性的な画像や映像を不特定多数にばらまかれる「セックストーション」が問題化している

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 2015年6月。北アイルランドに住むロナン・ヒューズさん(17歳)が銃を使い、自らの命を絶ちました。理由は、恐喝されていたから。ヒューズさんは、出会い系サイトで出会った人に、性的な映像を送り(だまし撮られ)、これをばらまくと恐喝されていました。

 ヒューズさんは、脅されただけにとどまりませんでした。犯人は、ヒューズさんの友人「数名」に実際に「恥ずかしい映像」を送ったのです。実際に友人数名に送ることで、もっとたくさんの人にこれをばらまけるという脅しの手法をとっていたことになります。

 ヒューズさんが受けたような恐喝を「セックストーション」と呼びます。セックストーションという言葉は最近日本でも使われ始めてきました。セックストーションとは、Sex(性的な)とExtortion(脅迫)を組み合わせた、「性的脅迫」を意味する造語です。このセックストーションで使われる画像や動画は、撮られた本人が「世の中に出回っては本当に恥ずかしい」と思うような映像であることが通常です。

◆偽アプリをダウンロードさせ、連絡先情報を抜き取る

 今回のヒューズさんのケースは当初から容疑者が別の国にいると考えられていたため、捜査はすぐ解決へとはいきませんでした。そしてつい先日の2週間前の週末。容疑者が逮捕されたのです。犯人はルーマニアに住む31歳の男でした。

 ルーマニアにいる知人のビジネスマンに意見を求めたところ、「国境を越えた悪質な犯罪。容疑者がルーマニアで逮捕されたというのも、大変情けない話」と嘆いていました。今回、このようなオンライン上の犯罪は国境を越えて十分起こりうるということが再認識されました。また、悪質な犯罪には国境を越えた捜査がさらに容易にできるよう、各国が連携していく必要があります。

 セックストーションで恐ろしいのは、恥ずかしい映像が特定のアダルトサイトに公開されるなどといった単純なケースばかりではないことです。

 最近では、犯人が被害者の知人や身内の情報をだましとるため、偽アプリなどをダウンロードさせ、携帯のアドレス帳を抜き取ってしまうというケースも出てきています。

 ヒューズさんのケースでは、17歳ということもあり、身内の友人だけでなく、学校の先生たちやクラスメートにもばらまかれる可能性がありました。多感な時期ということもあり、相当な恐怖だったと思います。もし社会人がこのようなケースに出くわしたら、社内の同僚や上司に性的な映像を送りつけるぞと脅しが来る可能性もあります。

◆そもそも、性的な画像や映像を第三者と交換すべきではない

 もし不運にも脅迫に遭ってしまったらどうすべきか。恥ずかしさよりも、信頼できる身内、そして警察に相談するのを最優先する必要があるでしょう。一人で悩まず、話して、その時の状況にあった最良の解決策を考える。しかし、やはりセックストーション被害を避けること、これが一番重要です。

 私が今回書いたような事例を多くの人に知ってもらう。これもまた、注意喚起になりますが、そもそも性的な写真や動画などは第三者と交換するべきではないと常に覚えておく必要もあります。今後、セックストーション対策の議論がより活発化されるよう、期待しています。

<文・岡本泰輔>

【岡本泰輔】
マルチリンガル国際評論家、Lingo Style S.R.L.代表取締役、個人投資家。
米国南カリフォルニア大学(USC)経済/数学学部卒業。ドイツ語を短期間で習得後、ドイツ大手ソフトウェア会社であるDATEVに入社。副CEOのアシスタント業務などを通じ、毎日、トップ営業としての努力など、経営者としての働き方を学ぶ。その後、アーンスト&ヤングにてファイナンシャルデューデリジェンス、M&A、企業価値評価等の業務に従事。日系企業のドイツ企業買収に主に関わる。短期間でルーマニア語を習得し、独立。語学コーチング、ルーマニアビジネスコンサルティング、海外向けブランディング、財務、デジタルマーケティング、ITアドバイスなど多方面で活動中。