<大統領選の勝敗を決めたのは「白人対マイノリティ」という対立の構図だ。これからのアメリカのために、トランプは大統領選で作り上げた差別的な人物像をまず捨てなければならない>(写真:ニューヨークの勝利宣言会場で支持者にあいさつするトランプ)

 ドナルド・トランプ大統領のアメリカで、人々の怒りはどこに向かうのか?

 今回の大統領選は、最初から最後までが常識外れだった。

 投票当日まで、メジャーな予測機関はすべてヒラリーの勝利を予測し、その大部分が80%以上という高い確率を出していた。

 ところが、トランプが激戦州を次々と獲得しただけでなく、ヒラリーが楽勝するだろうと見られていた州でも苦戦した。

 これは、世論調査だけでなく、トランプ陣営自身も予想していなかった結果だろう。

 なぜこのようなことが起きたのだろうか?

 トランプが予想外に得票を伸ばした地域を見ると、その原因が見えてくる。

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 これまで民主党が優勢だった地域でもトランプが優位に立っている。過去には重工業が盛んだったが、産業が時代遅れになって繁栄から取り残された「ラストベルト」と呼ばれる中西部だ。そこで暮らす有権者の多くは労働者階級の白人だ。

 彼らは、予備選でサンダース候補を支持した人たちでもある。民主党は彼らの票を期待していたが、彼らは民主党ではなくトランプを選んだのだ。筆者がコラム『トランプに熱狂する白人労働階級「ヒルビリー」の真実』で書いた人々にとって、トランプもサンダースも、どちらも自分の声を代弁してくれる存在なのだ。

 だが、もうひとつ明らかになったのは、「白人対マイノリティ/移民」という対立の構図だ。開票結果を見ると、これが最も大きなファクターとなったと考えざるを得ない。

 アメリカの国民は依然として白人が最も多いが、近年はマイノリティが急増している。1992年には有権者の84%が白人だったが、現在は70%でしかない。彼らは、それを肌で感じているはずだ。

 白人の支持が多いのは共和党で、92年には党員の93%が白人、16年現在も86%を維持している。一方の民主党は、92年は白人支持者が76%だったが、現在は57%に減少し、半数近くがマイノリティになっている(ピューリサーチセンターの調査より)。

 黒人のオバマが出馬した2008年には、黒人の93%、ヒスパニック系の71%、アジア系の73%がオバマに票を投じた。今回の選挙ではヒスパニック系の投票が増えたと言われ、それがヒラリー有利に働くと予想されていた。

渡辺由佳里(エッセイスト)