皮肉なアマゾンの「二重価格」設定、消費者はどう捉える?

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販売される商品には、「2つの価格」が設定されている。アマゾンのこうした方針については、消費者がそれを受け入れるかどうかという点に目が向けられているようだが、筆者の考えでは、これは大きな問題ではない。

アマゾンの実店舗では、例えば店頭に並んでいる書籍には値札が付けられておらず、買い物客らはその本をスキャンして、価格を確認する必要がある。そして、スキャンの結果として表示されるのは、「プライム会員価格」とそうでない人向けの2つの価格だ。非会員向けの価格は、その本の定価とみられる。

食料品を扱う小売店の多くも、何十年も前から一般向けと会員向けの2つの価格を設定している。最大の違いは、コストコなどをはじめとするこれらの小売店が設けている会員向けプログラムは、アマゾンのプライムのように年会費を徴収しないということだ。

「オンラインvs. 実店舗」戦略

この件について誰も指摘していないのは、アマゾンはこの「オンラインvs. 実店舗」戦略を他社の店舗で展開することによって、何年も前から多額の利益を得てきたということだ。アマゾンがアプリ「プライスチェック」の提供を開始したとき、同社はその唯一の目的を、「消費者がどの店舗でも商品をスキャンし、アマゾンの価格の方が安いかどうか比較できるようにすることだ」と説明していた。

ただ、筆者はアマゾンがモバイルでの販売量を急速に増やし、売上高10億ドル(約1,013億円)を達成できたのは、このアプリに負うところが大きいと確信している。

アマゾンはこの戦略について、次のように説明していた。

「今すぐその場で、定価で購入することもできる。だが、アマゾンプライムに加入すれば、今すぐ値引き価格で購入できる上に、その他のさまざまな特典も受けることができる」

「99ドル(約1万円)の年会費を払ってプライム会員になれば、24.99ドル(約2,530円)のハードカバーが15.99(約1,620円)ドルで買える。さらに、2日以内での配送を希望する場合の配送料が一年間無料になる。その上、プライムビデオでさまざまなコンテンツも視聴できる」

確かに、今すぐ同じ本を手に入れるために90ドルを余計に支払うのだとしても、お得なサービスのように思える。

ただし、問題は次の点にある。プライム会員であってもなくても、多くの書籍はアマゾンのサイトから購入する場合、2日以内に受け取ることができなくても、価格は定価以下だということだ。

アマゾンの実店舗にいる客は、そこで定価で購入するのではなく、その場で自分の携帯電話を取り出して、アマゾンのアカウントのログインし、割引価格でその本を購入することができる。

そして、これこそアマゾンがモバイル販売を開始した当初に、その他の小売業者の店舗で展開してきた戦略だ。つまり、アマゾンは消費者にプライム加入を勧めることができるかどうかを確かめようとしているのではないか。

欲しい商品をすぐに最安値で手に入れるための年間99ドルは、その価値に見合った価格だろうか?消費者たちは実際に、店舗で携帯電話を取り出して最安値を調べ、そこで購入するのをやめているのだろうか?──そうした点を、確認しようとしているのではないだろうか。

結果がどうあれ、きっとアマゾンが勝つことになるのだと思うが。