川島永嗣(撮影:岸本勉/PICSPORT)

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9日、取材に応じた川島永嗣の顔は10月よりも明るかった。

コンディションについてたずねられると、「向こうではトレーニングしかやってないのでいいと思いますよ」と、試合出場がないことを逆手にとって朗らかに語る。だが、試合出場の機会がないといっても、日本代表の中での立場は変わってきたのではないか。

メンバー発表記者会見で、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督はGKの説明で、川島にだけ触れていた。

「前回の合宿、たくさんのことを見せてくれました。フィジカル状態もかなり良いはずですね。前回よりも良い状態です。ただ、まだ先発を勝ち取れていないというのが現状ですけども。ただ我々のGKコーチも彼のパフォーマンスは満足しています」

現在のGKコーチはエンヴェル・ルグシッチ。ハリルホジッチ監督の要望で、ハビエル・アギーレ監督時代から継続したリカルド・ロペスから交代させた。そのGKコーチが川島のことを認めたようだ。となると、「試合に出ていないと招集しない」と語っていた監督も、呼ばざるを得なかったと言うことかもしれない。

川島は「ベンチに入れるようになってきたりとか、前には進んでいると思う」とし、「今大切なのは自分自身が自分の限界に挑戦すること」で、時間を有効に使っているという。

だが、ハリルホジッチ監督からは「本来なら呼ばれる立場じゃない」と常々言われているらしい。それでも川島は練習で自分がきちんとトレーニングを積んでいることを見せられると思っていると語った。

それでも、新しいGKコーチのトレーニングに戸惑いはないのか。それまでのステップワーク中心から、今は反射神経が要求されるメニューを多く組み込まれている。

川島はGKコーチ交代に対して、最初に戸惑いがあったことを認めた。だが、GKコーチが変わってトレーニングが変わると「GKにとってはいろんなトレーニングが出来る」とプラスに取っていた。そして「目指す方向は結構似ている」のだという。川島は戸惑いながらもアピールを続けているということだろう。

ところで、ハリルホジッチ監督の「呼ばれる立場じゃない」という言葉は、厳しすぎないだろうか。そう質問が飛んだとき、川島は珍しく慌てた感じになった。

「冗談みたいな感じですよ」「監督も厳しいことを言うけど、選手が成長するために満足させないよう言ってくることもあるので」と苦笑いしながらフォロー。そうやって言葉をプラスに捉えられるというのは、心に余裕のある証拠だ。

【日本蹴球合同会社/森雅史】