衝撃のトランプ勝利、要因は「裏切られた」白人中間層の怒り

写真拡大

非常に醜い戦いであり、厳しい接戦でもあった米大統領選に決着がついた。

今回の大統領選では、有権者の支持が大きく割れた。投票の結果、共和党のドナルド・トランプ、民主党のヒラリー・クリントンどちらか一方の候補が相手にかなりの大差を付けた州も多かった。

白人有権者の減少

選挙戦ではその大半を通じて、白人有権者の減少が大きく取り上げられた。東部に集中する主要メディアのコメンテーターらを中心に、各社は「新しい米国」に注目。それは、「少数派の住民と高い教育を受けた労働者、ミレニアル世代の連合」を示していた。

確かに、米国の有権者に”少数派”が占める割合は大きくなり続けている。現在は30%以下だが、2032年には40%を超える見通しだ。一方、白人層は少産多死の傾向が続くと見込まれる。

2012〜16年だけをみても、ヒスパニック系とアジア系の有権者はそれぞれ17%、16%の増加をみせたが、白人有権者はわずか2%の増加にとどまっている。

「階級」間の違い

今回の戦いでは、ニューディール政策の時代以降に行われたどの大統領選よりも、社会の「階級」が大きな要因となった。トランプの”反乱”は主に、グローバリゼーションや移民、(進歩主義の)文化的エリート層の傲慢さに対する中流層、労働者層の恐怖心に乗じたものだった。

そして、トランプの選挙戦はボストンの地元紙ボストン・グローブに掲載された記事の筆者が指摘した「取り残された人たち」に負うところが大きい。この層は、評論家たちが言う「嘆かわしい人たち」かもしれない。そして、彼らは本当に怒っている──収入は減り、平均寿命も短くなっている。

こうした有権者層は、多くが「裏切られた」と感じているかつての民主党支持者だ。中流層の大半を占める人たちでもあり、投票日に起きたことの大半を説明するのは、彼らの怒りだ。

一方で、共和党は富裕層の支持を大きく失った。年収10万ドル(約1,013万円)以上の人たちの多くは、今回は民主党支持に回ったとみられる。富裕層が共和党候補を支持しなかったのは、1964年の大統領選で同党候補となったバリー・ゴールドウォーター上院議員以来、初めてだ。

2012年の選挙で、バラク・オバマ大統領は国内の富豪上位10人のうち、8人の支持を取り付けた。そして、ヒラリー・クリントンはその支持を受け継ぎ、さらに拡大した。億万長者だけで行う予備選があれば、20対1くらいでクリントンが勝利していただろう。

こうした一連の変化は、世代と共に縮小してきた伝統的な中流層にとって、何を意味するのだろうか。世論調査機関ピュー・リサーチ・センターによれば、中流層の人口は減少し、上・下流層を合わせた数を下回っている。もはや米国の多数派ではないのだ。

トランプと米国民の今後

予測がつかないトランプの気性を考えると、彼がこれから何をするのか、予見するのは難しい。

ビジネスマンであるトランプと同じ「階級」の人たちは、圧倒的にクリントンを支持した。トランプ大統領(この言葉を書くことになるとは信じ難いが)にとっての明らかな課題は、こうした「敵」を罰することではなく、郊外や小さな街に住む白人中流層、トランプとは異なる世界の住人でありながら、彼を大統領の座に押し上げた人たちを大切にすることだ。

急進的な改革主義者の役割を果たそうとするならば、トランプは米国に多くの利益をもたらすことができるだろう。例えば、税制改革や連邦主義の再強化、エネルギー革命から得られる利益の確保、軍備の見直しなどだ。

問題は、トランプがこれらを実行するか、その能力があるか、という点だ。米国に自信を取り戻させるという約束を果たせるかどうかは、トランプ次第なのだ。米国民はそれらを憲法と基本的な良識に基づいた形で確実に、トランプに実行させる必要がある。