photo by Gage Skidmore via flickr(CC BY-SA 2.0)

写真拡大

 米大統領選挙でトランプ氏勝利となった9日は、豪金融市場もやはり混乱した。

 豪株式市場はS&P/ASX 200指数で1.90%下落。大手銀行株は1.6〜2.0%、主要資源株2〜3.2%と大きく値を下げた。一方で産金株は10%近く値上がり。

 豪ドルはドルに対して一時1豪ドル=0.758水準まで下落するも、日銀が投機的な動きを警戒と伝えられて円が売られ、この流れを受けて豪ドルも買い戻された。日本時間午後6時現在、1豪ドル=0.765水準となっている。

 人々にもショックは強かったらしく、国営ABCテレビによれば「主要国の首脳は、クリントン氏を知っていても、誰もドナルド・トランプ氏を知らないのではないか」とまで報じている。

 ジュリー・ビショップ豪外務大臣は同TVのインタビューで「オーストラリアはドナルド・トランプ氏と生産的に活動する用意がある」と述べ、良好な関係を築く姿勢を強調した。(参照:豪ABC)

 マルコム・ターンブル豪首相もお祝いの言葉を述べ、「トランプ政権は、オバマ政権と同じように、永続的な国益保護のために活動するだろう」と期待を示した。(参照:豪ABC)

 あわてたのが、これまでトランプ氏を揶揄してきた政治家たち。

 トランプのことを「ドロップキック」(2015年8月)と呼んだのはジョシュア・フライデンバーグ財務担当閣外大臣(当時)。

 野党のビル・ショーテン労働党党首は先月、「トランプ氏は大統領にはまったくもって不適切」と経済会議で発言した。「よく吠える奴」(2016年5月)と描写したこともある。

 労働党のエマ・ヒューサー下院議員は「知ってるでしょう、彼はブタよ」(2016年10月)と言っている。(参照:豪ABC)

 かんじんのターンブル豪首相も「実際に彼(トランプ氏)の発言を非難してきましたし、普通はどこでも非難されるべき忌まわしいものと思いますが、言葉は慎むことにします」と発言した(2016年10月)。

 そんな豪政治家たちは今後、トランプ大統領とどう仕事をするのだろうかと注目されている。(参照:Sydney Morning Herald)

 一方、大歓迎しているのが、極右政党ワン・ネイションの党首ポーリン・ハンソン女史。

「アメリカは正しい選択をした。とてもハッピー。人々のパワーがいま起きている」とシャンパンで乾杯している。(参照:Sydney Morning Herald)

 大忙しだったのが賭け屋(ブックメーカー)だ。

 当初、トランプ大統領は$6(当選確率16%)とされていたが、優勢が伝えられ始めると$4.50(同22%)、$4.00(同25%)、午後には$1.25(同80%)と下がり続けた。その頃クリントン氏は$4(同25%)。最後にはトランプ氏$1.03(同97%)まで動いた。トランプに張って勝利を手にした人もいただろう。

 ちなみにいまの賭け屋サイトの注目は「トランプ大統領は最初に誰を刑務所にぶちこむか?」になっている。

 いま現在、ヒラリー・クリントン氏が$1.30と一番人気。

 二番人気はビル・クリントン氏$6。以下、バラク・オバマ氏$11、ビヨンセ$16、レディ・ガガ$21などの名前が挙がっている。

 この先の展開も目が離せないことになりそうだ。

<取材・文/沢木サニー祐二 photo by Gage Skidmore via flickr(CC BY-SA 2.0)>

【沢木サニー祐二】
オージー文化評論家。1965年、茨城県生まれ。国際調停人。大学で心理学を専攻後、講談社に入社。編集者として『週刊少年マガジン』、『科学図書ブルーバックス』などを手がける。94年に退職後、オーストラリアの独立移住ビザを取得、現在までシドニーに在住。現地でカンタス航空機内誌の副編集長を経て、編集プロダクションを運営。月刊誌やガイドブック製作などに携わりながら、移住・資産運用・法務サポートなどを行う。日本経済新聞シドニー支局現地記者(2013-15)、ニューサウスウェールズ州治安判事、オーストラリア全国調停人協会認定調停人、英国仲裁人協会会員。著書に『「おバカ大国」オーストラリア - だけど幸福度世界1位!日本20位!』 (中公新書ラクレ)、『潜水艦 Option J いつか浮上へ: 海外に挑もう がんばれ日本ビジネス』(KDP)など