最近はエメリ監督との確執も噂されるヴェッラッティ。母国復帰はあるのか? (C)Getty Images

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 マルコ・ヴェッラッティはフランスを去るのか? パリにはすでにその事態を思い浮かべて震えている人々がいる。彼のようにチームを構築する上で基盤となる貴重極まりないプレーヤーを手放すというのは、パリSGにとって自殺行為に等しいからだ。
 
 しかし、中にはそう考えない人々もいる。最近のピッチ上での意欲に欠ける振る舞いを苦々しく思っているのだ。
 
 いずれにしても、ヴェッラッティがパリを去る決心を固めるならば、その瞬間からセリエAの扉は大きく開かれることは間違いない。すでにミラン、インテル、そしてとりわけユベントスが獲得を狙っている。どのクラブも絶対的なレジスタを欠いており、ヴェッラッティは喉から手が出るほど欲しいタレントだ。
 
 思い起こせば2012年夏、ユーベはチーロ・インモービレ(現ラツィオ)、ロレンツォ・インシーニェ(現ナポリ)とともにペスカーラのセリエA昇格に絶大な貢献を果たし、脚光を浴びていたヴェッラッティを獲得する直前までこぎ着けていた。
 
 移籍が成立しなかったのは、ユーベが条件として交渉に組み込んだジェームズ・トロイージ(現メルボルン・ヴィクトリー。当時はユーベが保有権を持っていた)のレンタルフィーがペスカーラには高過ぎたからだった。その隙を突いて当時の評価額を上回る1200万ユーロ(約14億4000)を提示したパリSGにさらわれたのだ。
 
 今夏にパリSGとの契約を2021年まで延長したばかりで、契約解除違約金は6500万ユーロ(約78億円)と巨額。ただ、本人の意思があれば、交渉によってそこから引き下げることも可能だろう。
 
 本人が移籍を決意するならば、他国のメガクラブも黙ってはいないだろう。ただ、現時点では次の舞台がイタリアとなる可能性は高い。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
※当コラムではディ・マルツィオ氏のオフィシャルサイトにも掲載されていない『サッカーダイジェストWEB』だけの独占記事をお届けします。
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にジョゼップ・グアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。