<若き「青年新政」議員2名の就任宣誓"パフォーマンス"から、デモ隊vs.警官隊の衝突へと発展。彼らはなぜ議員資格を失うようなことを「わざと」やったのか。また、中国政府はなぜ拙劣な対応を取ったのか> (写真は11月6日、騒動の発端となり、抗議デモに参加した梁頌恒〔左〕と游瀋〔右〕)

 香港でデモ隊と警官隊が衝突する事件が起きた。主催者によると参加者は1万人を突破、一部は中国政府の出先機関である中央政府駐香港連絡弁公室前の道路を占拠しようとする動きを見せた。雨傘運動よ、もう一度というわけだ。6日に始まった抗議活動は8日現在も継続中で、小規模な衝突も起きている。

 衝突の発端となったのは悪ふざけのようなパフォーマンスだ。今年9月の立法会(香港議会)選挙では独立派政党の青年新政から梁頌恒、游瀋の2人が当選した。10月12日、議員就任宣誓式が行われたが、2人は「Hongkong is not China」と書かれた横断幕を持ち込み、また「CHINA」の発音を「Chee Na」、すなわち「支那」と聞こえるような言い方をした。「支那」という言葉は近代以降の日本で侮蔑的な意味で使われたことは中国でよく知られている。青年新政の言葉もまた差別的なものだと受け止められている。

 香港の憲法にあたる基本法の104条は、主要官僚や議員、裁判官など司法関係者は就任時に基本法を守り、中華人民共和国香港特別行政区に忠誠を誓うと宣誓しなければならないと定めている。非親中派にとってはあまりうれしい話ではない。かくして以前から宣誓式は"面従腹背パフォーマンス"の場となってきた。

 決められた宣誓の言葉の後に「天安門事件の名誉回復を」と付け加えてみたり、中華人民共和国の部分だけ小声で話してみたり、あるいはわざとらしく咳き込んでみたり、1文字ごとに5秒ずつ沈黙してみたりと、あの手この手の芸が登場している。見逃されたケースもあれば、宣誓のやり直しを命じられたケースもある。

 その最新版が青年新政の「支那」宣誓だったというわけだ。いくらなんでもやりすぎだとして親中派のみならず、非親中派からも批判を浴びた。非親中派の中でも青年新政などいわゆる本土派は「香港と中国は別物」という考えだが、伝統的な民主派では「中国共産党は嫌いでも自分は中国人」とのアイデンティティを持つ人が多いだけに批判も当然だろう。

【参考記事】「民主主義ってこれだ!」を香港で叫ぶ――「七一游行」体験記

高口康太(ジャーナリスト、翻訳家)