中国がロケット発射を「観光化」 8万人がホテル予約の事例も

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11月3日夜、中国南部の海南省の発射センターからロケット「長征5号」が打ち上げられた。国営メディア「チャイナデイリー」は、観光客2万5,000人が打ち上げを見に現地を訪れると伝えた。

中国の宇宙開発計画の多くはまだベールに包まれているが、観光客への開放は過去の厳しい情報統制からの大きな転換だ。

中国の人々はこれまで、政府メディアが注意深く選んだ画像しか見ることができなかった。中国最初の宇宙飛行士、ヤン・リーウェイ(楊利偉)が2003年に宇宙飛行を行ったときもそうだった。米国のNASAのプログラムに比べ、中国が秘密主義を貫くのは、宇宙の軍事化を隠す目的に加え、失敗した際に恥をかくことを恐れているためだと言われる。

豪マードック大学で国際政治経済を教えるジェフリー・ウィルソンは、「技術が成熟し、自信が深まった結果観光客に公開したのだろう」と語った。

その秘密主義に疑念を持った米議会は2011年、中国の宇宙開発を妨害する条項を可決した。中国政府は独自の宇宙ステーション建設や月旅行、さらには火星旅行の実現も目指している。

今年6月に文昌衛星発射センターから長征7号が打ち上げられた時には、8万人が近くのホテルを予約した。長征7号は計画中の宇宙ステーションへの物資の運搬のために設計された。チャイナデイリーによると、今回の打ち上げを控え、部屋数52室のホテルは満室になり、駐車場も増設された。

台湾の元教授、リン・チョンピンは「ロケット打ち上げの観光化は、中国政府の欧米社会に対するメッセージだ」と指摘する。台湾のシンクタンク、中華民国高等政策研究協会(CAPS)の事務局長アンドリュー・ヤンも、宇宙開発の”見える化”は、中国のイメージアップが目的と述べている。

「成功の印象を高め、国民に支持してもらうためのPR作戦で、若い世代に宇宙に関心を持たせようとしている。また、宇宙の平和利用を促進するイメージを、海外の視聴者に与える狙いもある」とヤンは話した。