビア戦は通常と変わらないメンバーに大迫を加えた顔ぶれになるはずだ。

【日本 4-0 オマーン|PHOTOギャラリー】大迫や小林祐が結果を残すなど実り多きテストゲームに
 毎回、選手のコンディションに不安を感じるけど、それは今回も同じだった。本田が61分、清武が71分にベンチに下がるなど90分プレーをしなかった。
 
 交代枠が多いと、選手たちはペース配分を考えずに前半から飛ばすことができる。でも、公式戦では3人の交代枠しかなく、疲れた選手を簡単に代えることができない。オマーン戦で状態の良さを感じさせた清武にしたってクラブで常時試合に出られているわけではないから、大きなプレッシャーのかかるサウジアラビア戦で90分を戦った場合、どんな影響が出るかは分からない。
 
 それは本田やオマーン戦に出場しなかった香川らにも当てはまる。ここまでの最終予選で日本を苦しめたのは、所属クラブで出場機会を失っている海外組のコンディションの悪さだ。本来はオマーン戦を彼らが90分持つ状態にあるのかテストする場に使う手もあったけど、それはやらなかったね。
 
 逆に大迫は2ゴールを奪って存在感を放ったけど、この1試合のパフォーマンスを見ただけで、日本の救世主になれるかは、何とも言えないよ。それに大迫を先発で使った時に、誰をジョーカーとしてベンチに置くのか。浅野、岡崎がその役割を担うことになりそうだけど、僕の目から見れば、今のふたりに“勢い”は感じられない。
 
 グループで1位を走るサウジアラビアに敗れれば、現在3位の日本は勝点6の差をつけられてしまう。2位のオーストラリアは同日にアウェーでタイと対戦するけど、恐らくは勝点3を奪うはずだ。そうすると、日本とオーストラリアとの勝点差は4に広がる。
 
 日本は来年、UAE、イラク、サウジアラビアとの中東でのアウェー戦を残しているし、ホームではタイとオーストラリアと戦うけど、確実に勝点3を計算できるのはタイとの一戦だけだ。
 
 だからこそ、サウジアラビア戦に敗れたら、当然ハリルホジッチ監督解任という可能性は高まる。もしドローでも、指揮官交代という声が出てもおかしくないよ。その意味でもハリルホジッチ監督は相当にナーバスになっていると思う。
 
 オマーン戦の勝利も指揮官は心から喜べないんじゃないかな。サウジアラビア戦はホームでの試合で、内容的にも不甲斐ない戦いはできない。そのなかでどんな采配を見せるのかは注目だ。
 
 見たくないのは、10月のオーストラリア戦のような相手をリスペクトしすぎて自陣に引くサッカー。守備を重視した戦い方を選択して勝てれば良かったけど、あの試合は結局1-1のドローに終わった。それならしっかり前から仕掛けて主導権を握るような戦い方を見せてほしいね。
 
 また、サウジアラビア戦で結果を残せなかった時に日本サッカー協会が監督交代という決断を下せるのか、その点も気になる。
 
 現状では手倉森コーチが後任に一番近いのかもしれないけど、リオ五輪でグループリーグ敗退に終わった指揮官をトップの監督に据えて良いものなのか。
 
 ほかのJクラブの監督にしたって国際舞台での“経験値”という面が足かせになる。そんな難しい状況で、協会が状況を一変させるような手を打てるのか。
 
 まあ、いずれにせよ、サウジアラビア戦に勝利すればまず年内は滞りなく活動を終えられるわけだ。ロシア・ワールドカップ出場へ勝負の年となる2017年を良い形で迎えるためにも、勝点3を掴んでほしい。