最新アルバム「ヒアー」の完全再現パフォーマンスを行ったアリシア・キーズ 提供:Sony Music

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11月4日に約4年振りとなるオリジナル・アルバム「ヒアー」をリリースしたばかりのアリシア・キーズが、今作を記念し、発売翌日の5日に地元ニューヨーク市ハーレムの歴史的会場=アポロ・シアターにて急きょスペシャル・フリー・ライヴを開催、全世界34カ国のiTunesで1位を獲得している「ヒアー」全収録曲を圧巻のパフォーマンスで完全再現した。

米TV局PBSのTV収録も兼ねた本公演は、新作の冒頭から最後までを通しでパフォーマンスを行うという本人にとっても初の試みで、インスタグラムを通して抽選で選ばれたラッキーなファンがところ狭しと押し掛けた。ショウの冒頭では新作の世界観を余すところなく伝えるモノクロの短編フィルム『ザ・ゴスペル』が上映され、アリシアが子ども時代からずっと見聞きしていたであろうNYCのストリートの情景や価値観、そしてそこに今もなお住むストリート・ピープルの変わらぬ「今」を再確認したところで満を持して本人が登場!

ジャンプスーツにピンヒールブーツという姿でステージの中央に置かれたアップライトピアノを立ち弾きしながら、無造作なナチュラルヘアを上に下に揺らし次々とアルバム収録曲を熱唱。本作は今の世界情勢に呼応した政治色の強いメッセージ・ソングが多数収録されていることで全米でも話題となっているが、ネイティブ・アメリカンのフォークソングにインスピレーションを受けて作ったと言う「キル・ユア・ママ」では、ノースダコタ州の石油パイプライン建設における一連の騒動について言及し、安全な飲料水だけでなく祖先の聖地までもが脅かされている先住民族の人権問題に対する全面的な支持を表明し、会場の大歓声を浴びていた。

また、数日後に控えた米大統領選についても「選択肢は私たちの手にある」と呼びかけ、「橋を架けることを選ぶのも、壁を建てることを選ぶのも私達次第」とし、メキシコ国境に壁を建てるという移民排除路線を打ち出す共和党候補のドナルド・トランプ氏を暗に批判しつつ、「選挙当日は壁を壊して橋を架ける道を選びましょう!」と声高に叫び、ジョン・レノンの「イマジン」にも匹敵するとの呼び声も高いアリシア流の反戦歌「ホーリー・ウォー」では、「傷ついたなら傷跡が残らないように手当をしなければいけない」と、憎しみを愛で包み込むことの尊さを聴衆を見渡しながらソウルフルに歌い上げた。鳴り止まぬ拍手の中「私の夢を叶えてくれてありがとう」と胸に手を当て、感極まった表情で聴衆に向かい、深々とお辞儀をしたアリシアの姿がとても印象的だった。