「徳島のソウルフード」といわれるフィッシュカツも立派な名産品だ

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 各地で県産品のPRが盛んだ。人口減少によって足元の市場規模が縮小していくなか、需要が見込める都市圏で消費を伸ばしたい各自治体の思惑がある。ところが「名産品」を売り出したものの、見向きもされずに消えていく例も多い。

 今回は『とくしまブランド推進機構』(愛称:地域商社阿波ふうど)の試みを紹介したい。今年の4月に開設されまだ半年だが『阿波ふうど』というブランド名で徳島県食材の販路拡大などを進め、すでに首都圏で販売先を開拓するなど着々と成果を挙げている。

 このプロジェクトのキーマンである統括マネージャーの溝口康氏から詳しい話を伺い、知名度の低い徳島県産食材を売り込み、新たな名産品をつくっていくためのヒントを探った。

役所のプロジェクトに
縁もゆかりもない民間人を抜擢

 このプロジェクトにはいくつか注目すべき点があるが、まず現場のトップに民間出身者を抜擢したことが挙げられる。統括の溝口氏は大手百貨店出身。洋服や食品のバイヤー、売り場の責任者などを歴任し、三十年以上を販売の現場で過ごした経験を持つ。役所のプロジェクトに民間出身の抜擢は異例だ。

「『徳島にご親戚でも?』とよく聞かれるのですが、このお話をいただくまで縁もゆかりもありませんでした。はじめは農産物の売り込みなら他に適任の方がいるのではと思いましたが、ブランド化したいという想いを伺って、それなら自分にもできることがあるかな、と働かせていただくことになりました」

 二つ目の注目すべきポイントはとくしまブランド推進機構が県庁、JA徳島、農協中央会、農業開発公社の四者で設立された組織であるということだ。県産品のPRは各自治体で行われているが、県と農協、中央会などが垣根を超えて一つの組織をつくった例は全国的にはじめて、という。

 異なる立場の組織が一つのプロジェクトを進めるにあたり、難しいことはないのだろうか。

「それはないと言えば嘘になりますよ。けれど、行政や民間といったことにかかわらず、まとまって何かをつくるのに理解しあうプロセスは付き物です。この組織の目的はただ一つ、生産者の所得向上です。どこかで相反する部分は出てくるかもしれませんが、お互いにわかりあえば前へ進めるはず。そういえば印象的な事がありました」

 8月に県庁でベンチャー企業「プラネットテーブル」の食材供給システムの説明会が開かれた。プラネットテーブルは東京の環状七号線の内側にある飲食店に生産物を卸すサービスを行っている会社である。すでに全国3000の農家から生産物を集め、1000の飲食店に卸すなど、順調に業績を伸ばしている。

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