たくさん取れば体にいい!というものではない(画像はイメージ)

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カルシウムの摂取は心疾患リスクを低下させるが、サプリメント主体で過剰に摂取している場合は、逆に心臓にダメージを与える可能性もある――米ノースカロライナ大学チャペルヒル校、ワシントン大学、インディアナ大学、ウェイクフォレスト大学医学大学院などによる共同研究チームの発表だ。

研究チームは、サプリメントが広く利用されている米国の中でも、利用者数が多いカルシウムサプリメントについて、多くの利用者が「多く取るほど健康によい」と考えがちであることに注目。カルシウム摂取量と「アテローム性動脈硬化」の関係について分析した。

「アテローム性動脈硬化」は、動脈内に粘性のあるプラークが発生する動脈硬化。不明点も多いものの、カルシウム由来のプラークが発生することは確認されており、カルシウムの過剰摂取を要因に挙げる声もあった。

研究は、米国立衛生研究所(NIH)が、多様な人種の動脈硬化をさまざまな手法から調査している「Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis(MESA)」を利用し、10年以上の追跡調査に同意した2742人を被験者としている。

10年間の間に少なくとも2回以上のCTスキャンを実施して心臓の状態を確認し、さらに120項目からなるアンケートを定期的に取り、被験者のカルシウム源を厳密に調査した。

得られたデータは年齢や性別、人種、運動習慣、喫煙・飲酒の有無など複合的な条件を調整している。

まず、カルシウムの平均摂取量別に比較したところ、最も多い人(1日2157.4ミリグラム以上)は最も低い人(1日313.3ミリグラム以下)に比べ、アテローム性動脈硬化の発症リスクは27%低いことがわかった。

しかし、カルシウムの摂取源で比較してみると、食物からのみカルシウムを摂取している人はリスクの低下が確認できたものの、食物に加えサプリメントからも摂取している人は摂取量が多いほどリスクが上昇し、最大で22%リスク増となっていた。

筆頭著者のジョン・アンダーソン博士は、「サプリメントを通して高濃度のカルシウムが体内に入ると、食物と異なりうまく分解できず、蓄積されてしまっているのではないか」と推測し、サプリメントは知識のある医師に相談した上で摂取してほしいとコメントしている。

なお、本研究はカルシウムとアテローム性動脈硬化の因果関係を示すものではない。研究は、2016年10月11日、米国心臓協会誌「Journal of the American Heart Association」オンライン版に掲載された。

参考論文
Calcium Intake From Diet and Supplements and the Risk of Coronary Artery Calcification and its Progression Among Older Adults: 10-Year Follow-up of the Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis (MESA).
DOI: 10.1161/JAHA.116.003815 PMID:27729333

(Aging Style)