「プルーム・テック」と「アイコス」を徹底比較! 話題の新方式タバコどっちがいいの?
現在、爆発的なブームとなっているフィリップモリスの加熱式タバコ「iQOS(アイコス)」。その陰で若干存在感は薄いものの、日本たばこ産業(JT)もまた、同様の火を使わない新方式タバコ「プルーム・テック(Ploom TECH)」を販売している。ここでは、もともと紙巻きタバコのヘビースモーカーであり、現在は「iQOS(アイコス)」もVAPE(ベイプ)と呼ばれる電子タバコも嗜む筆者が、2週間ほど「プルーム・テック」に切り替えて、その使用感と「iQOS」との比較した感想をレポートする。
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目次・JTの新方式タバコ「プルーム・テック」・「プルーム・テック」を吸ってみよう・「プルーム・テック」と「iQOS」の違い・「プルーム・テック」と「iQOS」どっちがいい?・「プルーム・テック」の早期の全国発売を期待
「プルーム・テック」ってなに?
実はJTは、2013年に「プルーム・テック」の前身である加熱式タバコ「プルーム」を発売していたが惨敗。その間に、2015年リリースの「iQOS」が爆発的成功を手にし、その後追いのように新方式で今年発売したのが、「プルーム・テック」だ。
「プルーム・テック」は、本体内部の綿に染み込ませたグリセリンなどを水蒸気化させる仕組み。その蒸気を本体先端に取り付ける粉末状のタバコ葉を仕込んだ「たばこカプセル」に通すことによって、ニコチン混じりの蒸気となり、それを吸入して楽しむのだ。仕組みとしては、ニコチンを含んだリキッドを水蒸気にして吸う電子タバコに近いイメージだ。
ちなみに2016年11月現在、「プルーム・テック」の実店舗での販売は福岡県福岡市の一部の店舗のみ。公式オンラインショップからでも手に入るのだが、在庫不足のためか現在は予約受付を停止中だ。
購入には事前に成人確認が必要な「JTスモーカーズID」の取得が必要。そこからさらに「JTスモーカーズID plus Ploom」も取得してからオンラインショップで割引特典付きの購入となる。筆者が購入した時点では、4,000円(税込)が2,000円(税込)になるキャンペーンを実施中だった
筆者は運よく夏に予約でき、10月に入手できた。カプセル交換時のLEDの点滅回数を増やすなど、若干のマイナーチェンジが行われた最新機種だ
なお、購入時に忘れてならないのは、「プルーム・テック 専用たばこカプセル」を一緒に購入しておくこと。こちらもまた、福岡市の一部店舗とオンラインショップでしか手に入らないからだ(ごく一部を除く)。
「プルーム・テック」を吸ってみよう
「プルーム・テック」のスターターキットには、バッテリーとACアダプター、USBチャージャーが同梱されている。使用する前に、まずはバッテリーを充電する必要があり、90分でフル充電となる。フル充電の状態から吸える回数はおよそ250パフ(「プルーム・テック」でのひと吸いは1パフ、2パフとカウントする)。たばこカプセル5個分(1箱)の連続使用が可能になる計算で、1本吸うごとに充電が必要な「iQOS」ユーザーには夢のような仕様だ。
製品には携帯用ケースがついて来るが、ややチープな質感なので、筆者はあまり使いたいと思えなかった。ケースに貼るステッカー(写真右奥)も付属するが、正直微妙。製品の高級感という意味では、「iQOS」に軍配があがりそうだ
USBチャージャーに本体バッテリーをねじ込んでから、ACアダプターのUSBポートに装着すると、充電が開始される
「プルーム・テック 専用たばこカプセル」は3種類。ブランドは、日本で最大ユーザーを誇る「メビウス(旧・マイルドセブン)」である。メンソール中心で種類は少ないが、どれもクセのない味わいという印象だ。
写真左から、鋭いメンソール風味の「Cooler Green」、芳醇なタイプのメンソール味の「Cooler Purple」、レギュラータイプの「Regular」。筆者はおもに「Regular」を使用した
1箱に1本の専用カートリッジと、たばこカプセルが5個入っている
携帯用ケースは、バッテリーとカートリッジ、予備の専用カプセルがすっきり収まる
カートリッジを上から見たようす。ドーナツ型のプラスティックパーツの向こうに、蒸気の元となるグリセリンなどを染み込ませた綿が入っている
まず、本体バッテリーにカートリッジをねじ込む
カートリッジ先端にたばこカプセルを装着。これで準備完了だ
吸うことで自動的に電源が入って、先端LEDが点灯するが、それなりに強く吸わないとLEDが点灯しないため、初めはとまどうかもしれない
力強くゆっくりと吸うことによって、口内に蒸気が流れ込んで来る。煙自体はライトな感覚で、タール値で言うと5mg以下の印象。長く吸えばきつめに、短く吸えばより喫味は軽くなる
たばこカプセル1つにつき、50パフが可能。パフ数は本体でカウントしており、LEDが青色で連続点滅(12回)したタイミングでたばこカプセルを交換する。カートリッジは、たばこカプセル5個使用を目安に交換する。通常の喫煙者がとまどうのは、やはり最初に強めに吸わないと起動しないことと、通常のタバコに比べて長すぎる本体だろう。正直、筆者も持ち方には悩んだ。
最終的に落ち着いたのはこのスタイル
ちなみに、「iQOS」同様、くわえタバコは厳しい。吸うと電源が入るので物理的には可能だが、くちびるがぷるぷるするほど重いので、現実的ではない
「iQOS」ユーザーが2週間「プルーム・テック」に切り替えてみてわかったこと
筆者は普段、おもに「iQOS」を吸っているのだが、今回は2週間「プルーム・テック」のみで過ごしてみて、「iQOS」との使用感の違いを試してみた。「iQOS」の使用感については、下記の記事で詳しくレポートしているので、チェックしてみてほしい。
<関連記事>ヘビースモーカーが話題の加熱式タバコ「iQOS(アイコス)」に2週間完全移行してわかったこと
先にも簡単に触れたが、この2つは仕組みにも違いがある。「プルーム・テック」がグリセリンなどを蒸気にして粉末タバコ葉を入れたカプセルを通し、ニコチン混じりの蒸気を吸引するのに対し、「iQOS」はタバコ葉を練って細長く成型したものにグリセリン類を直接含ませ、350℃の高温になる加熱ブレードで燃える寸前にまで加熱。その蒸気を吸い込む方式だ。タバコ葉を加熱しているという点では、「iQOS」のほうが通常のタバコに近いといえる。
「iQOS」(下)に比べて軽くてスリムな「プルーム・テック」(上)
「プルーム・テック」のたばこカプセル(左)と「iQOS」のヒートスティック(右)を分解してみた。「iQOS」の葉が棒状なのに対し、「プルーム・テック」は粉末状
「プルーム・テック」はほとんど無臭
「プルーム・テック」は、ほぼ無臭だ。その無臭っぷりは、蒸気を人に吹きかけてもほとんどわからないほど。電子タバコの蒸気に果てしなく近いレベルだ。
「iQOS」も、通常の紙巻きタバコに比べれば圧倒的に煙が少なく、ニオイも軽減しているが、喫煙者の筆者でも周囲に吸っている人がいればすぐわかる。ポップコーン臭に酸味と燻し感がある独特のニオイは、異質なだけに気になる人は多いだろう。したがって、髪や服に多少のニオイはつくし、使用済みのヒートスティックはゴミ箱にそのまま放り込んでも大丈夫とのうたい文句を信じて実践したら、ゴミ箱から強力な臭気が立ちのぼるという目にもあったが、「プルーム・テック」ならその点もクリアできそうだ。
「プルーム・テック」は灰皿がいらない
「プルーム・テック」には吸い殻という概念が存在せず、ゴミとなるのはたばこカプセルのみ。使用済みのたばこカプセルは無臭なので、そのままポケットに入れても気にならない。喫煙者や「iQOS」愛用者は、つねに周囲に灰皿を探す習慣がついているため、灰皿が必要ないということに慣れるまで約1週間かかったが、これは実に自由な気分である。
灰皿がいらないしニオイもないのに、喫煙スペースで吸わなければならないということに釈然としない思いを感じるレベル
「プルーム・テック」はバッテリーを気にせず、中断吸いができる
「iQOS」は、基本的に吸い始めたら、最後まで吸わねばならない。よって、喫煙途中で誰かに呼ばれて喫煙不可のスペースに行くといった場合は、1本むだにしてしまうことになる。そのままポケットに入れるのも、本体中心部が350℃まで加熱されていることを考えると恐ろしいので難しい。通常のタバコも同様だ。しかし、「プルーム・テック」は、喫煙途中にそのままポケットに入れておいて、いつでも再開することができる。電子タバコでさえ電源を入れる煩わしさがあるのだが、これは吸い込むことによって自動起動するのがうれしい。
その利点はコスト削減にもつながる。紙巻きタバコの「メビウス」が440円なのに対して、「プルーム・テック専用たばこカプセル」は460円で、一見コストアップの印象がある。しかし、実は紙巻きタバコがどんなにがんばっても1/5程度の長さになるところまで吸うのが精一杯なのに対し、「プルーム・テック」はたばこカプセルのニコチンがなくなるぎりぎりまで吸引できる。そのため、通常のタバコで1日1箱程度の喫煙量の人間が試すと、「プルーム・テック専用たばこカプセル」は1日では1箱なくならないことに気づくだろう。
「プルーム・テック」は、カートリッジとたばこカプセルの足並みをそろえなければならない
ここまでよいことづくめだが、もちろんデメリットはある。当初悩むだろうことは、たばこカプセルを交換するタイミングである。蒸気を発生させるカートリッジ内部のグリセリン類は、どうやら1パフ=2秒程度でカウントしているらしく、軽いからといって深く4秒以上吸い込むということをしていると、たばこカプセルはまだ余っているのに、蒸気が発生しないという状態になってしまうのだ。そうなると、たばこカプセルが余った状態で、次なる「プルーム・テック専用たばこカプセル」の箱を開けて、新しいカートリッジに交換しなくてはならない。
ネット上には、カートリッジ内部に市販のグリセリンを補充して復活させる。という荒技を実践している人もいるようだが、故障や事故の原因にもなりかねないのでやめよう
筆者も深く吸うため、たばこカプセルがどんどん余ってしまった。正直カートリッジのみ別売りで手に入るようにしてほしいと感じた。だが、慣れてくるとその誤差もだんだん減っていったように思う。コツは、強めに吸い始めてゆっくりと吸い込み、2秒程度でストップ。喫味が軽いので、吸気はそのまま肺に入れてしまう「肺吸い」でも問題ない。ただ、もともと喫煙者だったり、ニコチン特有のスロートキック(喉を蹴るような独特の感覚)を楽しみたいのなら、一度口の中に蒸気をためてから吸い込む「口吸い」がおすすめだ。
「プルーム・テック」と「iQOS」、ずばり、どっちがいい?ニオイを気にするなら断然「プルーム・テック」
そもそもたばこが嫌われる原因は、燃やす時に発生する発がん物質のタールが主体。ニコチンにも依存性があるものの、タールほどの強力な害は少ない。また、歯が黄色くなる原因もタールであり、燃やさないたばこである「プルーム・テック」にはそうした有害物質の量が限りなく低減されている。「iQOS」に比べても格段にニオイが少ないので、「iQOS」特有のニオイに慣れないという人にも試してもらいたい。
タバコの喫味にキツさを求めるなら「iQOS」
「プルーム・テック」の喫味は軽い。普段からライト系タバコを吸っている人なら違和感は少ないだろうが、タール値10mg以上の重いたばこを吸っている人だと物足りないだろう。「iQOS」のほうが、そうしたタバコ感は強い。段階的な減煙や喫煙を目指すなら、「iQOS」からのほうがスタートしやすいだろう。
充電がめんどう、重いのが嫌なら「プルーム・テック」
「プルーム・テック」はバッテリーが約10.5gで、カートリッジとたばこカプセルをセットしても15g程度。ボールペン程度の重さと思えばいいだろう。いっぽうの「iQOS」が充電器とともに持ち歩くために100gを軽く超えることを考えると、1/6程度の重量だ。
本体のほかに「ヒートスティック」と携帯灰皿を持ち歩かなければならない「iQOS」に比べてかなり身軽。吸いかけの状態でかばんに入れても、ニオイは気にならない
初期費用は「プルーム・テック」の圧勝
導入のイニシャルコストは、ともに値引きキャンペーン価格(2016年11月現在)を適用した場合、「iQOS」が6,980円(税込)、「プルーム・テック」が2,000円(税込)と、「プルーム・テック」の圧勝だ。ただ、ランニングコストで考えると、コンビニなどで手軽に手に入る1箱460円の「iQOS」の「ヒートスティック」より、同じ1箱460円でもオンラインショップで購入すると送料がかかる「プルーム・テック 専用たばこカプセル」のほうが不利となる。「これからはプルーム・テックを愛用しよう」と決めたなら、まとめ買いするなどして、コストを抑えよう。
まとめ 「プルーム・テック」の早期の全国発売を期待
今回、「iQOS」との比較を軸に「プルーム・テック」を紹介してきたが、「プルーム・テック」は、まだ福岡市とオンラインショップの限定発売という実験販売に近い状態にあることを理解しておきたい。ロイターの報じたところによると、JTの生産体制はかなり拡大しているらしく、来年の早い時期に全国首都圏での発売をもくろんでいるらしい。全国発売となれば、かなりの反響を得ることは間違いないだろう。またこの原稿を書いている2016年11月の段階で、「ラッキー・ストライク」を展開するブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパンが、12月12日に加熱式タバコ「glo(グロー)」を仙台市から販売することを発表した。最後に勝ち残るのは3つのうちのどれなのだろうか。
あくまで個人的な意見だが、2つ試した段階では、「プルーム・テック」に軍配を上げたい。筆者はすでに通常のタバコから「iQOS」に完全移行しているということもあるかもしれないが、喫味の軽さや、都内在住のため「プルーム・テック専用たばこカプセル」がオンラインからしか購入できないということを差し引いても、ニオイや充電の手間が少ないという快適さを味わってしまったので、今後は「プルーム・テック」に手が伸びてしまうことが多くなりそうだ。
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