今もっとも頼りになるアタッカーが原口だ。サウジ戦でもゴールやアシストに期待したい。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

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 セルジオ越後氏のサッカーダイジェスト連載『天国と地獄』で「サウジ戦の勝利は絶対」という記述があった。確かに、その通りだ。11月15日のホームゲームでグループBの首位を走るサウジアラビアに敗れた場合、このライバルに勝点6差をつけられ、予選敗退の可能性が高まるのだから、引き分けすら許されない。

 ただ、「勝利が絶対」なのはサウジアラビア戦の次──来年3月23日のUAE戦も同じだろう。そして仮にアウェーでUAEを叩いたとしても、その4日後のタイとのホームゲームも極めて重要……。結局、ホームでUAEに1-2と敗れた初戦の黒星が尾を引いているわけで、今回のサウジ戦に限らず、「勝利は絶対」の試合はしばらく続くのだ。

 当然ながら、求められるのは内容以上に結果。攻撃的だろうが、守備的だろうが、そこはさして関係ない。生きるか死ぬかの最終予選は、勝てばオーケーなのだ。

 勝負に徹したという意味で、オーストラリア戦でボールポゼッションに拘らなかった日本のスタンスは評価に値した。

 あえてボールを持たせて、前線からの能動的な守備でボールホルダーを仕留め、そこから効果的にカウンターを繰り出す。前半5分に本田圭佑との素晴らしいコンビネーションから原口元気がまんまと先制ゴールを奪い、その後も「相手に支配させる」(本田)やり方でイニシアチブを握ったサッカーは、PKを取られる50分過ぎまではほぼ完璧だった。

 1-1に追いつかれた以降、押し込まれる展開となり「支配させるから“される”に変わった」(本田)のは残念だが、あのPKさえなければ、という試合だった。

 チームとしての一体感は、イラク戦の終盤にも強く感じた。80分過ぎにCBの吉田麻也を最前線に上げ、そこにめがけてとにかくロングボールを蹴り込むパワープレーは視覚的に美しくなかったものの、間違いなく相手の脅威になっていた。山口蛍の劇的な決勝ゴールも吉田へのファウルをきっかけに生まれたのだから、この“奇襲攻撃”は結果的に大成功だった。

 ひとつの型に拘らず、臨機応変に振る舞えたという点で10月シリーズの戦いぶりは悪くなかった。しかし、一方で日本のウイークポイントが改めて露呈されたのも事実である。

 そのひとつが、セットプレーの弱さだ。かねてから指摘されている弱点にもかかわらず、修正できないまま今回の最終予選でもホームのUAE戦とイラク戦で失点。こうもあっさり崩されると、正直、短期間での改善は期待できない。

 おそらく最終予選の残り6試合では、「1試合・1失点」を覚悟しなければならないだろう。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が「FKやPKを誘うスペシャリスト」というサウジを相手に、果たして1失点で済むのだろうか。

 もはや致命傷とも言えるセットプレーの弱さを考慮すると、日本が勝つには複数得点が必須だ。しかし、攻撃面ではまた別のウイークポイント、決定力不足に悩まされている。

 オーストラリア戦で悔やまれたのは、29分のシーン。左サイドで抜け出した原口が敵陣深くから折り返し、それをゴール前でフリーの本田がシュートしながら、GKに正面でキャッチされた場面だ。あそこで追加点を決めていれば、日本はより優位に試合を進められたはずである。

 その前のイラク戦もそうだ。1-0とリードした以降の決定機を決めらなかったせいで、日本は結果的に苦しい戦いを強いられている。ここぞという時に仕留める力が現代表には欠けているのだ。
 
 ただ、決定力不足を解消するうえで希望の光がないわけではない。そう、救世主のひとりとして期待されるのが2015年6月以来の招集となった大迫勇也だ。

 フランス人FWのアントニー・モデストと前線でコンビを組む今季の大迫は、少し下がった位置からチャンスメイクをこなしつつ、ブンデスリーガ4節のシャルケ戦と5節のRBライプツィヒ戦でゴールを決めるなどケルンの躍進に貢献。所属クラブで冷遇されている本田圭佑(ミラン)などとは対照的に、コンディションも上々で11日のオマーン戦(親善試合)と15日のサウジ戦の両方で起用される可能性がある。