86歳で現役、生き延びるファンドマネージャーの共通点

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バフェットやソロスなど、世界には高齢に達しても投資を続けるファンドマネジャーがいる。筆者は、投資家と、出資を受ける会社の双方に「一流」になる上で共通点があると説く。

少し前のことだが、ある記事を読んで驚いた。アービング・レヴィン氏というファンドマネジャーが米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」主催のファンドコンテストで全米1位になったのだ。レヴィン氏はなんと94歳だった。

世界一長寿の日本人男性の平均寿命をはるかに上回り、現役で仕事をしているというだけでなく、世界で一番競争の激しい米国市場でトップの成績を取った事実に同業者としていろいろ考えさせられた。

記事を読んでいくつかヒントを得た。
・テニスプレイヤーとしても現役で、運動する習慣があること
・資産運用会社の経営者で、自分の理想通りの運用をできる環境にあること
・運と才能に恵まれていること

この3つのポイントに注目した。運と才能はある意味、同義語だ。運よく才能を持ち、且つその才能を発揮するのに運が味方することが成功するためには必要だ。

日本では、ファンドマネジャーの大半は大企業の子会社という位置づけだ。大概はサラリーマンで、45歳前後から現役のファンドマネジャーを退いて管理職になり、60歳前後で引退する。

海外だと独立系の資産運用会社を立ち上げる人が多く、そういう人たちは歳をとっても運用を続ける。例えば、ジョージ・ソロスは86歳で、ウォーレン・バフェットも86歳。彼らはバリバリの現役で、今でも市場参加者はその一挙手一投足に強い関心を持っている。

彼らの共通点は何だろうか。それはなによりも「生き延びている」ことである。では、「生き延びる」とは? 一つは健康で長生きするということ。もう一つは、ファンドマネジャーとして致命的なミスを犯さず、プロの専門家として生き残ることである。

健康第一で会社も投資家も元気に
 
私は1990年から資産運用業界で仕事をしているので、通算26年間現役で仕事をし続けている。おそらく、あまり長く運用をしている現役のファンドマネジャーはそれほどいないのではないか。私よりももっともっと有能なファンドマネジャーはたくさんいたが、不動産バブルやITバブルの崩壊、リーマン・ショックなどを経て、多くが引退を余儀なくされたか、ファンドマネジャーを異動になり、別の部署に回された。

もちろん、私もこれらの下げ相場でダメージを食らったし、公私ともに厳しい状況に陥った。それでも現役でいられるのは、「なんとか続けようとする忍耐力」と「大きなダメージを食らっても致命的というような状況には陥らなかった」ということが大きかったと思う。

あとは、健康で仕事を続けられたことが大きい。私はバフェットやソロスのようなファンドマネジャーになれるかどうかはわからないし、彼らに比べて運にも才能にも恵まれていないかもしれない。でも、彼らに迫るには80代になるまで健康を維持しなくてはならない。

これがなかなかに難しい。この業界でがんばっている先輩方は50歳を過ぎると真っ二つに分かれる。病気がちになって前線から離れていく人と、健康で楽しく結果を出し続けていく人とである。

冒頭のレヴィン氏は、非常にクレバーなテニス選手だそうだ。94歳というだけでもすごいのに、テニスを嗜み、現役のファンドマネジャーとして結果を出すなんて本当にすごい。でも、ミスの少ない堅実なテニスをしているレヴィン氏のプレースタイルそのものが彼を健康にし、ミスの少ないスタイルこそが彼の運用成績の源泉である可能性は高い。

健康といえば、私は経済産業省で「健康経営銘柄」の基準検討委員を務めている。それは、社員の健康の維持発展を経営戦略的に行っている企業を表彰するという制度で、今年で3回目になる。アンケートに答えてもらう形で、健康経営銘柄を発掘していこうと考えている。