冬の雪国で自動車ライフを楽しむためには、なくてはならないのがスタッドレスタイヤですよね。

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本格的な冬が目前に迫ったいま、雪国ドライバーはすでにサマータイヤからスタッドレスタイヤへ履き替えを終えていることでしょう。
ただ、微妙なのは年に1、2度雪が降るか降らないかという地域に住んでいるドライバー。冬場にわざわざスタッドレスタイヤを購入し、サマータイヤから履き替えるべきなのでしょうか。

いままさにそんな疑問を持っているのが「F1女子」ことyuriさん。最近自らハンドルを握る機会が増えたからでしょうか、この時期になるとF1年間チャンピオンシップの行方とともにとくに気になっているのだそうです。


そこで彼女の愛車にスタッドレスタイヤを装着し、雪が降っていない道路を試乗してもらうことにしました。まずスタッドレスタイヤがどういうものなのかを、乗って理解してもらうためです。

しかし、ただ乗ってもらってもわかってもらえるか不安なので、助手席には自動車そのものはもちろん、タイヤの試乗レポートも得意とする齋藤聡さんを講師役としてお招きしました。
では、都内から静岡県御殿場まで片道約100kmの駆け抜ける、スタッドレスタイヤの試乗スタートです!

yuri「スタッドレスタイヤが雪道に強いタイヤですよね。普通のタイヤとどういうところが違うんですか??」

齋藤「スタッドレスタイヤは1980年代からスパイクタイヤに変わるスノータイヤとして国内販売されるようになった、雪道や凍結路を走行することを目的にしたタイヤなんだ。で、まず違うのはそのタイヤの成分。タイヤを作るとき原料となるゴムは天然ゴムと合成ゴムを使うんだけど、タイヤの特性に合わせて配合・ブレンドするんだ。それによって使うときの得意な温度域が違ってくるんだよね。
スタッドレスタイヤは低温でも硬くなりにくいゴムを使って雪上や氷上で性能を発揮することも特徴なんだ。ゴムって気温が低くなると硬くなっていく性質があるのはわかるよね。サマータイヤだと一般的に7℃くらいから硬くなるんだけどスタッドレスタイヤはマイナス20℃でも柔らかさを保っているんだよ。この辺が大きな違いだね」

yuri「なるほど。(なんとなくですが)少し理解できました。ただ、スタッドレスタイヤが低温時での走行を念頭に置いて作られているのなら雪が降らないくらいの温かい温度の道路で使うとすぐダメになりそうな感じですかね…」

齋藤「確かにサマータイヤに比べて、今日みたいに気温がそこまで低くなくて(取材時は約16℃)雪道じゃないととろけやすくなるのは確か。けれど、多少の摩耗はあっても、基本的に雪がない路面を走ってもスタッドレスタイヤはそんなに発熱するものではないんだよ。このタイヤもそうだけど、低温時にタイヤが硬くなりにくい性質をもつことでゴムを柔らかく保つシリカを配合材として使っているんだ。このシリカは温度によるゴム性質の変化を抑えることができるからね」

yuri「シリカ??? まあ、タイヤには必要な材料なんですね。ようするに、シリカなどのおかげでスタッドレスタイヤが、雪のない道路を走ってもそう簡単にダメにならないんですね」

齋藤「スタッドレスタイヤを発売しているタイヤメーカーは、雪や氷上できちんと走れること以外に、どこもその性能の効きが長持ちしていることをひとつの売りにしているよね。ただ、効きがどれだけ続くかどうかだけじゃなく、例えばこのダンロップWINTER MAXX02みたいにスタッドレスタイヤそのものがどれだけ擦り減らないかという耐摩耗性にも注目しないといけないよ」

yuri「それじゃあサマータイヤと同じような感覚で雪のない道路を運転しても大丈夫なんですね」

齋藤「そう、特に最新のスタッドレスタイヤは基本的にサマータイヤと運転方法を大きく変えなくてもいいように思う。ただ、スタッドレスタイヤの「美味しい」性能を維持させたい僕は、サマータイヤ以上に『急発進』『急減速』『急旋回』はやらないように心がけてるよ。せっかく買ったスタッドレスタイヤの特性をずっと確保したい、という欲張りな性格なんだ(笑)」


yuri「では私も、そんな運転を心がけます! ただ、クルマに詳しい人から『スタッドレスタイヤにするとウルサくなる』と聞いたことあるんですけど……私の感じ方がおかしいのかこのタイヤ(ダンロップWINTER MAXX 02)ってどうですか??? 履き替える前のサマータイヤとの違いがわかりません…」

齋藤「確かに昔のスタッドレスタイヤはうるさかったなあ。ただ、タイヤメーカーにとっていまのスタッドレスタイヤを開発するとき氷上・雪上性能以外の需要なテーマのひとつとして摩耗性・耐久性などとともにあげているのが走行ノイズをいかにおさえるかなんだ。そんな流れになったのは2008年に発売されたダンロップの「DSX-2」からで、当時は『アスファルトでサマータイヤと変わらないくらい静か!』だと話題になったんで、他メーカーもノイズをおさえることに力を入れ始めたんだよ」

yuri「今までの話だと、夏でも冬でも一年中スタッドレスタイヤでいいような気がしますが、なんかデメリットでもあるんですか?」

齋藤「そうだね、寒くなければスタッドレスタイヤはゴムが柔らかいことでブロック剛性がサマータイヤと比べるとどうしても弱くなってしまうんだ。だから制動距離がやや長くなることもある。それから雨の日、ウエット路面で踏ん張る力が少ないので雨天時の走行もどちらかといえば苦手かも知れないね」

yuri「そうなんだ…。雨の日とか、普通でも怖いんですよ。じゃあ、やっぱり雪があまり降らない地域で冬期にスタッドレスタイヤへ履き替えるのはやめたほうがいいんですね」

齋藤「いやいや、結論としては雪が降らない地域でも冬場はスタッドレスタイヤに履き替えるべきだ!」

yuri「え〜、その理由を教えてください」

齋藤「最初に話した通り、気温が下がると雪の上でなくてもタイヤが硬くならないスタッドレスのほうが冬場はやっぱり有利。とくに気温が低いときのウエット路面なんかでサマータイヤが硬くなった状態で滑ったときは非常に危険なんだ。雪が降ったときだけが危険なわけではないんだよ。
それに、せっかくクルマを持っているなら、冬場の約4ヵ月間は天候を気にせずクルマを出せるという安心感を得られることは大きいと思うんだ。だって、東京でちょっとの雪でもマンションの駐車場へ入るための傾斜が1度か2度と緩やかなスロープでさえ登ることができなくて立ち往生するクルマがいっぱい出てくるんだよ。サマータイヤから履き替えることでタイヤの保管場所に困るなどの問題が出てくると思うけど、最近は季節ごとに預かってくれるところもあるし、最終的には中古屋タイヤ屋さんに売ってしまうこともできるんだよ。またこのWINTR MAXX02みたいな長持ちするスタッドレスタイヤなら、早く着けて、長く走れるから減りを全然気にする心配がないしね。」

yuri「そうなんですね! 勉強になります」

齋藤「理由はまだあってチェーンを携帯してスキー場などに行ったときチェーン装着時に轢かれちゃったとかクルマが滑り落ちてきたとかの事故を防ぐことができるよね。あとなによりスタッドレスタイヤを履いていると、雪道がドライブロードになるんだ。“普通”に雪道を走ることができるようになるんだよね。クルマ好きとって冬場の行動範囲が広がるからとくにお勧めしたい」

yuri「そっか、なんだかスタッドレスタイヤを冬場に装着したくなりました(笑)。それで実際に装着したあと、気をつけることはありますか?」

齋藤「スタッドレスタイヤに限らないけど、まず、新品タイヤの表面を一皮むくという慣らし走行が必要だね。メーカーのカタログにも書いてあるけど100kmぐらい走行すると性能がフルに発揮できるおいしい表面が出てくるね。あと空気圧をまめにチェックすることは重要だね。今回、最初に乗った時は空気圧が高いなあと感じて調整したし。あと、強いていえばブレーキダスト(鉄粉)を取ること、あと長持ちさせたいならトラクションがかかると摩耗が激しくなるからタイヤのローテーションはやったほうがいいと思うよ」

yuri「慣らし走行と空気圧とブレーキダスト、タイヤローテーションですね。しっかりと覚えておきます♪」

yuri「はい…。サーキットを走るF1マシンだけじゃなくて、一般道を上手に走るクルマもチェックするようにします」

齋藤「それと、yuriさんの場合はまずはしっかりとした運転技術を学ぼうね」

(出演/齋藤聡、yuri、まとめ/テヅカ・ツヨシ)

雪国以外でもスタッドレスにするべき? F1女子が最新スタッドレスをアスファルトで試す!(http://clicccar.com/2016/11/09/414503/)