日経平均株価チャート/15分足・3日(出典:SBI証券公式サイト)  ※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます

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 トランプ新大統領の誕生前後の11月9日、10日の日経平均株価は、まさに乱高下でした。

 まず、「トランプショック」が発生した11月9日の日経平均株価は、前日比919.84円安の1万6251.54円でした。下落幅は「ブレグジットショック」が発生した、6月24日以来4カ月半ぶりの大きさを記録しました。

 しかし、翌11月10日になると、東京株式市場の景色が一変。9日のNYダウが大幅に上がり、前日比256.95ドル高の1万8589.69ドルとなったことが買い材料になりました。11月10日は朝方から買いが先行し、終日堅調相場が続きました。その結果、日経平均株価の終値は、前日比1092.88円高の1万7344.42円と、あっさりと前日の下げ幅の全値戻しを実現しました。

トランプ氏の公約が日本経済にとってマイナス
と判断されたことが「トランプショック」の要因に

 ご存知の通り、米大統領選は、米政治のアウトサイダーである、共和党候補のドナルド・トランプ氏が、激戦州のフロリダ、オハイオなどを相次いで制し、勝利しました。

 現在、低学歴の白人ブルーカラー層が、極めて深刻な経済的苦境にあります。このような庶民の生活を改善できないエリート層、政治インサイダーへの嫌悪が、トランプ大統領誕生の原動力になったようです。

 11月9日の東京株式市場を振り返ってみれば、朝方の段階では、ヒラリー・クリントン民主党候補が優位との見方が優勢で、日経平均株価は堅調でした。しかしながら、激戦州のひとつ、フロリダ州の開票速報でトランプ氏優位と伝わると、次第に売りが優勢になりました。そして、トランプ勝利の開票結果の報道が相次ぐにつれ、売りが加速し、日経平均株価の下げ幅が一時1000円を超える事態となりました。

 最終的に、この「トランプショック」による日経平均株価の下落幅は、終値ベースで前日比919.84円安と、「ブレグジット」が決まった6月24日の前日比1286.33円安以来、4カ月半ぶりの大きさを記録したのです。

「トランプショック」発生の主因は、トランプ氏の公約が保護主義的だからです。「グローバリズム」を否定し、「米国第一主義」のトランプ氏は、TPPに関して「就任初日に離脱を宣言する」と表明し、北米自由貿易協定(NAFT)の再交渉も主張しています。

 また、外交・安全保障では日本に駐留米軍の全額費用負担を求めていることも、日本経済にとってネガティブと、捉えられたのでしょう。

「巨額減税」「インフレ投資の拡大」と
トランプ氏の経済政策は株式市場にとってはポジティブ

 その一方でトランプ氏は、「平均3.5%の経済成長を実現し、2500万人の雇用をつくる」としています。その2本柱は、「前例のない巨額減税」と「インフラ投資の拡大」です。

 まず、「前例のない巨額減税」については、10年間の減税額は4.4兆ドルという規模です。個人所得税の最高税率を39.6%から33%に下げ、連邦法人税率も35%から15%に下げます。また、相続税の廃止を主張しています。さらに、子育て支援税制等、低所得者層にも一定の配慮をしています。

 減税する理由は、富裕層を厚遇すれば、ビジネスが活性化するため、その結果、雇用が創出され、中間層に大きな恩恵を与えることができるからとしています。

 なお、財源に関しては、経済政策の効果による税収の増加と、エネルギー改革や規制改革等の改革効果に加え、歳出削減で、財政赤字拡大を回避する方針です。歳出削減については、公的年金、公的医療保険、軍事費以外の歳出に対して、毎年1%ずつ削減する「ペニー・プラン」を導入するということです。

 次に、「インフラ投資の拡大」についてですが、日本時間11月9日午後にNY陣営本部で支持者に向けて行われた勝利宣言演説で、「我々は都市部のスラムやトンネル、高速道路などのインフラを立て直していきます。これは非常に重要なことなのです。インフラを立て直す過程で、大勢の人たちを雇用していきます」と述べています。

 このように、トランプ次期大統領の経済政策は、積極財政です。この点は、緊縮財政的な経済政策を訴えていたクリントン氏より、株式市場にとってはポジティブです。実際、11月9日の米国株式市場では、トランプ氏の掲げる政策で恩恵を受けるとみられる、キャタピラー(CAT)などのインフラ関連銘柄が買われ、NYダウを押し上げました。

トランプ大統領の誕生を受けて、日本株で狙うべきは
「軍需関連」「ロシア関連」「円安メリット関連」の3つ

 11月9日の米国株式市場、及び10日の東京株式市場の値動きをみる限り、市場は「トランプ大統領誕生」を完全に織り込み、且つ、投資家心理も落ち着きを取り戻しています。

 このような投資環境で狙うのは、「軍需関連」、「ロシア関連」、「円安メリット(輸出)関連」です。

「軍需関連」に関しては、トランプ氏が日米安全保障条約を批判し、在日米軍の駐留経費の全額負担や日本の核武装容認にも言及しており、状況次第では、軍事と予算の両面で日本政府は対応を迫られるからです。よって、日本の軍事費拡大でメリットを享受する企業の株が買われる見通しです。

「ロシア関連」に関しては、トランプ氏が「孤立主義」のため、「これまでのように日ロ接近に米国が口出しをしてくる可能性が低下する」との期待が高まりつつあるからです。そのため、日ロ接近で恩恵を受ける企業が人気化するでしょう。

「円安メリット(輸出)関連」に関しては、トランプ氏が積極財政を実行すれば大量の米国債が発行され、米景気が改善し、インフレ期待が高まり、その結果、米長期金利が上昇。これが、外国為替市場でのドル高/円安要因として機能することが見込まれるからです。円安メリットのみならず、米国の実体経済が回復すれば、米国向け輸出が拡大し、輸出関連企業の利益増加も見込めるでしょう。

「トランプショック」は大きかったものの、すでに一段落
これから訪れる「クリスマス&年末ラリー」に備えよ

 東京株式市場では、11月9日の「トランプショック」という「テールリスク」の発生で、一波乱ありました。しかし、これを無事通過した今、今後期待されるのは「クリスマス&年末ラリー」の発生です。

 足元で一巡した決算の内容を吟味した上で、「クリスマス&年末ラリー」で活躍するであろう銘柄をしっかり仕込みましょう。好業績で、国策に合致したテーマ株が最も魅力ある投資対象だと思います。