坂口健太郎「普通でいたい」。ポリシーに見える“柔らかな魅力”

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端正なルックスに、透明感漂う存在感。若手俳優・坂口健太郎がめきめきと頭角を現している。NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』では、ヒロインの切ない恋の相手役として幅広い世代の心を鷲掴みに。本日11月11日(金)より公開となる映画『オケ老人!』では、教師役としてみずみずしい演技を披露している。その魅力を探ろうと試みると、スッと現れた雰囲気に思わずインタビュー部屋は緊張。しかしその瞬間、くしゃっとした笑顔で固まった空気を一気に解きほぐし、“人生の歩み方”をたっぷりと話してくれた。

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『オケ老人!』は、平均年齢、おそらく世界最高齢のアマチュア・オーケストラの笑いと涙に包まれる奮闘と青春を描く物語。坂口は、オーケストラをまとめ上げることとなる主人公・千鶴(杏)の同僚で、英語教師の坂下くんを演じている。

“老人”メンバーたちがパワフル!歳を重ねることの楽しさ、好きなことに打ち込む素晴らしさを教えてくれる。“老人”メンバーに扮するのは、笹野高史や左とん平、小松政夫ら超ベテランの俳優陣。坂口は「いい意味ではちゃめちゃでした」と彼らとの共演を思い出してにっこり。「みなさんすごく自由なんです。こっちで盛り上がっていても、そっちでも盛り上がっているみたいな現場で(笑)。にぎやかさがあって、見ていてもとても楽しかったです。みなさんずっとしゃべっていて、誰一人として黙らない(笑)。でもそれが演じている役とまったくずれていなくて、シーンとしても成立している。すごいなと思いました」。

エネルギッシュな先輩たちを尊敬しきりだが、「自由さを知った」と得たものを語る。彼自身は、どんな歳の重ね方をしたいのだろうか?すると「目標も夢もあまり決めていない」と目尻を下げて微笑む。

かといって決してクールなわけではなく、しっかりとそこに熱が顔をのぞかせる。「目標を作って、そこに一直線に進むこともすごく素晴らしいこと。でも僕は、行く先はモヤっとさせておいて、“寄り道”をしているのが好きなんです。一直線で行くよりも寄り道をして行った方が、歩んできた道のりが広がっている気がするんです。夢を持たないというとちょっと悲しい男になってしまうので、決めすぎないことにしているという感じでしょうか」。

「目標や夢を決めすぎない」ことと同時に、もう一つ大事にしているのが、「普通でいること」だと言う。認知度も高まり、めまぐるしく環境は変化しているはず。しかし、自身はいたって平常心を保っているのが驚きだ。「周囲が僕を見る目は変わっているかもしれないですね。『忙しそうだね』とも言われますが、僕自身はこのまま。僕は『忙しい、キツイ』と思うと、そう思うことに疲れてしまうんです(笑)。小さな頃から、『自分は自分のままでいい』と思っているところがあるので、自然と疲れが溜まらないようにしているのかもしれません。自分の性格に救われている部分はありますね」。

どこまでも自分らしく、それでいて置かれた環境にスルリと馴染む。この“柔らかさ”こそ彼の最大の魅力に感じるが、役者としては、自身を役に反映するようにしていると話す。

「お芝居を始めた時は、監督がおっしゃることを『100パーセントやる』ということに意識が向いていました。でも最近は、少し自由になってきた気がしていて。もちろん監督の話を聞いて、そこに向けて努力をしますが、それと同時に自分の要素を入れてもいいんだと気づいたんです。なので僕は、100パーセントそのキャラクターになりたいとは思っていなくて。5パーセントの僕が合わさった方が、監督も面白がってくれる。そう考えてからは、役に溶けやすくなってきたような気がしています」。

役者としては「まだスタート前。靴紐を結び終わったくらいかなと思っています」と謙虚に語る。「銭湯と純喫茶が好き。あと『休憩』という言葉が好きです」と興味深いプライベートも楽しそうに明かしてくれた坂口健太郎。どんな役にも、5パーセントの彼がいる。柔らかさを持ち、「もっと知ってみたい」と思わせる魅力あふれる彼が、作り手に支持されるのも大いに納得だ。【取材・文/成田おり枝】