【今さら聞けない】クルマのボディの「モノコック」って何?

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卵の殻のように外側のパネルで力を受け止める構造

現代のクルマのボディは、そのほとんどがモノコック構造を採用しています。卵の殻のような構造で、素材そのものは脆くても一体化していることで力を分散し、強い構造物になっています。日本語では応力外皮構造といい、外側のパネルで力を受け止める構造です。

もともと飛行機で開発されたもので、自動車工学には航空工学からのブレークスルーされた技術がたくさんありますが、そのひとつです。飛行機を見れば判るように、丸みをもった卵のような断面になっていますね。

しかしクルマは四角い箱です。スペース効率の面からも、卵のような丸い形状にはできません。本当に飛行機のようなモノコック構造? 疑問が沸くと思います。じつはクルマの外側に露出しているボディパネルのほとんどは、応力がかかっていません。つまり多くはカバーやリッドなんですね。

応力がかかっているのは、アンダーフロアパネルとルーフパネル、そしてピラーです。つまり本来の意味からいって、モノコック構造とは呼びにくいのです。

フレームからビルトインフレームになりモノコックへ進化

ここで歴史を振り返ってみましょう。クルマの構造はもともと平面的なフレームの上にエンジンやサスペンション、ボディを組み付けたものでした。これをフレーム構造と呼びます。すべての力はフレームが受け持つので、ボディの変更や改造も楽で、エンジンも自由に載せ換えることができました。

現在でもトラックがこの方式を採用しているのは、ボディ後半のカーゴスペースを、比較的自由に最適な構造に仕立てることができるからです。

フレーム構造が進化していくと、飛行機のモノコック構造をモチーフにして、ボディとの一体化が進んでいきます。こうしたビルトイン・フレーム構造は、現在もオフロード向けSUVなどで採用されています。

そこからフレームを外し、ボディ側にフレームが担っていた強度や応力が任されることになったのが、クルマのモノコック構造というわけです。形状は違いますが、ボディ全体で応力を受け止める、という意味では飛行機のモノコック構造と同じ考え方になります。

フレーム構造では強度で有利で、振動が伝わりにくいメリットがあります。モノコック構造では重量と剛性面が有利で、乗り心地の面にメリットがあります。そうした基本特性を踏まえて、現在のクルマのほとんどがモノコック構造を採用しているわけです。

例外は新型NSXでも採用されたアルミスペースフレーム構造です。アウディの高性能モデルに採用されていますが、アルミボディのデメリットを消し、メリットを生かすために、モノコック構造ではなく、スペースフレーム構造を採用しているのです。

(文:岡村神弥)