大迫と久保を新たに招集し、4トップの採用を示唆したハリルホジッチ監督。11月の2連戦でどんな采配を見せるのか? 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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「久保(裕也)はセカンドアタッカーです。我々はだいたい3トップですが、2トップの真ん中に置くオーガナイズがいいでしょう。彼の存在でアイデアが増える。試合が上手くいかなかった時に、もしかしたら真ん中に2人、サイドに2人を置く4トップになるかもしれない。得点を取りにいく時ですね。それはソリューションのひとつです」
 
 11月4日の日本代表メンバー発表会見で、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督はそう語った。これまで継続的に4-3-3を採用(昨年8月の韓国戦では1トップを、今年3月のアフガニスタン戦では2トップをテスト)してきた指揮官から4トップの採用を示唆する発言が飛び出したことは、11月11日のオマーン戦(親善試合)、15日のサウジアラビア戦(ワールドカップ予選)に向けて見逃せないポイントのひとつだろう。
 
 ハリルホジッチ監督が意識していたか否かは不明だが、日本ではあまり聞き慣れないこの「4トップ」、実は欧州サッカーの最先端トレンドのひとつでもある。
 
 4-2-4を好む監督として知られるのが、アントニオ・コンテ(チェルシー)とジャンピエロ・ヴェントゥーラ(イタリア代表)。さらに戦術家として名高いジョゼップ・グアルディオラ(マンチェスター・C)とロジャー・シュミットも、試合展開次第でしばしば4トップを使っている。
 
 また、ダニエウ・アウベス(現ユベントス)が在籍していた昨シーズンまでのバルセロナも、攻撃時はその右SBが完全に右ウイングまでポジションを上げて、右翼のリオネル・メッシが中央にスライドしてセカンドトップ的に振る舞うという、実質的な4トップを形成していた。
 
 この4トップにとりわけ強いこだわりを持っているのが、コンテだ。指導者キャリアをスタートした直後のシエナ助監督時代に敵チームが使っていた4-2-4に惚れ込むと、バーリ、シエナ、ユベントス、イタリア代表、そして現在のチェルシーと率いたチームのすべてで、その独自システムを採用している。
 
 ユーベとイタリア代表における最終形が3-5-2、現在チェルシーで使っているのは3-4-3(3-4-2-1)だが、前者では両WBを、後者では一方のWBをウイングの高さまで上げるなど、システムにかかわらず攻撃時は実質4トップを形成するのがコンテ流だ。
 
 4トップの最大の利点は、2トップ+2ウイングの4人で相手4バックに対して4対4の関係を作れること。コンテ流はダイレクトパスを多用したコンビネーションプレーによるパターン攻撃が軸だが、そうでなくても数的同数のため1つのドリブルやスルーパスの成功で相手ディフェンスラインに風穴を空けられるので、フィニッシュに持ち込みやすいのだ。
 この4-2-4に対しては、「サイドハーフとウイングの呼び方を変えているだけで、中盤フラットの4-4-2と大きな違いはないのでは?」という声も挙がりそうだが、両システムは戦術的に大きく異なっている。
 
 最大の違いは、組み立てから崩しの局面における両翼の位置。4-4-2のサイドハーフは通常、組み立ての局面でパスワークに絡むため中盤のゾーンに留まる。しかし、4-2-4のウイングは中央の2CFと同じ高さに位置取りするため、組み立てでサイドに幅を作る仕事はもっぱらSBの仕事となる。
 
 このようにかなり攻撃的システムと言える4トップを、はたして日本代表も使いこなすことができるのか。今回の招集メンバーを4トップに当て嵌めると、2CF候補が岡崎慎司、本田圭佑、大迫勇也、久保、浅野拓磨、左ウイングが原口元気、齋藤学、清武弘嗣、右ウイングが本田、浅野、小林祐希、齋藤といったところだろうか。