ロボット、AIと新しいテクノロジーが次々と現れる昨今、必ず絡んでくるのが「クラウド」だ。

最新の技術やガジェット、サービスなど、それらを紹介する記事にはたいてい「クラウド」はセットで出てくる。

「クラウドならではのメリット……」、「クラウドだから……」などなど、頻繁に使われる。
しかし、実際何を指すのかよくわからないという方も多いのでは? 

ここで、クラウドの基礎知識をおさらいしておこう。

◎2000年代頭には既に登場していたクラウドという言葉
クラウド(クラウドコンピューティング、cloud computing)は、ネットワークを使ったシステム資源(ストレージ、あるいはソフトウェア)の利用形態を指す言葉(概念)だ。

最初に使われたのは2006年のGoogleのCEOであるエリック・シュミットによる発言とされる。

私たちが利用する情報やアプリケーションは、特定のどこかのサーバにあるというのではなく、「雲」のように広がったサイバースペースにある。そこから、自由にサービスとして提供されるのだとすることから雲=クラウドと呼ばれる。

その後、2006年から2008年頃にかけて、Google App EngineやAmazon Web Serviceなど、PaaS(Platform as a Service)と呼ばれるクラウドサービスが登場し、普及していった。PaaSはざっくりいうと、開発者向けに開発用の基盤を提供するもの。

実は、一般の利用者が実際に利用するサービス(機能)として、Gmailなどのメールサービスはそれ以前にすでに存在していた。
しかし、一般にGmailなどがクラウドを利用したものと認識されたのは、ネット上のデータ保存サービスのクラウドストレージ普及後かもしれない。
これらは、同じくくりとして「クラウドサービス」と呼ばれるようになった。

ちなみに、こうした利用者が利用するクラウドサービスはSaaS(Software as a Service)と呼ぶ。

◎その背景にあったもの
そもそもネットワークを介して、ローカルからリモートのリソースを使おうという発想は古くからあった。
大昔のコンピュータシステムは大型の汎用コンピュータに大量のホストが接続し、必要な計算は汎用コンピュータに投げて処理を行うという形(いわゆる「メインフレーム」)だった。
もともとインターネットもサーバ-クライアントという仕組みで、クライアントであるPCからサーバの提供する機能を利用するというもの。

それが、なぜ2000年代になってクラウドコンピューティングが提唱されたか?
そこには、ハードウェアの劇的な進化、そしてネットワーク回線の大容量・高速化がある。

メインフレームの時代、まだハードウェアの性能は低かった。
高速な計算、複雑な処理をするには巨大なシステムが必要で(イコール、高価であったし)、そのため汎用の巨大なコンピュータのリソースを個人が利用するには、ホストから利用するという形態が必要だったのだ。

その後、ハードウェアは進化し、パーソナルコンピュータが普及、個々に機能を持つソフトウェアをインストールして利用できる形になった(それでも、おそらく今のスマートフォンよりも性能は低かった)。
同時にインターネットも普及し、インターネットにつなぐためのサービスが洗練される。
あわせて通信回線の技術、高速化も進化し、一般の人までも当たり前にいつでもどこでも、高速にインターネットに接続できるようになった。

このように、いつでも、どこでも、誰でもが同じようにアクセスできる環境が整い、こうした環境を使うサービスにとっての大きなメリットになってきた。

さらに下手なPCよりも性能がよいスマートフォンが普及すると、メールであれ、Webブラウズであれ、動画、表計算、ドキュメント編集など、なんでもできるということになった。

インターネット経由でサービスとして利用できるアプリケーションが大きく進化したのだ。

従来のネットワーク経由のリソース利用と、クラウド・クラウドコンピューティングの大きな違いは、利用者は「特定のサーバ」を必ずしも意識しないというところにある。

つまり、サイバースペースに拡散された情報・データの中から、好きなときに好きなように利用することができる。

もうこうなると「クラウドを使っている」という意識さえしない。
そうした手軽さ、複雑なもの見せない簡便さが、クラウドを大きく浸透させてきたのかもしれない。

◎注目されるわけ
今、クラウドは、ロボットやAIなど、注目される最先端技術の分野にひも付いて出てきている。
これは、多くの人たちがクラウドサービスを(直接的・間接的に)利用することで、さまざまなデータがそこに集約されてきているからだ。

クラウドのデータは、クラウドストレージに保存された写真データ、SNSに投稿されたデータだけではない。スマートフォンおよび連携デバイスで、これまで可視化が難しかったセンサーが取得するデータまでも蓄積されている。
たとえば、今日はどこまで歩いた、誰がどこにいた、あるいは心拍数といったものまでデータ化され、クラウド上のサーバに日々蓄積されるようになっている。

これを称して「ビッグデータ」と呼ばれる。
今後、このビッグデータを活用するビジネスが加速することは間違いなく、それを支えるキーテクノロジーとしてクラウドがあるのだ。
先端サービスだったクラウドは、今後、社会の基盤になっていくからだ。


大内孝子