現地メディアの平均採点ランキングでリーグ20位に名を連ねるなど、小林は1年目のエールディビジで早くも存在感を発揮している。(C)Getty Images

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 オランダのサッカー専門誌『フットボール・インターナショナル』のWEB版は、「好調の小林が日本代表に選ばれる」という見出しとともに「ジュビロ磐田で攻撃的MFだった小林祐希は、ヘーレンフェーンでやや守備的な役割を果たしつつ、目覚ましい成長を遂げた」と報じた。
 
 エールディビジ1年目ではここまで、公式戦10試合出場でゴールもアシストもなしと試合を決定付けるような結果は残せていない。それでもオランダの玄人たちは、「左足の技術が素晴らしい。インテリジェンスを感じるプレーをする」(元ユトレヒト監督のフック・ボーイ)、「小林はヘーレンフェーンのモーターだ」(元オランダ代表MFのアーノルド・ブルヒンク)と小林のいぶし銀のパフォーマンスに唸っている。
 
 フットボール・インターナショナル誌の採点ランキングでも小林は、平均6.43(10点満点)でリーグ20位に付けている。同メディアは、アンカー(スタイン・スハールス)と攻撃的MF(ペッレ・ファン・アメルスフォールト、もしくはモアテン・トルスビー)の間を繋ぎつつ、中盤での守備、アタッカー陣へのボール供給など、黒子の役割を全うする小林を、しっかり高く評価しているのだ。
 
 また、全国紙『デ・テレフラーフ』は、第11節のベストイレブンにフェイエノールト戦(10月30日/1-1)で奮闘した小林を選出した。
 
 チームの危機を察知して予めスペースを消しておくことや、自分が動くのではなく味方を動かすコミュニケーション――。オランダでプレーの引き出しが増えた小林は、ボランチとしてヘーレンフェーンにとって欠かせない選手となった。
 
 しかし、本人が虎視眈々と狙っているポジションはトップ下。自らゴールを決めることができればもちろん嬉しいし、アシストも楽しい。しかし、自分がゲームを作ってチャンスに絡み、それがチームの得点に繋がれば、それが単に「攻撃の起点」であっても小林はゾクゾクするのだという。ゴール、アシスト、ゲームメイク――。その全てを贅沢に味わいたいからこそ、小林はトップ下に強いこだわりを持っているのだ。
「まずは存在価値を見せつけて、自分の立ち位置をチームの中で作る。そして結果を出していけば、おのずとトップ下のポジションは回ってくる」
 
 つまり、ヘーレンフェーンでの小林は現状、“偽りの自分”を意図して演じているわけだ。チーム内での地位を確立した今、徐々に小林はプレーの重心を攻撃に置く時間を増やしている。
 
 実際、インターナショナルマッチウィーク直前のスパルタ戦(11月4日)では、「トップ下をイメージしてプレーした」という。
 
 たしかに、これまでは球離れを早くしてパスワークを軸に据えていたが、この試合ではあえてボールを少し運んでゲームを動かし、攻撃に新たなアクセントを付けようとした。
 
 味方に決定的なスルーパスが通るシーンはなかったが、「この距離で、このスピードのスルーパスを出すと、相手の足が伸びてきてカットされちゃうんだ」とJリーグのディフェンダーとは違った守備レンジを学び、「次は浮き球で出してみるか、それともカーブをかけてみるか」とイメージを膨らませている。
 
 さて、6月のキリンカップ以来の招集となった日本代表での小林は、ボランチか、それともトップ下なのか。
 
 11月4日の招集メンバー発表会見でヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、守備的MFとして長谷部誠、山口蛍、井手口陽介、永木亮太の名前を挙げ、香川真司、清武弘嗣、そして小林には「もっとオフェンシブで、より組み立てに加わり、よりペナルティーエリアの中に入ってきて欲しい」と注文した。
 
 その話をスパルタ戦後のミックスゾーンで小林に投げかけると、「できると思います。それが本職ですから」と自信満々に言ってのけた。
 
「日本代表でトップ下のポジションでやらせてもらえるんだったら、ゴール、アシスト、あるいは違いを作りたい。『あっ、そこでこういうプレーをするんだ』という創造性、『あんなに囲まれていても落ち着いているな』という安心感。それを本田圭佑さんはずっと日本代表に与え続けていた。次の世代は俺だぞ、っていうのを見せたいと思います」
 
 そう決意を語ってオランダから日本へと旅立っていった小林は、日本代表でいかなるパフォーマンスを見せるのか。要注目だ。
 
文:中田徹